人喰い病
ハルキ文庫・短篇集『人喰い病』収録(品切・電子書籍あり)
概要
おすすめポイント
淡々とした客観的な語りと、募る生への執着。
体の一部が潰瘍を起こし、あらゆる治療が通じないまま全身に潰瘍が広がり死に至る新種の奇病をめぐる医学SFです。本作で特徴的なのが、この物語は実験や観察、研究を通じて淡々と語られる物語であるのに、その先に生というものへの強い執着が感じられることです。
物語の大半は治療や研究の結果を客観的な視線で追っていくような展開になりますが、決して無味乾燥としたものではなく、むしろ読んでいて強く引きつけられ続けて結末へといたります。いたって理知的で、いたって科学的で、それなのにふらふらとさまよい出てしまうような。不思議な読み味の作品です。
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