4.5信号発生器の準備
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図4.21ファンクションジェネレータ(Tektronics AFG3012/AFG310)
◎信号発生器とは
オシロスコープで回路等の電圧変化を測定する時に信号源として使われるのが,信号発生器(signal generator)である(図4.21).
信号発生器は文字通り,一定の周期の信号を発生させる装置だが,実際には用途によりさまざまな製品がある.
本実験では,発生波形を切り替えることができる多機能信号発生器を使い,テーマに従って正弦波やパルス波などを切り替えて実験を行う(図4.21).
※多機能信号発生器:multi-functional signal generator. 通称ファンクションジェネレータ.以後本書ではFGと呼ぶ
◎信号発生器の使い方
本体に付属の取り扱い説明書を参考にしながら,実際に操作して覚えよう.
本実験に必要な操作項目は次の 3 点である.
(a) 波形 (wave form):本実験ではサイン波,方形波,矩形波を使う.他にも三角波,鋸波等がある
(b) 周波数 (freqency):数値キー/カーソル/ジョクダイヤルで調整,入力する
(c) 出力電圧 (amplitude):数値キー/カーソル/ジョクダイヤルで調整,入力する
FGを使い始める際の注意事項を挙げておく.
(1) まず電源を入れたら信号線をどこにもつながず,マニュアルと本体で操作方法を確認する.いろいろいじってみて,ディスプレイに表示される数値がどう変化するかを把握する.
(2) ある程度操作方法がわかれば,信号出力コネクタから同軸ケーブルでオシロスコープに接続し,実際に波形を送信して観測する.
波形,周波数,振幅を変化させて観測する.
※パラメータは自由.例えば
1. 方形波とサイン波でそれぞれ100kHz,500kHz,1MHzを送出する
2. 10KHz~1MHzまで連続的に変化(スィープ)させる,など
(3) 信号発生器で設定した数値(周波数・振幅)と,オシロスコープで読み取った数値を比較して,どの程度の誤差が生じているか,発生器の数値が何桁まで有効かを把握しておく. → 測定値について考察するのに役立つ.
◎操作上のポイント
☆☆ ポイント(1)信号出力スイッチを忘れるな☆☆
信号発生器には電源以外に,信号出力スイッチがある.
信号発生器側が適切に設定されていない状態で,入力回路に無用な信号が印加されれば,最悪,回路を破損する.そういうミスを防ぐ目的で,電源投入時にはOFFになっている.
FGの設定を済ませ,回路に確実に接続できてから,ONにする.
※なにも信号が来ないという時は,出力スイッチを疑おう.
また,回路を作り変える時や,FGの設定を大きく変える際にはOFFにする.
☆☆ ポイント(2)数値入力方法を使い分けろ☆☆
FG では数値入力方法が複数ある.(実際には機種に依存する)
a. 入れるべき数値が明確な時はテンキー.
b. 連続的に数値を変化させたい場合はジョクダイヤルが便利だ.
c. カーソルキーは桁をあちこち移動するのに有効.
有効ですばやく正確な操作を身につけよう.
☆☆ ポイント (3)FG の設定数値は実験結果ではない!☆☆
測定結果はあくまでも測定機器で.オシロスコープやテスターで得られた数値である.
発生器での設定は設定記録として残しておくが,これは測定結果ではない.
電圧も周波数も,オシロスコープで観測したものが「測定結果」である.
※もしFGとオシロで差が出たら,原因を考察してみよう
◎発生信号の Peak to Peak 電圧
FGから正弦波を発生させた場合,図4.22 のような信号になる.
この時のパラメータは,
a. 信号の振幅 (amplitude)$ V_{amp} と,
b. 周波数 (frequency)$ fである.
正弦波の場合,sin波の振幅は,0Vを基準として正負両方に$ V_{amp}の設定電圧が出力される.
☆例えば $ V_{amp}= 5V なら出力信号は -5V~5V で,その振幅は 10V になる.
この$ V_{amp}は,「peak to peak 電圧」用設定である.
peak to peakとは信号波形の上限と下限の電位の差であり,ここでは $ V_{P-P}と表記する.つまり,
$ V_{P-P} = 2\times V_{amp}
※2倍の関係であることに留意
また,Offset 設定を使えば,振幅の中心を0Vから正負のどちらかに偏らせることも可能.
※本実験ではあまり使うことはないだろう
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図4.22 Peak to Peak 電圧