三体
#単語帳
中国のSF小説。
これを読んでいると、自分の心があちら陣営側に傾いたりこちら陣営側に傾いたり、なんて無責任なのだろうという気持ちになる。意図的にそういうプロットになっているような気さえする。
群衆が主人公たちの敵になったり味方になったりが目まぐるしく繰り返される。特に逃げ出した宇宙船への視線の振れ幅はすごかった。
2023/08/19
三部も読み終わった。とにかくスケールが凄まじい小説だった。
本文中にも出てくる通り、三部の中心となる程心は、ひたすらに責任の物語だった。読んでて結構辛かった。最後の巻の1/5くらいに来て太陽系が二次元世界になってしまったとき、ここから未来が好転することはあるのかと思ったけど、さらにさらに視点を大きくして宇宙全体で見たらちっぽけなことでしかないと認識させることで、最後の爽やかさがギリギリ確保できている。ギリギリだけど。
「『時の外の過去』から抜粋」という文言が頻繁に出てくるが、これは宇宙が消滅する前に程心が書き残した日記で、宇宙が消滅したあとの別の宇宙でこれを誰かが読んだ、ということを確認できるのがもう1つの救いになっていてすごい。
概念以外、目に見えるものすべてを巻き込んだ本当に壮大なSFだったし、そこまで視点を大きくすればこういった結末になるのは当たり前のことだった。宇宙全体で見たら我々はちっぽけでしかなく、宇宙が滅びに向かっていることから目を背けている子どもにすぎない。
思い返すとハーモニーも伝記からの抜粋という構成だったか?解説を読むと伝統ある手法らしい!