内部構造がある絵
https://scrapbox.io/files/68901296f08879e56292886e.png
後期セザンヌの画面について論ずるときに、画面を構成する小さな面を「パッチ」と呼ぶことが多いんだけど、実際にはこのパッチには内部構造がある。絵を遠くから見ると、パッチの内部構造はほとんど見えない。しかし近づくと、パッチを構成する1個1個のストロークが見えるようになる。
1895年以降の作品には、構築的筆致よりも広い色面が、撒き散らされたように並べられている
セザンヌの絵に近づいてみると、無数に置かれた筆触はそれぞれが独立した色面として見え、その絵具の物理的な量感も伴って、描かれたモチーフは混沌としたざわつきの中に溶け入ってしまったかのように感じられる。しかし、絵から一定の距離を取ってそれを眺めると、離散的に置かれているように見えた筆触は、統一をもって画面の中にすっと収まって見えるようになる。
作品の最終的なよさと、粗い / 細かい(きれい)は異なる話題