2.7物理量・単位の表記と括弧付け
◀◀2.6図表の基本
■表記ルール
「付録:SI単位系」に紹介したように,計測した数値,記号で表される物理量,単位の表記はSI単位系のルールに従って統一する.主なルールは以下の通り.
1. 数値・数字は直立体で記述する.
2. 量の 記号は斜体(イタリック体)で、 単位記号は直立体で記述する.
例: g = 9.806 65$ \rm m/s^2
3. 数値と単位記号の間には半角スペースを挿入する.
例:1.0 kg 10.04 μS 17.7 mH
4. 単位記号の 積は半角スペースもしくは中黒(·)で表す.
例: N m または N·m ← 中黒を推奨
5. 単位記号の 商は、水平の線(分数)、斜線または負の指数で表す.
例: m/s または $ \rm m\cdot s^{−1}
6. 接頭語の記号は直立体とし、単位記号との間に 間隙を置かずに表記する。
7. 接頭語は1つだけを用い、 μμF や mmm 、 nkg のように2つ以上重ねてはならない。
■単位に括弧をつける場合
1. 数値に単位をつける場合:半角スペースを空けて,括弧なしで記述.
2. 記号物理量や数式中でわかりにくい時は,単位に角括弧 []をつける.
※以下の例では全角[]だが半角でも構わない
例:インダクタンスを L [mH]とする.
例:(表中で) 長さ[m],幅[cm],高さ[mm],重さ[kg]
例:$ I \rm [ A] \cdot \it R \rm [\Omega ]= \it E \rm[ V]
例:数式中に単位を入れる
$ E = I \cdot R = 0.52\times 2.27
$ = 0.52\times 10^{-3}\times 2.27\times 10^3\simeq 1.1804
これを原則1.に則れば下記のようになる.
$ E = I \cdot R = 0.52\ \rm mA\times 2.27\ k\Omega
$ = 0.52\times 10^{-3}\ \rm A\times 2.27\times 10^3\ \Omega \simeq 1.1804\ V
このように複雑な式にカッコなしで単位を入れこむと物理量記号と紛れて読みづらくなるので,[]をつける.
$ E = I \cdot R = 0.52 \rm[mA]\times 2.27 [k\Omega]
$ = 0.52\times 10^{-3}\rm [A]\times 2.27\times 10^3[\Omega] \simeq 1.1804 [V]
3. 単位に 丸括弧 () は使わない.
例外:文脈により補足的に使うことはある.
例外の例:ここでのインダクタンス(mH)は,回路全体の抵抗値(kΩ)に比例する
※ただし,単位の括弧付けのルールは絶対ではない.
括弧付けはSI単位系に定義されているものではない.学会や業界によって習慣的なものも存在する.
複雑な式の場合には, 読み違えないことを第一に,[]づけを判断していく.
以上.
2025/6/18
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