達人が教えるWebパフォーマンスチューニング
1 チューニングの基礎知識
Webサイトのパフォーマンスの低下はユーザの離脱につながる．
GoogleはCore Web Vitalsを検索順位に考慮している．
SEOの観点からもCore Web Vitalsが重要．
RTTを短くすることが目標と定義できる．
LCPは2.5秒以内とされているが，実際には1秒以内を目指したい．
同時並行処理性能: スループットも重要．
時間流動性の高いCPU時間やメモリ領域，メモリI/O帯域やネットワークI/O帯域，ストレージI/O帯域などの利用率が高い状態を「重い」と呼ぶ．
キャパシティ操作
供給側を操作する方法として垂直スケーリングと水平スケーリングがある．
需要側を操作する方法
キューイング
レートリミット
リクエストの発生にランダムな待機を発生させてタイミングを操作する．
先着ではなく抽選による販売を行うことでリクエストのタイミングを分散する．
オートスケーリングには以下の課題がある．
リードタイムのため，急な負荷の増大に対応しきれない．
インフラ提供側のキャパシティが売り切れており増やせない．
AWSではInsufficientInstanceCapacityエラーという形でしばしば現れる．
負荷試験によって必要十分なキャパシティを見積もる．
キャパシティの見積もりを誤るとECサイトの初動でトラブルが発生したり，ゲームのリリースが遅れたりと致命的な結果を招く．
ベンチマーカなど負荷を与える側が負荷試験の律速になる場合があることにも留意する．
ベンチマーカ側もモニタリングの対象となる．
負荷試験の結果にはノイズが存在するため，複数回実施する．
計測は1つの変更ずつ行う
ISUCONのように時間的制約がある場合はさておき．
制約理論
ボトルネックでない部分を解消しても，逆効果になる場合さえある．
ボトルネック部分への負荷が大きくなるため．
ボトルネックは外側のマクロな視点からミクロな視点に切り分けていく．
所要時間が長い要素と，システムリソースが不足している部分．
APMやプロファイリングを活用して原因を特定していく．
ISUCONではレスポンスや表示内容は固定されるが，実務では情報デザインの観点からそもそも表示する必要がないコンポーネントを削除することで大きなパフォーマンスの向上が期待できる場合がある．
ボトルネックへの対応は大きく分けて3つ
解決: 根本から解決する．
ボトルネックにならないよう実装を変更する
回避: ボトルネックにならないよう迂回・省略する
構造を変えて当該の処理そのものが不要になるようにする．
キャッシュを用いる．
緩和: 影響を和らげる
解決が望ましく，回避もできないようであれば緩和を行う．
ある要素がボトルネックでなくなった瞬間，他のボトルネックへの対応が最優先事項になる．
つまりボトルネックの解消に必ずしも最高のチューニングは必要ない．
実務ではシステムリソースの上限に投資するのはビジネスでは良い選択肢．
投資が直接効果につながるため．
負荷試験の目的や手段を明確にすること．
「この負荷試験に耐えられなければリリースを見送る」など
既存システムのリプレースなどは想定負荷が予想できる
負荷試験シナリオを検討する
ユーザがどういう行動をするのかを模倣する．
実行時間・試行回数・実行タイミングなども検討する．
試行回数・頻度を優先して短いものにするか，高負荷・ロングランを想定して長いものにするか．
負荷をかけながら手動でも触ってみる．
ログやメトリクス，発生した異常などを記録しておく．
ボトルネックはどうなったか．
ベンチマーカ側は十分な負荷をかけられていたかメトリクスを同時に記録する．
2 モニタリング
パフォーマンスをモニタリングし続けることで高速なWebサービスを提供し続けられる．
どういった状況でパフォーマンスが低下するかを知ることができる．
アラートを受けるほどパフォーマンスが低下した場合などにも，メトリクスを見ることで突然そうなったのかじわじわそうなったのか確認できる．
モニタリングダッシュボードを用意すると快適．
モニタリングには2種類ある
外形監視
ISUCONのベンチマーカも外形監視にあたる．
内部監視
コマンドでも確認できるが，モニタリングツールを用いるのが実務ではベスト．
モニタリング時の注意
ベンチマーカが別のサーバで動作するようにする．
エージェントは同じサーバで動作するようにする．
本番環境でもエージェントは動作するため，エージェント込みでパフォーマンスを測ることに意味がある．
マイクロサービスアーキテクチャで横断的にモニタリングするために分散トレーシングが考案されている．
AWS X-Ray
ログに対するモニタリングというものもある．
アクセスログに対するモニタリング．
mtailを用いるとPrometheusにメトリクスを送信することができる．
macherel-plugin-axslogを用いるとMackerelに送信することができる．
達人が教えるWebパフォーマンスチューニング 3 基礎的な負荷試験
達人が教えるWebパフォーマンスチューニング 4 シナリオを持った負荷試験
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ISUCONやってる人なら知ってそうという知識が多い印象はあるが，入門にも適しているという見方が正しそう．
全体的に読みやすいという印象．
ISUCONと実務での違いという点がかなり丁寧に触れられている．
「やらなくていいこと」がどのようなことであるかを明確にしている．
知識のフォローは入門的である一方，ISUCONを題材にしたセットアップ周りの案内が弱い印象．
AWSでAMIからEC2を立ち上げてSSHする際，セキュリティやネットワークの設定をある程度見る必要がある．
AWS，nginx，UNIX周りの知識は最低限持っていることを前提としている．
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