市民になれない、オンナになれない
我らが人斬りお嬢のことである。
時雨の「いわゆる女性(オンナ)」的アドヴァンテージについて 見てくれはそれは美しい
美しいというのは、アダルティではなく、美麗な人形的。
かわいい、に近いね
鴉の濡れ羽の黒髪、っていうのは中世においては爆アドヴァンテージ、どころか世界が嫉妬するウーマン幻想
おべべも美しい。
ヒラヒラなロングスカートて!装飾的って!
料理がうまい
べつにコミュニケーション能力もそれなりにある
相棒のアレに比べたら聖人よ
じゃあこの少女は、いづれ立派なヨメとなり母となり、良妻賢母となり市民生活のなかで生きていくのね!
……そうだったら、よかったのだろうか?
実は時雨には、悪癖がある。
「市民になれない」というものだ
なんちゅうか、「家庭を持つ」とか「市民生活のなかでホメられるような生活様式」ってやつ。これが、時雨という人間は、我慢がならないのである
そういうことを強制してくる人間は、関係性を切るし、斬る(物理
いわゆる「誘拐結婚」を常套(上等)とする、ある部族なんかは、100人単位で、その、こう、物理されて
なんで?
根っからの旅人だ、というのが、まあ一番の理由。自由。追い求めて翼のように
とはいえ、「市民生活」をそこまで嫌う必要もないのでは? アドヴァンテージのあるとこだけ掠めて、使って、あとは呑気に暮らせばいいじゃない?
そのあたりは、エヴィルのほうが上手いのである。実は。まだ、こいつのほうが市民生活への適応性がある
とにかく時雨は、「市民」「オンナ」たろうとすると、蕁麻疹が出る。「あのひとたち」は、そんな蕁麻疹を癒そうと、例の如く余計に「市民になりなさい……」とてぐすねしてくる。そして余計に時雨はまたどっかに行ってしまう。
あまり、賢くはない。そんな「市民」を忌避する生き方は。
それでも、エヴィルは。
「時雨君との相棒関係は恋心ではないが、もし自分が仮にLOVE惚れることがあるんだったら、ポインツのひとつは確実にこの【自由への志向】なんだろうな……」
と自覚しているからこそ、エヴィルは口を出さないのであった。
なお、ここでは「市民」性と、「オンナ」性を混ぜて語ったが、時雨ほど「かわいいけど、エロがない」美少女ちうのも珍しい。
その理由は、「オンナは市民である」仮説である程度は説明できるが、それと同時に……やはり、あれだ。身体中の傷。そんな生き方はね、やっぱりカタギ(市民)では、ない。