FTR102BB
光モールストランシーバ「FTR102BB」 プロジェクト
#FTR102BB : Optical CW TRANCEIVER _breadboard hr.icon
みなさんはアマチュア無線を知らなくても、「モールス信号」なら聞いたことがありますよね。Aはトツー「・ー 」、Bはツートトト「 ー・・・」など、英数字やカタカナ、記号などのそれぞれの文字には、対応する符号が割り当てられています。「・・・ ー ー ー ・・・」SOSは、かつて船舶で用いられていた遭難信号です。
通信衛星の登場によりモールス信号は使われなくなりましたが、アマチュア無線の世界では今も愛され続けています。なので「モールス信号での交信がアマチュア無線」と思っている人もいるかもしれません。暗号のようなモールス信号でメッセージを送ったり受けとれる楽しさを、みなさんに体験してもらえたらと考えました。
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FTR102BBは電波を使わず赤い光で、単3電池3本で室内で5mほどの交信ができます。
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自分で作ったトランシーバで「モールス交信」できるFTR102BB
けれどもモールス交信を体験するためには、アマチュア無線のトランシーバが必要です。トランシーバから電波を送信するには、アマチュア無線のライセンスが必要となり3ヶ月以上の期間がかかります。ですがこのFTR102BBは電波を使わない無線通信なので、一連の手続きをスキップしてすぐに交信体験ができるのです。
電波の代わりに使うのものは、人間が見ることができる光「可視光」です。調べると「電磁波のうち、ヒトの目で見える波長のもの」とあります。音や電波は波だという、光もまた波なのだという。同じ波としての性質も持つので可視光にも信号を乗せられます。それも自分で作り上げたトランシーバで交信体験ができるのです。
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無線通信の役割を再確認したい。「無線を見える化」するFTR102BB
日本語で「ラジオ」というと、放送局から電波の受信装置そのものを差しますが、英語で「radio」というと、無線で連絡するという意味を持ちます。無線とは「無線電気通信」を略したもの、無線での通信を実用化した手段は電波だけでした。
「通信」と当たり前のように書きましたが、通信とは「離れた場所間でのコミュニケーション」。通信の大切さは、通信がないことを思い浮かべればすぐにわかる。当時、中学生だった私がアマチュア無線に魅せられたのは、この通信なのでした。
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赤いスイッチを押すと左上が赤色LEDが明滅、右下の青いボリュームで受信音量を調整。
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電波を使わずに無線通信したい。FTR102BBは「光の糸電話」
思えば紙コップの底と底とを糸で結んだ糸電話は、「声を糸の振動に変換→ピンと張った糸で伝達→再び声に変換」と立派な通信ができました。糸を伝わっていく振動を「624ナノメートル」の赤い光に置き換えることにより、無線による通信ができるようにしました。伝わっていく信号は、トツー「・ー 」のモールス音です。
ですから光モールストランシーバ「FTR102BB」は、電波・通信・モールス信号・糸電話に対するオマージュなのです。小・中学生のみなさんに一から作ってほしいのです。みなさんが作りやすいこと、何もよりも「作りたくなる」ことを大切にしました(このメッセージもまた我々開発者からみなさんへの大切な通信なのです)。
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FTR102BBは、送信部・受信部・単3電池3本からなるトランシーバ
このFTR102BBに限らず、トランシーバは、送信部と受信部の組み合わせです。単3電池3本分(4.5V)のプラス(+)側を「VCC」に繋ぎ、マイナス(−)側は「GND」に繋ぎます。電池ボックスのスライドスイッチ「SW1」をOnにすると、「D3」ダイオードが青く点灯します(この青色の波長は470ナノメートルです)。
たった単3電池3本で室内で20mの交信ができる。
「電波を使わず」に、室内で「10m以上」離れた場所にいる友だちと、「モールス信号を送信・受信」できる。
中学生(できれば小学生も)が作れるだけでなく、「作りたくなる」こと。
実店舗でなくてもNet購入できる、安価な部品で構成する。自作キットとして頒布する。
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設計仕様
周波数:620nmBand(5mm赤色LED)
送信色:λD 610〜760nm(ナノメートル)
音声出力:内蔵スピーカー(インピーダンス:8Ω)
電源電圧:4.5V(単3電池 x 3)
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タクトスイッチ(SW2)によりモールス信号を約860Hzの光信号として送信します。
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送信部(TX)タクトスイッチを押すと、タイマICが発振しLEDを明滅
「SW2」タクトスイッチはモールス電鍵です。押すと「ツー」と発信します。「U1」タイマーICがモールスの音で発信します。発信周波数は二つの抵抗「R2, R3」と コンデンサ「C1」の組み合わせで決まり、「R3」が3.3kΩの時は870Hzとなり、3.9kΩの時は750Hzと低音になります。「ツー」と発信したり、止めたりの制御を「Q1」トランジスタがスイッチします。タイマICの発信「D1」赤色LEDが明滅します。「R4」抵抗は47Ω。47Ωよりも大きな抵抗にするとLEDは暗くなり、逆に22Ωと小さくすると明るくなり、より遠くまで信号が届くようになります。
受信部(RX)フォトICダイオードの信号を、オーディオアンプICが増幅
相手からの赤い光を受け取るのが「D2」フォトICダイオード、光を電気信号に変換します。「C11」コンデンサでその信号から直流分をカットし、「VR1」ボリュームで信号の強さを調整し、「U2」オーディオアンプICに入力します。オーディオアンプICから直接「SP1」スピーカーに繋がずに、「C17」コンデンサで直流分をカットします。「Q2」トランジスタは「Q1」同じトランジスタですが、役割は違います。「D2」フォトICダイオードの雑音を減らすためのリップルフィルタです
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小・中学生のみなさんが作りやすいように、ハンダ付けは必要ありません
部品の脚の向きは「どちらでもいいもの・決まりがあるもの」があります。脚の長さを適当に切り詰め、穴あきボード(ブレッドボード)に取り付けます。上下にある赤・青ラインは横一列につながり、縦5穴のつながりが2列2段に並びます。間違ったら取り外し正しい位置に直してください。回路図と同じようには見えないかもしれませんが同じです。初めての人でも4時間あれば出来上がるでしょう。
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「ソルダレス・ブレッドボード」の達人
完成後の動作確認をしてください(電池を取り付ける前に)。
通電して動作しなかったり、部品が熱を持ってしまった場合、すぐに電池を外してください。
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ハンダ付けにも挑戦しよう
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PCB(Printed Circuit Board)は両面スルーホールの72mm x 47mmサイズ(秋月C基板)です。
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FTR102BBの交信距離を伸ばすためには、どうしたらいいだろう
できましたか。赤い光の明滅がわかりますか。雑音が入る時は天井の照明が原因なので、「D2」を照明の光から遮ってください。このままでは5mほどの距離でしか交信ができません。より交信距離を伸ばすためには、どのような工夫が必要でしょうか。例えば、赤色LEDとフォトICダイオードの前に、100円ショップで売っている虫眼鏡のレンズで集光したらどうでしょう。色々なアイディアがありますよ。
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FTR102BBに興味を持った方は、ホームページをご覧ください
製作するために必要な情報や部品リストは、このページにまとめました。2台製作分の材料費は3,000円ほど、全て秋月電子通商の通販サイトで購入できます。みなさまも挑戦してみてください。
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