発音できない!或いは無理に原語読みする必要はない?
日本人←→韓国人の場合は、カタカナ・ハングル・ローマ字表記である程度の現地読みが可能であるが、中国の人名や地名を仮にカタカナ表記で現地読みに近い音で読んでも、日本人の発音では中国人には理解されないので、日本の漢字読みのままで読んで欲しい。
毛沢東 毛泽东 (Máo Zédōng) マオ・ツォートン 마오 초돈 모 택동
習近平 习近平 (Xí Jìnpíng) シー・チンピン 시 진핑 습 근평
中国以外の外国については,音をカタカナで書いているのに,なぜ中国だけ特別にしたのだろうか。 大変,大きな問題であり,難しく,自分でも思考途中だが,日本人の都合を第 1 に優先するのはど うしてなのか疑問に思う。(清水義範)
日本人でも,自分の名前の漢字は大切な意味を 持っているはずで,間違えられるといい気持ちは しないだろう。中国人の場合はなおさら文字を大 切にしており,漢字に意味をこめている。そのた め,漢字表記が重要なのである。漢字には 1 つ 1 つ意味がある。中国語でも,漢字は違うが読みは 同じものがある。「力」と「麗」はいずれもカタカナで書くと「リー」になるが,これを原音どおりだからとカタカナで書いてしまうと,その人が力強い男性なのか,またはうるわしい女性なのかが わからない。
また,中国語には方言があり,原音とひとことで言ってもいくつもの読みがある。そのほか,四声もあり,日本語の 50 音の範囲に含めることが できない。こうしたことから,原音読み・カタカナ表記にしても,中国人にも,日本人にも違和感 が生じてしまうのである。
なお,中国出身の映画俳優などで,原音読みが定着している人については,カタカナ表記・原音読みにしている。これは特例扱いである。(加藤青延解説委員)
中国からの観光客が日本を訪れ,標識や駅名,店名に漢字が使われているために,とても便利であると感じた という話はよく耳にする。今では彼我の漢字の字体には若干の差があるようになってはいるが,それでも,漢字は見れば理解できるという特長を発揮し続けている。このような漢字の有用性を思えば,今のグローバル化だけ を尊重して音を重視するあまり,中国の人名・地名を現代中国語音で呼び,それを仮名書きだけで記すというやり方は取るべきではない。
〜略〜
国際社会で通用するためにという目的で,日本語風の近似音で中国の人名・地名を呼んだとしても,それは 中国人には通じない。そしてまた,英語の中での中国語近似音とも通じないのであり,無用な負担を日本語とその話者に強いることになる。
しかし,一方で,日本と中国との間で,人的交流がさらに盛んになり,お互いの文化,トレンドが刺激しあうようになれば,日本にはもっと中国の原音が溢れるようになり,そこから中国語由来のカタカナ語が生まれることになるだろう。やがてそこに,今の時代に生まれる漢字音──呉音,漢音,唐音につぐ,「新唐音」とでもいっ た音が生まれるとしたなら,それは日本語として何とも豊穣な姿ではなかろうか
個人的感想
「音」よりも文字を優先した論調では?
日本←→中国や台湾で、会話が通じなくても漢字を見て理解できるという「幻想」
繁体字・簡体字に関わらず、そもそも一般の日本人には「日本風漢字読み」としても読むことが困難な字が多い。
日本では漢字の音読みが複数あることも多く、読みを充てるのが難しい場合もある。
人名や地名は固有名で、文字の意味も大切だが、人なり土地なりが有するオリジナルの「オト(音声)」が尊重されるべきでは?
もともと漢字圏のベトナムやシンガポール(中国系の人は漢字名も持っていると思われる)の人名・地名はカタカナ表記になっている。
2つの音がある場合の大半は、漢音と呉音の違いがあるために発生している。この場合、漢音を選択するのが正解である。漢音かどうかを調べるには、漢和辞典を見れば良い。
例えば、「馮夢竜」という人名がある。「夢」という字は日本語では、「夢想」(むそう)や「夢中」(むちゅう)のように、「む」という音を用いることが多い。しかし、「夢」を「む」と読むのは実は呉音であるので、中国系の人名の読みに用いるのは適切ではない。「夢」の漢音は「ぼう」であり、こちらを用いる方が、伝統的な読み方になる。また、「竜」という字は「りゅう」と読むのが普通だが、「りゅう」は呉音である。「竜」の漢音は「りょう」で、こちらを用いた方が良い。だから、「馮夢竜」は「ふう・ぼうりょう」と読むのが伝統的な読み方にかなっている。これを「ふう・むりゅう」と読むと、素人らしく感じられる。
もう1つ例として、「李木立」という人名を考えてみよう。これは「り・もくりつ」でなく、「り・ぼくりゅう」である。「木」は、漢音が「ぼく」で呉音が「もく」である。また、「立」を「りつ」と読むのは慣用音であり、本来、漢音は「りゅう」である 3 。 冯梦龙 Féng mènglóng フェン・ムンロン?
李木立 Lǐ mùlì リー・ムーリー?
四声 Sì shēng
非中国語圏の人は声調(shēng diào)通りの発音は出来ない?
table:ABC拡張キーボード
第1声 option+a ā ī ū ē ō
第2声 option+e á í ú ǔ ù
第3声 option+v ǎ ǐ ǔ ě ǒ
第4声 option+_ à ì ù è è
非漢字圏ではピンインのローマ字
Xí Jìnpíng → Xi Jinping
英語圏ほか漢字を使わない文化圏の人は、4声を無視してローマ字読みと思われる。
日本人の間あるいは日本に詳しい外国人(中国人も含めて)とのコミュニケーションであれば、日本風読み方でもOKかもしれないが、非漢字圏の社会では通用しない。