マイクロチップの魔術師
ヴァーナー・ヴィンジ作/若島正訳
新潮文庫・版元品切
概要
サイバーパンクに大きな影響を与えた先駆的サイバーパンク作品。
電脳空間を舞台に、ハッカー同士の戦いを描く。
おすすめポイント
すでに完成されたSF的ハッカー像
現実のハッキングは極めて地味な作業ですが、映画などで描かれるハッキングはとても派手でかっこいいものです。その源流を辿っていくと、『ニューロマンサー』と『マイクロチップの魔術師』に行き当たります。
本作では、ハッカーは電脳空間を舞台に技術を尽くして戦い、その勝者は敗者の素性や本名を知ることで相手を支配できます。これはル・グインの『アースシー』シリーズ(ゲド戦記)に近い設定ですが、現代のSNSでも本名や住所を知られることが大きなリスクになることを考えると、非常に先見性のある設定だったと言えます。(おそらく、ル・グインは文化人類学的な観点から設定を作ったはずで、それを考えればこの設定が現実の人間の振る舞いに近いものになるのは当然なのかもしれませんが)
作者のヴァーナー・ヴィンジの本職は数学者・計算機科学者。そのため、作中の計算機周りの描写はかなり正確です。描写されるマシンスペックがびっくりするほど低いのは、古いSFすべてに共通するご愛敬ということで。
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