日本語翻訳の進捗とつっこみを報告するページ
https://scrapbox.io/files/66601a5b54a069001da36231.png
(雑談に入れとくのもアレなので別建てのページにしました。上の表紙は英中版をもとにした全くのでっち上げ)
2024/06/04
翻訳、しばらく間が空きましたが、始めたら結構早いですねー。3章の半ばまでと、7章の後半があがっております。
VSCodeはgithubにコミットしたと報告していますが、実際にできているのかは未確認。
できてなさそうです、でも下記のadobe.comを使うやり方で進めるのがやりやすければそれでもまったく構いませんnishio.icon
うー。ではVSCode君はどこにあげてるんだろう……hiroo yamagata.icon
localのリポジトリにコミットしてて、Githubにpushはされていないとかかもしれませんnishio.icon
とりあえず、できた部分は以下の通り。pandocでmarkdownをMSWordにまとめて、いいかげんな表紙をつけただけのものですが、お読みになりたい方はどうぞ。たぶん6月半ばくらいに一通りあがるのではないかと。
何かまちがい気がついたらご教示ください。あと「この部分読みたいから先にやれ」などリクエストも随時受付中。
ありがとうございます。早速読ませていただいておりますkuromaku2022.icon
気になった部分をお伝えするのに、直接上記Adobeのサイトに接続して書き込んでみました
2024/6/5
hiroo yamagata.icon
KUROMAK2022様、早速ご指摘ありがとうございます!
いただいた指摘反映しました。
裏方話ですが、図の入れ方をmarkdown式に変えてpandocで自動的に図が入るようにしました。
VSCode はいちいち過去の出現例を羅列してくれたりするが変換前の文字が隠れたり、お節介すぎる面が多々ある
7-0 の翻訳あがりましたので含めました。
7章見ると、英語の書籍版に入っている注がほぼ全部ぬけているし、変わった部分もあるので、反映しました。最後にまとめてチェックが必要ですな。
「テクノロジー」というのが全部コンピュータソフトだけの話なのがエンジニアあがりとしてはたいへんむかつく、もとい混乱するので (コンクリのスランプ試験は民主主義と対立なんかしないぞ! 木工はどうだ! 金型は格差を助長しないぞ!スパークプラグ万歳!)、ほとんどのものを「IT」にしました。いかがでしょうか。
面白い指摘!nishio.icon
Brain Machine Interfaceとかは半分生物学ですけど、それ以外に関しては大体全部情報処理技術だと思います
ということで、以下が更新バージョンとなります。
2024/6/5
hiroo yamagata.icon
第3章終わりました。
図をそこそこ日本語化しました。
だんだんバージョン増えてきたので管理しないと……githubを少し勉強します。
おつかれさまですkuromaku2022.icon
引き続き読ませていただいております
もう少しお知らせが溜まってからと思っていたのですが重要度が高そうなので1件のみですがご報告
日本語訳PDFのP.13「アトム化された党派化」という表現にひっかかりを感じました。 当初はただ「○○化された××化」という表現は他の言い方に変えた方が良いのでは?ぐらいの話だったのですが、代替案を考えているうちに、お知らせしたい内容のボリュームが大きくなってきたので、Scrapbox上で複数の方の意見を聞きたいです。
自分は「アトム化」という言葉は「はじめまして」
ネット検索したらそれ程特殊な言葉ではない、というのも分かった
脚注を足すとかで説明を追加しないと伝わりにくそうnishio.icon
These have, respectively, empowered centralized top-down control and turbo-charged atomized polarization and financial capitalism.
試しに英語版PDFの中を"atom"で検索をかけると
atom 3
atomist 7
atomistic 6
atoms 5
atomic 4
atomoism 3
atomized 3
atomizing 1
合計33件あると出る
34件と出る場合は「anatomy」が含まれる
ざっと見た所、
atomの3件は「原子」の意味で使われている
atomsの5件のうち1件が「原子」の意味で使われている(別の引用文のタイトルにある1つは不明)
atomicの3件のうち1件が「原子力」(atomic energy)の意味で使われている
それ以外は「単一」の意味で使われているように見える
この本の中では「単一」は「多元」と対になる(反対の)考え方なので、atom関連の訳語はある程度統一されていた方が読者の理解は進むのではないかと思う
特にこういう考え方が「はじめまして」の人や慣れてない人には、その方が分かりやすいし、寄り添うメリットが大きいと考える
polarization
polarize
polarized
に関連したところでもありそう
ちなみに訳文の「アトム化された党派化」は原文の"atomized polarization"だと思うのですが、atomized polarizationをgoogleでフレーズ検索するとヒットするページが非常に少なく、主に3つの文章に行きつく 1つはPlurality
残りの2つは論文と書籍ですが、中を検索してみると使われている部分は全く同じ文章でした
どちらかがどちらかを引用/参照しているのか、元々同じ文章なのか?
↑
hiroo yamagata.icon悩むところですねー。
原子だと、物理学の話をしてるのかわかんなくなるので、これはアトム化から変えるつもりはありません。説明を追加する手はあるかとは思います。
👍nishio.iconkuromaku2022.icon
あとpolarizationも悩みます。だいたい右派と左派の議論が極端になる話となることが多いので、党派化としてますが、極端化とか先鋭化とかいうほうがいいのかもしれません。
さてこの両者をあわせるとどうなるか? 正直、著者たちがatomized polarizationというときに具体的にイメージしているものはかなりわかりにくいです。
atomized、つまりアトム化=まったく他とつながりのない、バラバラの独立した存在になるということですが、するとatomized polarizationということは、一人一党みたいな、万人が自分一人の派閥になってしまう事態か?
その一方で、polarizationというからには、ある種の集団的な傾向がある、というのが前提です。その中にpole、つまり極があるから、そっちに集中するのがpolarizationということです。ある意味で、アトム化とは別の指向だったりします。
(ちなみにぼくはいまのネットや政治の文脈で使われるpolarizeという言葉はあんまり好きではなく、全体にこの用語を使う人は左派リベラルが多くて、彼らは自分たちは意識の高い高度で立派な考えを持っているのに、右派の連中 (だけ) がpolarizeしてポピュリズムに走りトランプなんかを支持するようになった、あいつらがバカで悪いので困ったものねー、みたいな話になっていて……が、閑話休題)
その意味で、atomized polarizationというのはちょっと変で、著者たちもあまりしっかり考えていないとは思います。
とはいえ、文脈と著者たちの主張から見て、それで言わんとされているのは、「根無し草的にバラバラになった個人たち=アトムが (噂やフェイクニュースに流されたりして) 極端な立場を採るようになること」くらいの話です。
だからまあ、「アトム化による党派化/極端化の促進」くらいが落とし所かな、と思います。
nishio.icon根無し草的にバラバラになった個人たち=アトムが (噂やフェイクニュースに流されたりして) 極端な立場を採るようになることという説明はすごくわかりやすいと思うので脚注に入れるといいのかもと思いました
+1kuromaku2022.icon
とても分かりやすい説明ありがとうございます。ここ何年かのネット上の議論(日本語のものに限りますが)を見ていて自分が感じている状況が、実に見事に表現されているなぁと思います。「根無し草的にバラバラになった個人たち=アトム」が極端な立場を採る。噂やフェイクニュースにも流されますが、「あ、叩ける!」となった時にわーっとコメントツリーに集ったり、凸ったり、特定班が出現したり・・・個人的には「注目経済」の一つの側面と捉えています。kuromaku2022.icon YoutuberもX民も右も左もフェミもアンチフェミもこういう傾向がある反面、その中に一定数「意図を持った既存の党派」の人も紛れていて、誘導というか「流れ」を作りだそうとしている(ように見えることがある)
(陰謀論かも?)
2024/06/07
5章が半分まで (5-0〜5-3) 訳了、図の日本語化がほぼ完了。上のアトム化云々はまだ思案中。
あと、ツイッターでのコミュニティノートが事例としてあがっていて、そのスクリーンショットがあがってるんですが、それを図として訳すのもあまりに手間だしまぬけなので、日本語のやつと差し替えようと思います。あたりさわりなくて、苦情がこなさそうなやつとして、こんなんでいいですかねえ。他に「これにしろ!」というのがあればご提案ください。
https://scrapbox.io/files/6663d7d6257ef5001cb3eee4.png
英語版ではこれです。
https://scrapbox.io/files/6663d8509c344800228e824d.png
いいと思います!nishio.icon
+1kuromaku2022.icon
ちょっと個人的に余裕がなくてしっかり見れていないのですが、Twitterに書かれてる意見とかはいい議論の種になりそうだと考えていますnishio.icon
特にこれは上流に「違うだろ」とフィードバックした方がいいかもと感じました(まだ原文とか確認できてません)
……う、うーん、これはさすがにちょっとパンピー向けにしても石を投げられるレベルでは……
たとえ一般人向けであっても事実はなるべく正しく伝えられるべきだと思いますから(分量が増えすぎたり話の流れが破綻しない範囲で)
2024/06/08
hiroo yamagata.icon ↑
書籍版pdfだとp.123 の下のあたりです。
Richard Stallman, opposing the closed nature of the Unix OS developed by AT&T, led the “free software movement”, promoting the “GNU General Public License” that allowed users to run, study, share, and modify the source code. This was eventually rebranded as OSS, with a goal to replace Unix with an open-source alternative, Linux, led by Linus Torvalds.
古参のフリーソフト屋はこれ観ただけで本を投げ捨てるレベル。
インターネットの歴史をさんざんやってるのにBINDやsendmaiその他インターネットのインフラすべてがオープンソースだという話すらないのは不思議なくらい (OSSこそ多元性の権化だと喧伝すりゃいいと思うんですが)
フリーソフトの歴史の講義をする気はないので (著者たちも関心ないようだし) この段落の記述を改めるという方針で、次の段落冒頭含め、ちょっと変更案考えておきます。
あと、p.23の中国の社会信用/social creditの話は、引用されている参考文献含めデタラメです。wikipediaにすら、その点は明記されています。
Contrary to popular belief in English-language media, there is no single social credit system or score. Social credit remains a fragmented set of policies and systems which impact businesses more than individuals, including financial credit reporting, blacklists for judgment debtors based on specific court orders, sectoral blacklists and redlists addressing non-compliant and compliant companies and their owners, no-fly and no-ride lists based on specific instances of train or plane passenger misconduct, and voluntary local programs which can provide rewards based on individual scores but no penalties. (強調引用者)
これは中国語版でどう処理されているんだろうか。これも改訂案考えときます (該当箇所削除するだけですむと思いますが)
2024/06/11
hiroo yamagata.icon
第5章訳了。これまでご指摘いただいたミスは反映しました。
ご対応ありがとうございますkuromaku2022.icon
続きも読ませていただきます!(2-0まで読み終わりました)
2024/06/12
hiroo yamagata.icon
第6章訳了。あと4章をあげたら一通りおしまい!
2024/06/14
kuromaku2022.icon
お疲れ様です。
2-1、P.27「親社会志向」という言葉に読んでてひっかかりを感じます 「おやしゃかい」と読んで「?」ってなって、「ああ、『しんしゃかい』か」となりました
※単純に「私が知らないだけ」の場合はそっとお知らせください・・・
いろいろ調べてみたり各種AIに質問してみた(→pro-social)ものの、調べている途中でなんだか良く分からなくなってしまいました 皆様の意見をお聞きしたいです
「親社会志向」はGoogleのフレーズ検索で1件もヒットせず
「親社会性」だとそこそこヒットします
"prosocial"や"pro-social"で検索すると「向社会性」で出てくることが多い
原文(Plurality-english.pdf)にpro-socialは4カ所、pro-socailityが1カ所(P.50、P.100、P.370、P.371、P.372)
『多元宇宙』日本語訳しかかり 20240612バージョンに「親社会」と訳している所が3カ所(P.27、P.264、P.265)
"pro-socail"を「親社会」以外で訳しているのが2カ所
"a new pro-social":「新しい社会志向」
"impersonal pro-sociality of citi-zens":「市-民」(都市の人々)の非人格的な社会性
※ちなみにcitizensにハイフンが入っているのはここだけ。citizen、citizens、citizenship(ハイフン無し)が70件あるが、何故ここだけハイフンが入るのか?ちょっと不思議です
nishio.iconpro-socialってどういう意味?
⿻Plurality Assistant.icon「プロソーシャル(pro-social)」とは、他人や社会全体に対して利益をもたらす行動や態度を指します。これには、助け合い、共有、協力、慈善活動などが含まれます。プロソーシャルな行動は、社会的な絆を強化し、コミュニティの健全な発展に寄与します。
例えば、困っている人を助ける、ボランティア活動に参加する、公共の場で他人に配慮するなどがプロソーシャルな行動の具体例です。この概念は、心理学や社会学の分野で広く研究されており、個人の幸福感や社会の安定性にも関係しています。
nishio.icon検索して答えて
⿻Plurality Assistant.icon「プロソーシャル(pro-social)」という言葉は、他者や社会全体に利益をもたらす行動や態度を指します。これには、助け合いや共有、協力、慈善活動などが含まれます。プロソーシャルな行動は、社会的な絆を強化し、コミュニティの健全な発展に寄与するものです。
例えば、新しいプロソーシャルメディアモデルは、連帯とダイナミズムに関心のある組織によって自然に育まれ、より広い社会的文脈で販売されるでしょう。これは、従業員が一丸となって共通の目標を達成し、変化に適応するためのソフトウェアのように、企業に販売されることが多いです【6-4: メディア (2024-01-17時点)】。 他人や社会に利益をもたらそうとす行動や態度、という意味から考えると「利他的」って言葉が浮かぶけど、どういう意味で違う言葉を使ってるのかnishio.icon
「著者に質問」コースかな〜?
2024/06/17
hiroo yamagata.icon ダカールにおります。今日はイスラムの儀式の日で、家長がヒツジを家で屠畜する日です。町中にこうやって、あと半日の命のヒツジたちがつながれております。
https://scrapbox.io/files/6671868d2bdfd9001caa4563.jpg
で、 pro-socialは、社会指向、とでも訳すほうがわかりやすいかな、と思います。完全な個人 (アトム化した存在) を前提にした仕組みではなく、もっと人々のつながりを重視した社会的存在として人々をとらえ、そうした社会のまとまりを支援する、というような意味です。
しょうじき、すごく厳密に使われている用語ではなく、Facebookがソーシャルネットワークでーす、つながりを育みまーす、というときのソーシャルの意味合いなので、あまり厳密に定義とかを追うのも野暮かなとは思います。
かれらは、いまのSNSをアンチソーシャルメディア、分断と対立と不和を煽る存在として本書で描いています。プロソーシャルというのは、その真逆ということです。
全訳があがったので、以下のページに続きは引っ越します!(6/19)