2.2レポート作成の意義
ここでは,なぜレポート(報告書)が必要なのかを考えてみる.
◆レポートってなに?
レポートすなわち「報告書」は,一般的に行動の記録である.
記録の目的は,以下のようなものである.
1. 行動とその結果の蓄積
2. 証拠の保管
3. 行動者の評価の根拠とする
上記1~3のいずれも,客観的な記述とともに,
「誰が読んでも一意に理解できる」
ことが非常に大切である.
一般的にレポートの要件は以下の通り.
1. やることの目的を伝える
2. 実際にやったことを伝える
3. どうなったかを伝える
4. 結果について考えたことを伝える
理工系実験におけるレポートは定型的である.
すなわち,ほぼ以下のような構成になっている.
1. 何のために:目的
2. 何に基づいて:背景原理・理論
3. 何を使って:回路・装置
4. 何をやったか:実験条件・手順
5. 何が起きたか:測定値・データ・計算値数・視覚化
6. 何を感じ,考えたか:実験者として得られた独自の知見
◆電子情報通信実験のレポートの狙い
本実験におけるレポート作成の狙いは以下の通り.
定型的な工学系実験レポートの構造を把握して作成スキルを身につける
実験的・実証的な考え方,結果のまとめ方,考察のしかたを身につける
的確なレポートを,限られた時間内に作成するスキルを身につける
これらのスキル・能力は才能などではなく練習すれば必ず身につく「技術」である.
スキル習熟のためには失敗も含めて,できる限り数多く経験を積み練習する必要がある.本実験はその一環である.
本実験のレポートの読み手はテーマ担当教員であるが,実験を全て理解していることを前提にせず,
「実験の装置や原理については知識があるが,結果については知らない」
という読み手を想定して作成するべきである.
実験は通常のテストとは違い,担当者であっても,唯一の正解を持っているわけではない.
読み手はただ○×をつけるだけではない,ということを忘れてはならない.