ブックカタリストBC075用メモ
取り上げる本
2023年2月に一旦読了
さらにブックカタリスト収録のため、頭から読書メモをつけながら読み返し
サイモン・マッカシー=ジョーンズ
臨床心理学と神経心理学
SPITE
どんな本だったか?
「悪意」のレーゾンデテール
提示される悪意ある行動の大半が倉下には理解不能だった
目次
はじめに・・人間は4つの顔をもつ
第1章・・たとえ損しても意地悪をしたくなる
第2章・・支配に抗する悪意
第3章・・他者を支配するための悪意
第4章・・悪意と罰が進化したわけ
第5章・・理性に逆らっても自由でありたい
第6章・・悪意は政治を動かす
第7章・・神聖な価値と悪意
おわりに・・悪意をコントロールする
はじめに
悪意とは何か?
心理学者デヴィッド・マーカスの定義
悪意のある行動とは、他者を傷付け害を与え、かつその過程で自分にも害が及ぶ行動
狭義の定義
よりひろい定義
他者に害を与えるが、自分は傷付くリスクがあるだけの場合も含まれる
自分の利益につながらないにもかかわらず、他者に害を与えるためにする行動
悪意と似た行為との違い(敵対行動やサディスティックな行動)
人間の行動をコストと利益から考える
協力行動
共に利益をもたらす
利己的行動
自分だけが利益を得るように
利他的行動
自分がコストを負担して他者に利益を与える
悪意のある行動
自己と他者の沿うほうに害を及ぼす行動
大きな疑問
進化論的
なぜ悪意のある行動は自然淘汰で失われなかったのか?
経済学的
アダム・スミス「感情にかられて行動することがそう多いわけではないし」「よく考えたすえ、行動を抑える」
ゴードン・タロック→平均的な人は約95%利己的である
『ウォール街』「強欲は善」
人間はホモ・エコノミクスだという想定
自己の利益→金銭的利益
二つの疑問
悪意にもとづく行動を取らせる要素は何か?→至近要因
悪意はなぜ存在しているのか?→究極要因
現代において悪意に注目することは非常に重要
第一章
最後通牒ゲーム
1977年のドイツ
ヴェルナー・ギュート
経済学者の想定するホモ・エコノミクスのような行動は取らない
経済学者はそのような行動をとる
チンパンジーは悪意ある行動は取らない
文化・民族ごとに悪意ある反応の度合いは異なる
酔っ払いの方が最後通牒ゲームで拒否する割合が上がる
アリストテレスによる悪意(epereasoms)の定義
自分が得をするためではなく、相手が得をしないように他者の願いの邪魔をすること
Dファクター
ダークトライアド
サイコパシー
ナルシシズム
マキャベリズム
悪意も道具のようなもので、悪用することもできるし、そうでない使い方をすることもできる
特定のタイプの人が悪意を持つと厄介
悪意を持つ二つの集団
平等主義
支配のため
第二章 支配に抗する悪意
一人の人間の中にいる、二つの生物
平等主義と権力志向
集団を維持するための悪意
新しい形の反支配(自分が新しい族長になるのではなく、ただ仕返しをすれば満足する)
反支配的行動
平等への愛か、支配への嫌悪か
武器も重要だが、言語がより重要
自己家畜化
攻撃的支配指向性と社会的支配指向性
反支配的悪意
他人を引き摺り落とし、平等に近づけようとする。左寄り。
支配的悪意 こちらはヒエラルキーを促す。右寄り。
強い相互性理論
ホモ・レシプロカンス互恵人
公平さと不平等、事情(理由)があれば平等でなくても納得する。
人間が不公平さを罰するのは、正義を守るのは気分がいいからだ。
怒りという感情
前頭前野(理性的)の活動を抑えると目の前の利益を重視しがち
知覚的非人間化
自分とは関係無い不公平に立ち向かうことが評価されてされる
第3章
ホモ・リヴァイス(競争人)
絶対的な利益よりも相対的な優位性を選ぶ
ファン・ランゲによる「社会的価値指向」
三つの選択肢 向社会的、個人主義、競争心が強い
5%から10%の割合
シャーデンフロイデ
才能は運よりも大きな脅威なのだ。
競争相手が多いほど、支配的悪意も増加する
栄養が減ることが一つのサイン
トリプトファンとセロトニン
テストステロン
競争における悪意の効果とその逆説
以上までが悪意の仕組み
第四章
ウィリアム・ハミルトンによる利他的行為の進化論的な説明
包括適用度
同様の観点のウィルソン的悪意、ハミルトン的悪意
血縁識別が必要
緑ひげ効果
機能的悪意、心理的悪意
不定期の悪意、負の間接互恵性
悪意が進化するということ
スミードとフォーバーの研究が示唆に富む
パロンドのパラドックス
感情による反応のばらつき
人々は明らかに報復のために行動している場合でも、それに気付いていない。
すでに見てきたように、人間は他者が個人的に報復するのを好まないからだ。そのため人々は報復を礼儀という幕で覆い、自分自身にすら見えないように、隠さなければならないというプレッシャーを感じる。そして、高貴な目的のために罰を与えているのだと思い込むのだ。しかし実際は害と地位を気にしている。
悪徳から美德が生まれた
第5章
自己決定理論
リアクタンス
自由意志があると信じるかどうか
ブレイブハート効果
実存主義的悪意
ストレッチ目標
失敗するとよりリスクの大きいことに取り組みがち
第六章
ハイトの道徳基盤論
第七章
映画『パルプ・フィクション』
神と社会規範
神リマインダー
ニーチェの奴隷道徳
神聖な価値の冒涜
神聖な価値にすべてを捧げている人々は、その行動のコストと利益を天秤にかけるのではなく、自分が正しいと思ったことをただ行うだけなのだ。
神聖さと「つべこべいわずにやれ」
憤慨したが、意見は動いた
疎外による否定的な感情の強さ
傷ついた心と新しいストーリー
おわりに
ストア哲学
認知反射
印象に残った
"誰かが自分よりも恵まれていると思ったら、それがお金であれ、道徳レベルであれ、社会的地位であれ、反支配的悪意を引き起こす可能性がある"
その他
反支配的悪意と訂正可能性