9853_「OSB合板貼り放し」安価な材料に命を吹き込む木工事
1階の床は、コンクリートの基礎スラブをそのまま見せています。そのコンクリート床に負けない、壁材をと考えました。一般的なビニールクロス貼りでは、優しすぎてしまいます。天井高も4m以上あるので、壁の面積も大きく、安価で強い表情を持つ素材、「OSB合板」を貼ることになりました。
https://gyazo.com/ee6974518dad455a1b7a71da4146ed2c
2階から見下ろすと、1階を一望できるのが気持ちいいです。今日は夕方に出向きました( 2017.11.14) hr.icon
「OSB合板」とは、配向性ストランドボード(Oriented Strand Board)。
木材の小片を、接着剤と混ぜて熱圧成型した、構造用合板の一種です。
「低質な広葉樹を加工して構造用合板にする」という所が好きなのです。
もともとOSBは、アスペン(ポプラの一種。北米の未利用樹種)など、柔らかで曲げ強度も低いため、そのままでは建材として利用しづらい低質の広葉樹を加工して、構造用の材料に使用できるよう転換させたものである。
具体的には、木材を薄い削片状にしてから乾燥させ、熱硬化性接着剤とともに積層し、高温のプレス処理を経て強固な板材にしている。
https://gyazo.com/4e32c90377cd72d1d9bb205bed58fbf2
天井材、壁材、床材。この3要素を対比させたい。
それぞれの素材の関係は、「大人と子ども」の関係ではなく、
「大人と大人」の関係にならないと、美は生まれない。
この対比の美を、「二元対比」と言うそうです。
二元対比と間合いの美
https://gyazo.com/213e5c4182f422a26eed5a195d0b9c6a
女性がいて男性が引き立つ。男性がいて女性が引き立つ。
この二元論が日本の美学の原点です。
世阿弥が「せぬところが面白き」といっていますが、
これは男女の二者を合体させない間合いが大切であるとし、そしてその間合いが、さらに面白くなければならないとしているのです。
https://gyazo.com/3c8b2bf31e6643672ed4d98833d176fc
尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」の紅梅を女性、白梅を男性として眺めてみてください。
紅梅が、いかにも色っぽい曲線をもって女性的に表現されているのに対し、
白梅の枝は、ガッガッガッと稲妻のように角張っています。
hr.icon
手前側は天井の高い1階のみで、奥は2階建てになっています。
「天井の高い空間」と「天井の低い空間」を対比しています。
https://gyazo.com/cb9c55a470626a3b591c84d76d249402
「コンクリート打ち放し」という仕上げがありますが、
「OSB合板貼り放し」ともいうべき、空間になりました。
1枚の大きさは「91cm x 182cm」。OSB合板は、安価な材料です。
その安価な材料に命を吹き込むには、ていねいな木工事が必要でした。
180枚を、できるだけ継ぎ目がわからないに貼りました。
https://gyazo.com/004226fb339110bee4645be29103e62b
同じ大きさの窓なら、高い位置にあった方が採光できます。
あえて窓枠は取り付けず、「くり抜いた正方形」とした方が、
窓から見える青空の、額縁にふさわしいと考えました。
このことも、窓を高い位置にした理由でした。
三つ並んだこの窓を、外にまわって見てみます。
https://gyazo.com/f3bb86d5cc957d7fbe14154d3de2a9cd
正方形の窓からは、光が溢れています。
今日は夕方に出向きました。いつの間にか日が短くなっています。
基礎工事をしていた頃は、とても暑かったのに。
そんな夏は、ずいぶんと昔のように感じてしまいます。
hr.icon