★参考:模造刀・竹光刀
https://gyazo.com/4bb8823ac8f45ff7389472abee6158ef
木刀で稽古を積んでも,やはり本番は「刀」をもつことになりますから,この練習もしておきたいですね.
劇団√根のおすすめは,
◎1. 「刀」を感じる稽古に模造刀
◎2. 本番対策に竹光刀
をひとつずつ持つことです.
★芝居はやっぱり竹光刀
殺陣は芝居です.芝居に使うのは「竹光刀」(たけみつ)です.
作りは本物の刀と同じで,刀身が木製( 昔は竹 )で,銀色の塗装や箔押しを施したものを使います.
これはさすがに専門店でないと入手できないです.
例:むろまち:竹光刀の販売
https://muromachi-style.jp/katana/takemitu/title_takemitu.jpg
安いのだと1.5万くらいであります.
刀身をプロに箔押しをしてもらうとそれだけでン万かかったりします.
練習用なら自分でアルミテープを貼るか,銀の塗料を吹き付ければ雰囲気は出ます.
安い模造刀を購入して竹光刀身だけ購入して交換するのもアリです.
竹光刀身は意外と高価で,価格的にはあまりかわりません.
が,自分の好きな拵えの模造刀を見つける楽しみはありますね.
※本番用のものは,劇団や撮影所が用意するべきものです.
でも練習はしないとね(^^).
◎アルミ刀身でもいい?
竹光ではなくアルミの刀身も,撮影では使われますが,舞台では避けたほうがよいという人が多いです.
アルミは金属なので箔押しする必要もなく手入れも簡単です.
ですが剣先は本物と同じく尖っていて,勢いがあれば刺さります.
竹光は折れることで怪我を防げますが,折れるほどの衝撃がかかっている(本来殺陣ではそれは✘)のに折れないので,勢い余って怪我をするリスクが高くなります.
さらに,使っているうちに曲がります.
曲がると,納刀できなくなります.
上級者が気をつけて使えばアルミも竹光も変わりはありません.
ですが,多人数入り乱れての殺陣では多少の狂いや間違いも起きます.
その時に怪我のリスクはできるだけ避けるべきです.
つまり,少人数で,入り乱れたり手数の多くない振り付けであれば,アルミ刀でも可能ですが,
いろいろなシチュエーションで本格的な立ち回りをするならアルミ刀身は避けるべき,というのが,殺陣の先輩方の意見です.
★模造刀で稽古をやろう
木刀の次には,稽古用に模造刀を持っておくことをおすすめします.
模造刀は,刀身が真鍮などの合金で作られた,本物の刀そっくりのものです.
重さもほぼ同じです. ← これが大切
模造刀は,安全の面から実際の殺陣演技に使われることはほぼありません.
※かつてチャンバラ映画全盛期には監督や俳優の好みで使われていた事があったようで,切られ役の人は全身アザだらけだったそうです……(ゾ~~)
しかし,殺陣をやる限りは,本物と同じ重さと拵えの模造刀を持っておくのは,とてもとても勉強になります.以下に理由を挙げてみます
1. 気持ちが入る.
「刀を持っている」というだけでやはり「しっかりしなきゃ」「頑張るぞ」という気持ちになれます.
2. 重い刀は「腕力ではなく全身のコアで振る」ことを納得できる.
平均的な日本刀は抜き身で800g~1kgほどあります.
よく使われる樫の木刀は400g~500gなので,2倍かそれ以上です.
スヌケや黒檀などの重い木刀でも700g程度なので,本物よりは軽いです.
※刀の重さについてのレポートはこちら →所有している刀の重量を測ってみた - 劇団√根雑記―ツクリモノなど
そんな刀ですから,振り回すには腕力だけでは言うことを聞きません.
木刀や竹光でいい加減な振り方をしていると,刀ではうまく振れません.
重いゆえに足さばきや次の動作が必然的に決まってくるということがよくわかります.
3. 刀は重いけど薄い.
太刀筋がまっすぐ通っているか,薄い刀身を振ってみれば,よくわかります.
左右にぶれていたりキメの位置がおかしいと,すごく格好悪く見えます.
きれいな太刀筋,は殺陣の型のイメージづくりに役立ちます.
4. なんといっても演技に役立つ.
本番では軽い竹光を使いますが,演技としては本当の刀を扱っている芝居がしたいですね.
上述のように,刀は重いのでコアや体軸や体全体を使って切ります.
殺陣ではその動きを再現する必要があるわけです.
軽い竹光でも重い刀のように演技するには,重い模造刀を振って,体に動き方を覚えさせるとよいのです.
★模造刀を使って殺陣の稽古をする時はゆっくりと,安全に十分注意の上で行います.
◎模造刀もピンきりです.
殺陣に向いたものを選ぶポイントがあります.
1. コスプレ用は✗:今はコスプレ用のものが激安で販売されていますが,強度が低く,素振りや殺陣には使えません.
2. 「観賞用」も✗:刀には「拵え」といって柄や鍔や鞘のデザインがあります.
このデザインを眺めるという楽しみ方もあります.そのために作られているのが「観賞用」の刀です.
観賞用は比較的安価ですが,刀身が柔らかい真鍮などでできているため,振るとビヨ~ンとなり,正直怖いです.
また,柄の強度も弱く,強く振っているうちに柄ごと壊れるリスクもあります.
3. 殺陣には「居合用」が◎:これは居合道の稽古用のものです.
居合道は抜刀・納刀の芸術といっても過言ではありません.
激しく高速で抜刀するので,柄にも刀身にも本物の刀と同等の強度を持たせてあります.
観賞用よりも高価ですが,安全に殺陣を楽しむには居合用を選びましょう.
★応用編:融通の聞く日本刀の構造
日本刀の構造は単純で,柄と刀身は「目釘」という一本の木の釘で留められているだけです.
https://gyazo.com/1b170bf05d8a7580e23218b821111cf6
※こういうのって日本的ですね.和服も基本直線裁ちだから縫直しが何度もできるし,建築物も建て替えの時に前の材を使えます.
なので,次のような組みあわせができます.
1. 比較的作りのよい模造刀( 刃を交換できる )を購入( 例: 1万円 )
2. 竹光の刃だけ購入( 例:6千円 )
※または居合刀の刃だけ購入(……高価かも……)
3. 自分で差し替える
※最安値の竹光刀単体と変わりませんが,拵えを選んだりする楽しみはあります.
何本か持つようになると,余ったもので遊んでみたくなるものです(^^).
もちろん,厳密には刀身の反りや身幅と鞘が合わないこともありますから,あくまでも自分の判断で,ですが.
また,柄巻き( つかまき )も自分でやりかえることが可能です.
※柄巻きは慣れが必要ですが,何度かやればできるようになります.
※木刀にも柄巻すると,滑りにくくてよいです( 握りはやや太くなります )
→ 参考:木刀に柄巻きしてみた(1) - 劇団√根雑記―ツクリモノなど
柄と刀身のハバキに隙間があるとカチャカチャ言うので,切羽を数枚入れて調整します.
切羽だけも販売しています.わりと安いです.
鍔を交換するのも夢があっていいですね.
こうやって自分好みで使いやすい,自分だけの刀に育てていく楽しみもありますね.
以上,「殺陣用に自分の刀がほしい」と思い始めたら,ご参考にしてください.
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2024/8/23 更新 2021/9/2移動