議事録2024-04-01
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サイボウズ式ブックス、書籍の全体像、内容についての説明
Plualityの内容を見て山形さんが適任だと思った、引き受けていただいてありがたい(関)
サイボウズ式ブックスとは(高部): 2019年設立、グループウェアメーカーのサイボウズの出版部門、パーパス「チームワークあふれる社会をつくる」に貢献する書籍を刊行、利益の書店還元などを目的に掛け率50%等の取り組みも: link 書籍の全体像(西尾)
Audrey TangとGlen WeylがCC0で書いている本
ざっくり言えばSam Altmanが推し進めてるような「AIが進歩して全部解決!」ではなく、Web3が推し進めているような「プライバシーを強化して個人に対する国家の権力を削いで小さい政府にしよう」でもなく、「社会全体でも個人でもないコミュニティの集積」をよしとする第三のイデオロギーを主張する本
Github上で大勢のPull Requestを受け付ける「OSSとしての書籍」を志向していて、印刷出版後もWeb版が随時更新されていく仕組みを採用している。
山形さんにとって好ましい連絡手段を確認する
AudrayとGlenとはDiscordでやり取りしている。そこに参加するのが不明点を著者に確認するためにも良いのではないか。もし参加するなら西尾から「日本で著名な翻訳者だよ」などと紹介してGlen, Audreyに認知してもらうと良さげ。(言及されたい実績があれば聞きたい)(西尾)
山形はこれでOKです。レイモンド『Cathedral and the Bazaar』シリーズやLessigの CODEなどやっていて、経済学者Krugmanなどの翻訳やJane Jacobs Death and Life of Great American Citiesでも有名だし、OSSも技術も経済も社会コミュニティも問題ないよ、といっていただければあまり文句は出ないと思いますが、そこは先方次第です。
文句を言われることはないと思います。明確に認識された方がコミュニケーション取りやすいだろうという意図でした(西尾)
He is a renowned translator in Japan, known for translating works such as Eric Raymond's "Cathedral and the Bazaar" series, Lessig's "CODE," as well as translations of economists like Krugman, and Jane Jacobs' "Death and Life of Great American Cities." He is well-versed in open-source software, technology, economics, and social communities.
スケジュールについて
いつ頃からスタート可能か?の確認
翻訳に要する期間はどれぐらいか?の確認
山形さん:
「始める」の定義にもよりますが、今日からでもできます。ただ、初めたからといってこれだけにフルタイムで集中するわけではありません。
pdf本文だけで400ページ、結構長いですね。が、山形一人で一気にやるなら、かなり余裕見ても9月いっぱいであがりそうです。
コラボ形式でやることで追加の作業がどれだけ出てくるか、というあたりが未知数です。
翻訳期間約半年と認識いたしました。「始めて」いただくタイミングについては、著者との契約締結後(高部)
OK、「契約後2年以内に翻訳を出して」という形の契約が多い(山形)
「コラボ形式」に関しては、一番生産性の高い山形さんに「他人の反応を待つ時間」が発生しない設計が好ましいと思います。(西尾)
契約面の話(割愛)
翻訳の進め方、方針
(高部)
わかりやすい、平易な日本語で原文を翻訳したい
前提知識がない人でもできるだけわかりやすく補足を入れたい
どういう項目を補足するのかはぜひ山形さんの知識をお借りしたい(と同時にジャンル素人である私高部の視点も入れたい)
(西尾)
「のびのびやっていただく」のが良いと思う
山形さんの知識で「これを紹介するとより良くなるだろう」と思うこと補足は訳注などで足してもらうといいと思う
GlenらはOSSとしての書籍を志向しているので、原文に対する修正提案はGithub上で受け付けられている。訳す過程で原文がわかりにくいと思ったなら原文に対して変更提案をする手もある。西尾個人としては日本人が単なる情報消費者に甘んじるのではなく世界的共同構築物に貢献していく方が良いことだと思うので、改善した方がいいところがあれば本家にフィードバックしていきたい。山形さんが直接Githubでプルリクエストをしても良いし、西尾が代理でやっても良い (山形さん)
原文修正はもちろん必要ならいきましょう。GitHub未経験ですが、そんなに手間取ることはないと思います。
補足すべき話は、またやりながら考えましょう。
翻訳はどんなふうに進める感じでしょうか。
(西尾)
Q: 翻訳はどんなふうに進める感じでしょうか。
「出来上がった本がわかりやすいこと」が大事
「この書籍の日本語版を作る」というプロジェクトのスコープでは、「コミュニティの力を活かすこと」は「できればベター」程度で、さほど重視していません。
山形さんのやりやすい形で進めていただいて、原著者も「Glen Weyl, Audrey Tang & ⿻Community」となってることですし、訳者も「山形浩生 & ⿻コミュニティ」とするのが良いと思います。
関さんが説明していた「コミュニティで行うチャレンジ」に関して(西尾)
コミュニティは下記のように説明されています。
ここは何? Audrey TangとGlen Weylによって書かれつつあるThe Plurality Bookの和訳をダシにしてワイワイするところです/和訳を読んで「これってどういう意味?」とかを日本語で気軽にかける場所が必要だと思って作りました
このコミュニティのコミュニケーションにはリアルタイム共同編集が可能なWikiであるScrapboxを使っています。Googleアカウントで誰でも参加可能な状態です。現時点ではさほど活発ではなく、Weekly Active Userは2~3人です(1人が西尾)
コミュニティ活動の例
このコミュニティでは、例えば原稿中の単語に関して参考リンクをつけたり、訳語の議論をしたり、意味がわからないと誰かが書き込んで誰かが「こういう意味かな?」と書き込んだりしています
追記: 訳語について行われていた議論を訳語の議論に集めておきました GlenやAudreyの講演
またGlenやAudreyの講演を翻訳して字幕動画を作ったりもしています
これらの情報の中には翻訳に役に立つ情報もあるかもしれませんが、商業的な翻訳において翻訳者がどのようなことをしているのかを西尾は理解していないので、有益なのかどうか/どのようなことをするともっと有益なのかを判断しかねています。
訳文自体はほとんどが機械翻訳のままですし、底本がかなり激しく書き変わって章構成自体が変わっているので使いづらいと思います。英文から直接訳してもらうのが良いと思います。
日本語翻訳用のGitHubリポジトリがある?
Q: 他の翻訳参加者のみなさんは、日本語翻訳用のGitHubリポジトリがすでにあるので、そこのファイルにいろいろ修正かけ、それを山形がいい悪いさばく、という感じでしょうか?
「日本語翻訳用のGitHubリポジトリ」はありはするのですが、数ヶ月前に1ページが訳されてその後何もされずに放置されている状態です。気にせず山形さんが一番やりやすい方法で翻訳していただくのが良いかと思います。
GitHubを使うのが良ければ、もちろんそれを使うのもアリです。(西尾)
やってみたい(山形)
準備します(西尾)
頭から訳すというよりは興味のあるところから訳していく、他の人から「ここを先に」とかあっても良い(山形)
どこから訳しても問題ないです(西尾)
「原文に対する改善フィードバック」に関してどうやるか
Q: 「原文に対する改善フィードバック」に関してどうやるか
英語版はGitHubで管理されているので、GitHubでプルリクエストを送る形になります。僕が代行しても良いですし、自分でやりたければやり方を説明します。実際の貢献者が履歴に残るという意味で、後者の方が好ましいです(西尾)
原文に対するフィードバックはどの程度の温度感か。機嫌を損ねる著者もいる。(山形)
西尾としては、この「世界が協力して作り上げている思想・ムーブメント」に関して、日本は完成したものを受け取るだけの従属物ではなく、自分たちがその形成に関与していくメンバーの一員だと考えている。またPluralityの「人々の参画を促すことが良い」「多様性、衝突は新しい良いものを生み出すための燃料である」という思想からも、拒絶はしにくいのではないかと思う。(西尾)
今回の議論や今後の翻訳のどの範囲が公開可能か
最終的に和訳原稿はCC0でWeb公開される。翻訳中の原稿も内容に関する議論も、秘匿する必要のない情報はどんどん公開して行きたい(西尾)
今でもブログに翻訳中の記事をどんどん書いてる、コメントがついたりすると議論が深まる(山形)
それはとても良い。ブログ投稿とそのコメントがCC0になると宣言してもらえれば、起点がブログであってもScrapboxに転載したり書籍に載せたり事後的に自由に伝播していけそう。(西尾)
Funding the Commons との関連(関)
Glen や Audrey, Vitalik といったメンバーも呼べる可能性があり、ここでパネルなどをやれると、Pluralityについての認知が広がるかもしれない。
24日だと日本にいれるかもしれない。原稿が訳されたところから次々出ていくスタイルなら、Funding the Commonsの内容と関連の強いところから訳すのも手(山形)
議論が惹起されてとても良さそう(西尾)
ネット上の文章と書籍版の差は何か
原文の翻訳はネット上でも公開するが、前提知識のない日本人向けに文脈を補ったりする脚注を足すのはどうか(高部)
脚注などはネット上の方がやりやすいのでは。追加で解説をつけるとか、日本の文脈で使えるの議論の座談会を行なってそれはネットにはないという形もある(山形)
脚注は確かにネット上の方がやりやすいが、一方でネット上のゴチャゴチャしたものではなく一次元的に整理された読みやすいものが良いという読者も多いのではないか(西尾)
プルリクエストの実例紹介(西尾)
編集差分の提案、例えば本文中にgroupwareという単語が出てくるのですが、これ周囲3段落くらい西尾が書いています: patch これを「こんな感じでどう?」と提案して「いいね」となったら反映されます: pullreq こういう改善プロセスが回る「OSSとしての本」をGlenは目指していて、採用された改善はWebにすぐに反映され、紙の本には改訂の時に取り込まれる、という流れが予定されています。