柄谷行人
#単語帳
日本の哲学者。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%84%E8%B0%B7%E8%A1%8C%E4%BA%BA
庭の話より
行人は他者、つまり異なる共同体に属し、文脈を共有しない相手とのコミュニケーションのことを「交通」と呼び、その交通が停滞することなく発生しつづける場所を「都市」の比喩で表現した。このコミュニケーションは非対称なものだ。話の前提となる文脈を共有しない相手とのコミュニケーションは「聞く「話す」といった対称的なものではなく、「教える・学ぶ」「買うー売る」といった非対称なものになる。
そしてこの「交通空間」としての「都市」は、文脈を共有するもの同士のコミュニケーションが反復され、共同体が固定化する「村落」と対比的に語られた。
ただしここでの都市/村落は、観念的なもので、実際の東京のような都市と地方の山村をイメージするべきではない。たとえそこが、都心であったとしても馴染みのバーで業界の噂話を反復し、狭い人間関係のなかの序列を競いあう場所は「村落」にほかならない。
交通空間としての都市、いい表現。都市でのコミュニケーションが非対称というのも言われてみればそうだ。役割がなければ話す理由がない。