B.参考01:キーボード練習
※毎回参照するため,パンくずリストはポータルのみ提示
◆社会では必須のスキル
キーボードはコンピュータを利用する限り,なくてはならないインタフェースである. タッチタイピング( 手元を見ずに文字を打つこと )ができる人とできない人では, どんな仕事でも生産性がまったく変わってくる.
スマホ全盛の昨今ではキーボード離れが危惧されている. 会社ではさすがに全部スマホで仕事をするわけにはいかない.
タッチタイプは今の社会では持っていて当然のスキルとなっている.
本実習ではタイピング練習のために教材を用意することもないし,課題も出さない.実習でやり方を紹介しても時間が限られる.
本実習以外に少しの時間でも余裕があれば,タイピング練習するとこを奨励する.
◆目標
タイピングのスキルなどは「どこまでやればいいのか」がわからないと思う.とりあえずは,以下の3つを目標にすればよいだろう.
目標( 1 ) ゆっくりでも手を見ずに間違えずに打鍵できる.早さよりも正確さ!
目標( 2 ) 間違えずに100字/分を目指す.これでたいていの仕事はこなせる.ただし早くても間違えたら意味がない!
目標( 3 ) 最終は間違えずに200字/分.自分の考えを自然に書き出せる.これ以上のスピードはほとんど必要ない.
◆タイピング上達の絶対条件
タイピングスキル獲得には,以下が絶対条件といってもよいだろう.面倒かもしれないが,これらを守って楽しく頑張ってほしい.
条件1. 手元を見ない!! ← これも絶対!
※場所を完全に覚えるまでは 何度でも手にハンカチやタオルをかけてやる.
条件2. 2週間 毎日やる! ある程度慣れたらあとは集中と根気.
時々やるのではなく毎日集中して練習する方が絶対によい.
← 自転車に乗るのと同じ.人によって到達できるレベルもそれにかかる時間も違うが,できてしまえばなんということはなくなる.
目安として2週間あれば目標(2)は達成できる.だまされたと思って,1日1~2時間,忙しくても30分程度時間を作って,集中してやりぬこう!
条件3. 楽しむ! 楽しくないと続かない!やりたくなくなる!
タイピングゲームがあるし,まじめ?な文や単語だけのタイピングアプリでも,新記録達成できるとうれしい.エモーショナルなエネルギーを保ってやるのがスキル上達の王道.
◎上達の5ステップ
人により現時点でのスキルレベルは異なるので,レベルごとにステップを示してみる.
※必ずしも以下のステップに従う必要はないが「理系に英文は必須」であることは忘れてはならない.
◆ステップ1. キーの位置,指の動かし方を覚える
まずホームポジションとキーと指の割当を覚える.コツは以下の通り.
a. ホームポジション( 特にJとFの位置 )を覚える
→ これは絶対!J/Fにはキートップに"ポッチ"が付いている!
b. なにかキーを押したらかならず一度,ホームポジションに帰ってくること
c. なにかキーを押す時には人差指( 右J/左F )または小指( 右;/左A )のどちらかがつねに キートップに軽く触れていること
d. 場所をある程度覚えたら,手にハンカチをかけるなど,手元が絶対に見えないようにして練習する
下の「参考URL」集等から「初心者向け」のコンテンツをやる.
★おすすめ教材:
の①~⑤まで
※イ~ッとなるかもしれないが,ここは頑張ろう.この段階で手元を見てしまったら決して上達しない
◆ステップ2. 英単語や英文を打つ
このステップから実際に文章を打って練習する.
文章の題材には「英文」「ローマ字入力」「かな入力」があるが,ステップ2としてはまず,半角英数字で英単語や英文を打とう.
理由は簡単.
1. 理系はプログラミングや論文で英語を必ず扱うから ← 英語からは逃げられない
2. 一通り英文・記号・数字を打てるようになっておくべきだから.一部の英字しか使わない日本語のローマ字入力は最小23文字だが,それだけしか覚えていないと,数字や記号が出てきたら途端に効率が悪くなる.最初から全部のキーを覚えて使えるようになっておくほうがよい
ただし,英語は意味が不明だと苦痛なので,練習するなら日本語訳もついているものが良いだろう.
ゲーム要素のあるサイトもある.楽しくできれば上達が早い
第1目標は間違えずに50~60word/分または80~100打/分または1.6~2打/秒
↑↑ 計算機実習IとIIで学ぶPythonのコマンド練習
※この時も, 手を見てしまう人はハンカチ等を使って遮蔽する.
← 手元を見る癖は完全に撲滅しないと,仕事の効率は上がらない
◆ステップ3. 日本語のかな練習
日本語の入力にはローマ字入力とかな入力があるが,まず最初はローマ字から始めることをおすすめする.
※かな入力はアルファベットとは別にかなのキー配置を覚える必要があることと,小文字などにシフトキーを多用するので,少しハードルが高い.
しかし覚えたら思考に近い打鍵ができる(頭でローマ字に置き換えなくていい)のがかな入力のメリット.入力効率はローマ字の1.5倍くらいにはなる.
#ちなみに藤井と植村先生はかな入力派.小堀先生はローマ字派
ローマ字の練習はゲーム的なものも多いので,いろいろ試してみるとよいだろう.
◆ステップ4. 日本語かな漢字まじり文
かなだけの練習が進めば,漢字かな交じり――つまり普通の日本語を練習する.
日本語は漢字変換があるので,変換のない英語やヨーロッパ言語に比べると入力効率が落ちる.漢字変換はどれだけ適切な漢字にたどり着くかが問題.
※単純に200字/分打てる人でも漢字が交じると100字/分に届かないことが多い.
※文章が医療系に偏っているが,練習にはなる.
目標:30文字/分~50文字/分
※問題テキストがベタでやや見にくいが,練習にはなる.
目標:30文字/分~50文字/分
これらを通じて日本語だけの文に慣れたら,半角英数字の混ざった理系の論説文などにチャレンジしてみよう.やり方は簡単.
興味のある論文や技術系の記事を検索して,それをひたすら書き写す.
※補足※かな入力について:
かな入力( JISかな配列 )は直感的に思い浮かんだ言葉( 日本語 )を直接入力できるので,ストレスが少ない.
ローマ字よりも打鍵数が少なくてすむこともメリット.
デメリットとしては,
1. 50音のキーボード位置を覚える必要があり,
2. 「ぁぃぅァィゥ」などの小文字と一部の記号は,小指で押下するShiftキーを使う.小指の動きがかなり要求されるので,これが「小指シフト」と言われる由縁となっている.
3. 「123」などの数字や多くの記号は入力モードを「かな」から「英字」( 全角 )または「直接」( 半角 )に切り替える必要があり,これも打鍵数を増やす要因になっている.
4. ローマ字入力よりも操作が複雑で打鍵範囲も広く,結果として,習得には時間がかかると言われている.
また打鍵数はローマ字よりは少ないものの,シフトキーを多く使うような数字や記号まじりの文章だと打鍵数は増えてしまう.例:「ぎゃ」はローマ字だとg, y, aの3打,かな入力だとき, ゛, ゃ(シフト+や)の4打
ただし,ピアノやバイオリンなど指先を使う楽器をやっている人は指がよく開き,小指もよく動くので,かな入力でも抵抗が少ないだろう.
※経験談:藤井はピアノをやっていたので,かな入力に抵抗がなかった
かな入力のよい練習サイトは少ない.が,e-typingのかな入力メニュ―などは,日本語キーボードを使う前提であれば,やりやすいだろう.
※経験談:藤井は普段USキーボードでかな入力をしている.かな入力のために特殊な設定をしているため,どのサイトでも練習は不可(T_T)
◆ステップ5. あとは実践あるのみ
ここまでくれば,あとは実践あるのみ.あえて練習をするとすれば,次の3種類をおすすめする.
1. 日本語長文:小説,漫画のセリフ,歌の歌詞,新聞や雑誌の記事,技術書,理系の教科書など,興味がある文章を題材にして「写経」しよう.
※著作権が切れた文学作品が収納されている
※自分が好きな作品・作家を検索して入力する
2. 英語長文: 英語の小説はさすがにハードルが高いだろう.それよりもWikipediaなどの解説書を手本にすると良い.また,好きな海外バンドの歌詞などで練習するのもいいだろう.
3. プログラミング文: プログラミングはもともとほぼ英語.さらにプログラムには{}や()など記号が多いのが特徴.またプログラミング言語によって使われる単語や記号が異なる.すでに紹介したが,PTYPINGサイトがおすすめ.pythonだけでなくJavaやCなどもチャレンジするとよいだろう.
※タイピングの訓練サイトやタイピングソフトは他にも多数ある.気に入ったのがあればとことん利用して特訓するべし.
タイピングスキルで時間を獲得しよう.
【参考URL】
(1)から(10)までステップを刻んだYouTube動画. 動画を見ながら初歩の初歩から練習できる.おすすめ.
https://youtu.be/gNsy24AgVX8
e-typing( インターネットでタイピング練習 ) :Webでタイピングの練習ができるサイト.ジャンルも様々で,ビジネスから百人一首,日本の景観なんていうのもある.英文もローマ字も,まずは「腕試しレベルチェック」で自分のレベルを確かめることからスタートしよう.ここでのスコアを自分のタイピングレベルの基準に考えるよいだろう. タイピング練習広場:タイピングのコツを解説したらタイピングソフトを紹介している総合サイト. ※練習コーナは入力中にフリーズすることが多いので注意
寿司打:寿司が流れてくるうちにタイプするというゲーム.単純だが結構ハマる.ローマ字専用. 毎日パソコン入力コンクール:6月・秋季に開催される日本最大規模のキーボードコンクール. 優秀者は12月の全国大会に出場できる.受検者は能力に応じて級位判定される. ネット環境があればどこからでも受験が可能. ★さらなる入力の工夫:単語登録
タイピングそのものではないが,入力の効率化という意味で紹介しておく.
日本語入力にはIMEという入力システムを介して入力 → 変換 → 確定する.IMEはWindows標準だと「MS IME」,MacOS標準は「日本語IM(旧ことえり)」だが,他にも多く存在する.
a. 多くのOSで利用可能な「Google日本語入力」は複数のOSを使い分ける人には人気.有料だが国産の老舗 ジャストシステムの「ATOK」も聞いたことがあるだろう.
b. MacOSでは選択肢が少ないが「ATOK」「かわせみ」が有名.
c. LinuxだとWnnやCanna,SKKなどが挙げられる.
さて,IMEによる日本語変換の際には参照される辞書がある.システム辞書は書き換え不可能だが,自由に追加編集が可能なユーザ辞書を作成することができる.(どのIMEでも可能)
辞書登録といえば氏名や地名,学校名などの固有名詞が利用されるが,それ以外にも登録単語を工夫することによって大幅な効率が可能になる.
それは「短縮登録」である.
例:「龍谷大学先端理工学部電子情報通信課程」は長大な漢字で,かな文字だと32文字( ローマ字は54字! )にもなる.これを,たとえば「りこでし」という読みで短縮語として登録すると,32文字 → 4文字で変換効率は8倍になる!
例:龍大瀬田キャンパスの住所「滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5」を「じゅうしょ1」として登録する.
※なぜ単純に「じゅうしょ」としないのかというと,他にも候補がでてきてしまうから.
ただし,単語登録はローマ字入力とかな入力では登録語に別の工夫が必要.かな入力は数字や記号は読みとして登録すると打鍵数が増える.例えば「じゅうしょぬ」など,他にヒットしにくいかな字をくっつけるとよい.
例:計算機実習I → 「けいぬ」,計算機実習II → 「けいふ」
半角英数字も登録できる.
例:「080-1234-5678」 → 「でんわ1」
例:「fujii.daisuke@elec.ryukoku.ac.jp」 → 「めーる1」
固有名詞だけでなく,よく使う文章も登録する.
例:「ありがとうございます.」 → 「ありす」
例:「お世話になります.」 → 「おせす」
例:「様,いつもお世話になっています.」 → 「さますん」
※「さます」は「覚ます/冷ます」とぶつかるので「ん」を追加
例:「電子情報通信課程の藤井大輔です.」 → 「でしす」
登録のコツは,
1. 「他の一般単語とぶつからない読みにすること」.他の候補とぶつかると選択肢を選ぶ手間が増える.
例:「かん」は単独で非常に多くの候補が出る. → 「かんん」にすればぶつかることはない.
2. 一定のルールを設けておくこと.上の例では「~です.」で終わる文は短縮読みも「す」で終わるようにする.ただし,他の単語とぶつかるようなら「ん」を付け加えるなど,自分なりのルールを作る.そうしないと短縮読みを思い出せなくなる.
※タイピングコンテストの猛者たちは自分独自の最短パターンをたくさん登録して臨んでいる.
以上.
2024/4/18