クレームの抽象度と発明再現性
クレームの抽象度と発明再現性
特許法上の発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である(2条)ため、反復実施・再現可能性が要求されます。クレームを上位概念化しすぎて、何をどのように再現するのか不明となっては発明成立性がないと判断されても仕方がないと思われます。
「発明」は技術的思想、すなわち技術に関する思想でなければならないとしているが、特許制度の趣旨に照らして考えれば、その技術内容は、当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていなければならないものと解するのが相当・・・最高裁 昭和52年10月13日判決 (昭和49年(行ツ)第107号 審決取消請求上告事件)
すなわち、クレーム記載の発明は、「実施可能性」、「反復可能性(再現可能性)」、「具体性・客観性」を要するということである。
よって、実施可能要件(特許法第 36 条第 4 項第 1 号)が、明細書の記載要件であって、請求項の記載要件ではないことは、クレームの発明に「実施可能性」、「反復可能性」が問われないことの根拠とはならない。