1-5.明細書の作成工程
5.明細書の作成工程
明細書の書き方を学ぶには、それがどのような工程を経て作成されるかを認識しておく必要がある。
特許明細書の作成工程をみると、大きく分けて、次の3つの工程に別れる。
https://gyazo.com/6dd190a677e4725a3caf18a54097442d
第1・・・発明情報収集工程
第2・・・発明把握工程
第3・・・発明表現工程
すなわち、発明情報を収集し、それらを理解・解析して発明を把握し、その結果を文章表現するということである。
第1の発明情報収集工程では、発明者から提供された提案書、発明者インタビューの結果、先行技術調査の結果、発明を理解する上での関連技術情報などを収集する。すなわち、明細書作成者は、発明者に会って、どのような発明をしたのかを聞き、提案書があればそれを受けとり、先行技術調査を行い、また、関連する技術情報を調査する。
第2の発明把握工程では、収集した発明情報を理解し、どのような発明がされたのかを解析、把握し、先行技術との関係性から特許を受けるべき発明を特定する。
第3の発明表現工程では、把握した発明を言語化する(日本語をもって表現する)。発明は技術思想であるため、その特定は言語・文章により行うのが最適であり、特許法は文章による発明特定を要求している。なお、およそ人間は事物を言葉でとらえ、思考しているのであるから、発明表現はすでに少なくとも第2の発明把握工程で開始されている。この第3の発明表現工程では、すでに言葉で捉えられている発明概念をさらに推敲し、より権利対象としての適切な発明表現にすることを企図するものである。
ここで、発明把握の前提となる第1の発明情報収集工程はとても重要である。情報が十分にないと正確な発明の把握は困難であるし、とりわけ、なにをもって新規な発明とするのかを定める境界情報となる先行技術の調査のスキルについては、それだけで、語り尽くせないほどである。
しかし、ここでは、発明情報の収集がすでに終わり、発明情報が揃っていることを前提に、第2の発明把握工程及び第3の発明表現工程について説明する。そして、第2の発明把握工程においては、発明把握のルールとそのルールを活用した発明把握の手法について、第3の発明表現工程においては、特許実務上特有の表現様式・スタイルについて説明するとともに、その様式・スタイルに合わせて、どのように発明を表現するかという表現スキルについて言及する。
ここでの思考過程は以下のように示される。
https://gyazo.com/58546a379b6883403b4ce328d5dfc6a2
このような思考に基づき明細書を作成するには、以下の知識と能力が必要である。
https://gyazo.com/da2bfefa96f76515ebc0f2d67c4cdaca