B.参考03:質問をしよう
実習していて不明点・疑問点が生じたときには質問をしよう.ただ,質問にはコツがある.口頭でももちろんだが,Teamsなどのチャット形式で,文章として質問する時の要領を整理してみた.「要領よく質問する」ことは将来にわたって大切なスキルである.本実習はよい練習の機会だと思ってどんどん質問してほしい.
◆口での質問は簡単?
口頭での質問を考えてみよう.
1. 手を上げてTAさんを呼ぶ
2. 貴方「これわからないんですけど」
3. TA「これってなに?」
4. 貴方「メールがだめって言われたんですけど」(エラーメール画面を見せる)
5. TA「これはCc:がついてないから.Cc:ってわかる?」
6. 貴方「Cc?ええと……」
7. TA「それはね……」
……つづく……
このように,対話形式だとTAや教員が困っている点や問題点を見つけてくれて,どうすればいいのかを促してくれる.欠けている知識も補ってくれるし,どうやれば調べられるかを教えてくれる.最後の答えまで何往復もして徐々に辿り着いていくことができる.
しかし口頭での対話には大きな欠点がある.
◆口頭対話の欠点
たしかに,対話しながら解きほぐすように問題点を指摘してもらう方が簡単だ.
しかし,対話には最大の弱点がある.それは,
記録に残りにくいこと.
その場で対話した内容は残りにくい.逐一メモをすれば残せるが,何かの問題に取り組んでいる時には余裕がない( 普段からメモをすることは大切だが ).また「できた」「解決した」という安心から,どうやって解決にたどり着いたのか,指導者がどう導いてくれたか,どんなヒントをくれたのかといったプロセスは記憶に残らないことが多い.
しかし,一つの疑問の答えは一つの事例でしかない.結果だけを並べたところで応用が効かない.解答に辿り着くプロセスを自分の「引き出し」として持っておくことこそが「知的生産能力」の大切な財産である.
ではこのプロセスを残すにはどうするか?――最も確実な方法は「文章にする」ことだ.
では,疑問点を文にして質問する時にどうすればいいか?
◆文の質問は難しいか?
口頭だととりあえずTAを呼んで「これどうたらええのん~?」でなんとかなるかもしれない( いや,実際これはやめてほしい )が,文章で質問する際には流石にそれでは答えようがない.
※口頭だと指示代名詞( あれこれそれ )で会話が成立することもあるが文章では無理
「文章に書いて」となると途端に思考停止する人がいる.気持ちはわからなくもないが,まずは面倒くさがらず,難しく考えすぎないこと.
質問のコツは,
「1つの質問で全部伝えて全部答えてもらおうとしない」
「糸口を明確に示す」
特に最初の質問は,「糸口になる質問」.これがうまくいくとスムーズに質問が進む.
→糸口("緒"とも書く)質問の要は「答えるのに必要かつ十分な情報を示す」こと.
「 答えるのに必要な情報」とは,次のようなものである.
A. 何にについての質問か ← 大事
B. 何をやろうとしているか( 課題番号とか調査項目等 )
C. 具体的に何をやったか( 特に最後にやった作業 )
D. 具体的に何が起きたか( 起きた現象・エラーメッセージ・問題を具体的に )
E. 回答者に何を答えてほしいか ← 大事
F. 画像などの具体的な証拠があれば添付
例えば……
code:質問の例
課題3.xについての質問です. ← (A)
課題通りファイルを作成して, ← (B)
abcd.txtとして保存しました ← (C).
でも「課題」フォルダにありません. ← (D)
保存したファイルを見つける方法を教えてください. ← (E)
課題フォルダのスクショを貼ります. ← (F)
← #「課題」フォルダウィンドウのスクショを貼り付ける
これはかなり「完璧な」質問.実際にはここまで完璧には書けない.が,少なくとも上記 (A)(D)(E)はしっかり盛り込んで質問するようにしよう.
※注意※1.答えようのない質問をしても無意味である.例えば……
●スクショだけ → ✘.写真には情報が沢山含まれる.なにが聞きたい?
→ 対策:写真画像は有効だが,それだけでは意味不明.上のA~Eを整理してから質問する.整理しきれない事もあるが努力はしよう
●「エラーがでました」だけ →✘.エラーメッセージや起きた現象がわからないと答えようがない
→ 対策:出てきたエラー文をコピーする/エラー画面をスクショし「〇〇を実行したらこのエラーが出ました.どうすればよいですか?」
●「私のファイルはどこですか?」 → ✘.他人が知るわけない!
→ 対策:聞き方を変える( 答えそのものではなく,たどり着き方を聞くようにする ).この場合は「〇〇というファイルを保存しました.この場所をどうやれば見つけられるでしょうか」
※注意※2.指導者は最後の答えだけを教えることはない.
これは教育上の大原則.答えだけ教えても学習にならないからだ.
※推理小説の結末だけ先に教えられたら嬉しいか?
ヒントをもらって試行錯誤しつつ自分でやるのが「実習」.
指導者はなるべくヒントや答えに至るプロセスを促すようにする.答えは自分で見つけるように努力しよう.※先にゴールを教えてそこにたどり着くように促すことはある
→ 対策:上のE.項目をはっきりさせよう.
◆PCの問題ならスクショ大活用
本実習のようにPCを使う上での問題なら,スクリーンショット(スクショ)を大いに活用するべし.
スクショを使えば回答者にどうなっているのかを見せて,それついてアドバイスをもらえる.
★さらにスクショ後に切り取りツールでマーカーをつけたりすれば,非常に伝わりやすい.
https://gyazo.com/239748c8d5d7f23858978b44e0fa833b
※タッチディスプレイのPCなら,ペンを活用すれば書き込みが楽になる.そうでないPCの人はマウスでがんばれ.
◎豆知識◎スクショがすぐにできるように,ショートカットキーを覚えよう.
Windowsなら Win+Shift+S → スクショメニュー
Macなら Shift+Command+3 → 画面全体,Shift+Command+4 → 選択範囲
※ショートカットキーについては第7回で学ぶ
以上を頭に入れて,
質問チャネルにどんどん書き込もう!
※ボソッと追補※
質問について考え工夫することは,コミュニケーションスキルをアップすることにつながる.さらに,第4回で学ぶ生成AIへの質問( プロンプト )をうまく作ることで,仕事のパフォーマンスをアップさせることにもつながってくる.
質の良い質問は知的生産の基礎力と言っても過言ではない.
以上.
2024/4/12