ハッチングの歴史と役割
from ハッチング
1. 概念と歴史
ハッチングで階調を表現する場面
フレスコ
顔料を水で溶く
絵具も下地も濡れており、絵具が混ざりやすいため
テンペラ
耐水性が弱く色重ねが困難なため
特に暗部に明度の高い線でハッチングをすることにより、テンペラ絵の具本来の発色の良さが生かされて、彩度の高い画面を生むことができる
絵画技法(10~12世紀)#696326e000000000000f419e
テンペラグラッサ
テンペラの卵黄+乾性油
滑らかで光沢を生む
ぼかしがある程度可能になる
ボッティチェルリはこの技法を用いて表現している。下層は比較的油彩画のようなぼかしやタッチで表現し、上層を明度の高い色でハッチングしているのが見受けられる。その結果、油彩画のような滑らかな階調とハッチングによる織物的階調が複合されて、硬質でありながら深みのある明暗表現が表出されている。
油彩
ぼかしが容易のため、階調表現としてハッチングが使われなくなる
2. 種類と役割
種類
パラレルハッチング
1本の平行な直線のみ
クロスハッチング
網目にクロスさせる
ダブルクロスハッチング
クロスハッチングに1方向追加
コントゥールハッチング / コントゥールクロスハッチング
対象の形態に沿って曲線でハッチング
造形要素である
ハッチングはデッサンを支える造形要素の一つでもあるため、有彩色を除いた明暗だけの表現においても有効な描画法である。よってデッサンにおいて線を同じ方向に引いて影を表現したり、質感を出したり、空間や感情を表現するためにも用いられる。形をとっただけのデッサンにハッチングを加えることで、絵に空間や質感、存在感が生まれてくるのである。
線の方向で印象が変わる
縦方向
硬さ、重さ、上下に引っ張る、重力
対象の存在感が増し、重く見える
横方向
広がり
縦よりも硬さが軽減される
横の広さの暗示
斜め方向
重力も広がりも影響しない
対象の形態に影響を与えず明暗を表現できる
影響しない分、主観 / 主題を助長する
人間の腕や手の構造上、斜線が最も描きやすい