マネジャーの実像
原題: Managing 2009 (日本語訳は2011)
『マネジャーの実像』 by Henry Mintzberg
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3つの神話を打ち砕く
Q. マネジメントとリーダーシップは別物である?
A. 同一、またはマネジメントの一部がリーダーシップである
1970年代から2000年頃まで、リーダー(変化に対応する人)とマネジャー(ものごとを正しく行う)を区別するのが流行した
言葉のうえで区別することはできるかもしれないが現実に意味がない
リーダーシップをいっさいふるわないマネジャーが機能するとは思えない
実際にはリーダーシップが過剰にもてはやされ、本当に必要なマネジメントが不足している
リーダーをもてはやすほどにフォロワーの地位がおとしめられ、マネジメントにおいて重要なコミュニティ意識が弱まる
Q. マネジメントはサイエンス、ないし専門技術である?
A. どちらでもない
実践の行為であり、主に経験を通じて習得される
具体的な文脈と切り離して論じることが出来ない
アート 3・クラフト 6 ・サイエンス 1ぐらい
マニュアル化してうまくいく部分がほとんどない
効果の実証された方法論などありえない
Q. マネジャーは大きな変化の時代に生きている?
A. 対処する課題は時代とともに変わるが、マネジメントの仕方はほとんど昔と変わっていない
変化しているものしか目に入らないのでずっとそのように言われる
マネジメントのダイナミクス
永遠に、一時たりとも解放されることのない仕事
仕事を忘れる自由がなく、仕事をすべて片付けたという解放感は一時的にでも味わえない
ohbarye.icon 強い
中断の連続
マネジャーは最新の情報が入ってこなくなることを恐れているので中断や割り込みに対応する
マネジャーは機会損失を恐れる。ほかの仕事を放置して1つに専念すると好ましい結果を得る機会を損なうのではないかという不安
ほかにもっとやるべき仕事があるのではと常に思っている
行動志向の強さ
定型業務でない、最新の、動きと変化と流れのある活動を好む
沈思黙考して計画を練るマネジャーはほとんどいない
組織の公式・非公式の情報が脳内にデータベースとして存在する
これが代替の難しい部分であり、部下に仕事を任せる際の不安につながる
状況をすべてコントロールできるわけではないが、まったくできないわけでもない
目に見えない形で状況をコントロールしていることが多い
自分が果たすべき職務を新たにつくり、望む活動のための時間を強制的に確保したり、目的を推し進めるために既存の職務を利用する
成功するマネジャーは最も自由な人物ではなく、手持ちの自由を最大限活用できる人物
ohbarye.icon マネジャーに限らず言えそう
マネジメントのモデル
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マネジメントは3つの次元で行われる
情報の次元
周囲の世界全体とコミュニケーションをとること
情報を通じて組織内をコントロールすること
コントロールに対して否定的な考えもあるが、重要なのはコントロールする役割を避けるのではなくコントロールのことばかりを考えないようにすること
情報を通じたマネジメント
組織が目的を達成するための直接的な行動から二歩距離をおく
マネジャーが情報を処理し、情報を使ってほかの人間を動かすことで必要な行動をとらせる
役割を適切に果たしているマネジャーなら、組織内の誰よりも情報を持っている
組織を代表して話をする
組織の主張を通すためのはたらきかけをおこない、所管業務の専門家として公に振る舞う
情報のコントロールとは
設計
組織の戦略・構造・システムをつくること
役職の指揮命令系統やメンバーの職務が明確化することでコントロールしやすくなる
委任
マネジャーが課題を発見したうえで、対処するための決定と実行をメンバーに任せること
選定
意思決定プロセスの最終段階、組織としてとるべき行動を選び出す段階に関わる活動
分配
資金・資材・機械・労働力などの資源の割り振り
注意すべきこととして、なんらかのものを資源とみなす場合、そのものを大抵数字でデータとして扱うことになる
従業員を人的資源(リソース)と呼べば、従業員を人間ではなく数字として扱うことになる。言い換えれば人の存在全体ではなく労働力という一つの側面だけに着目する結果を招く
人間の次元で対人関係のマネジメントをしているつもりで、その実、情報の次元で非人間的なマネジメントをしているケースが極めて多い
ohbarye.icon 人的資源をリソースと表現することについて「人をモノとして扱わないでほしい」という情緒的理由による強いネガティブ感情を示す人はけっこういる。自分は言葉の表現は瑣末な問題として無頓着だった一方、人間存在の複雑性を捨象して単なるヘッドカウントの話に矮小化されることによる議論の噛み合わなさは経験があり、それが次元の違いからくるものだと説明されているのに合点がいった
ohbarye.icon エドガー・シャインも同じようなことを言っていた
関連: 人的資本経営
想定
マネジャーが明確な方向性を打ち出せないまま目標設定が行われる傾向が強い
どういう行動をとるべきか自分自身がわかっていないときに目標を設定して、メンバーに結果を出させようとするマネジャーがあまりにも多い
人間の次元
組織外と関わること
時間をかけて強固なネットワークをつくる
対外的に組織を代表し、みんなが仕事を中断されずにすむように、応対する
組織のニーズを代弁し、組織の目指す結果のための根回しをし、組織の活動の成果を宣伝し、組織の価値観を訴える。組織のために組織の外部で影響力を振るう
外部からの影響や流れをコントロールする緩衝装置となることもある
外部のニーズをチームに伝えることも重要だし、プレッシャーを組織内に撒き散らすのが有害なときもあり、一種類の行動様式ですむほど単純ではない
組織のメンバーを導くこと
人間を動かす、背中を押して行動させることであり、情報の次元とは態度が大きく異なる
マネジャーになったときの最も大きな変化は「私」から「私たち」への発想の変化
マネジャーになるとは、物事を成し遂げるためにそれまで以上にほかの人に依存すること
リーダーシップは授けられない。学習により身につけ、実際の行動を通じて勝ち取る
人々がもともと持っているエネルギーを引き出す
ハーマンミラーのCEOマックス・デプリーによればマネジャーの仕事は「障害を取り除き、物事を行える状況を作ること」
成長を促す
後押しするためには業務のお手本をマネジャーが行動で示すこともある
新人マネジャーははじめのうちは一人一人のメンバーと強力な関係を築くことがマネジメントだと思い、チームづくりの責務に気づかない
組織文化の構築・維持
意思決定がコントロールの手段だとすれば、組織文化の構築は、意思形成を通じてリーダーシップを発揮する手段といえる
マネジャーは組織の情報中枢であるだけでなく、組織文化のエネルギー中枢でもある
ビジョンを推進力とし、組織を一つのコミュニティとして前進させる
行動の次元
組織外と取引すること
同盟関係を築く
交渉を行う
組織内で物事を実行すること
ある業務を完了させるために必要な行動を自分自身で取ること。2つのタイプがある
主体的にプロジェクトマネジメントする役割
発生したトラブルに対処する役割
うまく機能する組織とはトラブルを発生させないだけではなくトラブルにマネジャーがうまく対処できる組織
コントロールとリーダーシップ偏重のマネジメント論ではマネジャーの行動(現場仕事)が軽視される
ものごとを実行せず現場で何が起きているかを把握できていないマネジャーは賢明な決断や大胆な戦略を打ち出せない可能性がある
やりすぎることをマイクロマネジメントと呼ぶむきもあるが、まったく実務を行わないマクロマネジメントは成立しない
加えて、中心には仕事の基本設定(戦略立案、業務の優先順位決定)とスケジュール・計画立案がある
組織のメンバーが仕事をするための枠組みを示す
スケジュールの組み方が、手持ちの自由をどれだけ活かせるかを決める
3つの次元すべての役割を果たしてはじめてマネジャーはマネジメントに不可欠なバランスを保てる
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ただし優れたマネジャーはすべての均等にこなすわけでなく一部の役割にとくに時間とエネルギーを割く
必要なバランスはたえず変化するからである
マネジメントの知られざる多様性
マネジメントの多様性や本質的な共通項について語られている章
研究者と実務化が重視する国民性やマネジメントの個人的なスタイルは、一般に思われるほどマネジャーの行動に影響を及ぼしていない可能性がある
いったいどのような要素が影響するのか?
外部的要素
文化
セクター
特定のセクターのマネジメントがほかより優れているという主張は理屈にあわない
業種
組織的要素
組織のタイプ
ミンツバーグの観察によれば、マネジャーの行動に及ぼす影響が飛び抜けて強いのは組織のタイプ
我々は実務でもアカデミズムでも組織というおおざっぱな言葉で議論しているが細分化できる
起業家型組織
1人のリーダーを中心とする中央集権型組織。リーダーはビジョンを打ちだすだけでなく自分自身で実行と取引を行う
機械型組織
正式な構造があり、単純な反復的業務を行う
マネジャーは明確に示された指揮・命令関係にもとづいて行動し、コントロールの役割に割く時間がきわめておおい
専門家型組織
専門家であるメンバーはおおむね自分の判断で仕事をする
マネジャーはメンバーを支援したり守るため外部との関わりに力を注ぐ
とりわけマネジメントに強烈な影響を及ぼす組織形態
プロジェクト型組織
専門家で構成されるプロジェクトチームを中心に、革新的な活動に取り組む組織
マネジャーは人々を導きチームワークを高め、現場の業務を実行して課題を処理し、外部と関わってほかのチームとの連携を図る
ミッション型組織
協力な組織文化に支配されている組織
リーダーは文化を維持・強化する
政治型組織
トラブル対応に追われる
ほとんどの組織はすべての性格のタイプを併せ持つ
歴史の長さ、規模、発展段階
職務的要素
職階・業務内容
ミドルマネジャーはシニアマネジャーよりはるかに、社内の非公式な人間関係を活用する能力に長けていて、大規模で長続きする変革を起こす力を持っているとする主張もある
監督する業務・機能
一時的要素
短期的な圧力
マネジメント手法の流行
マネジメントの世界にはそのときどきの流行のマネジメント手法、言い換えれば「正しいマネジメントの仕方」と一般にみなされるものがある
個人的要素
経歴
キャリアの長さ
マネジメントスタイルの類型
スタイルに関して着目すべき要素は極めて多く、組み合わせは無数にあるため、スタイルのグループ分けと類型化が行われてきた
ミンツバーグがもっとも合点しているのはアート・クラフト・サイエンスの三角形によるアプローチ
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マネジメントを成功させるにはアートとクラフトとサイエンスの三要素をブレンドしなくてはならない
マネジャー個人が三要素をあわせもつか、マネジメントチーム全体として三要素を全て持っている必要がある
サイエンスの生み出す秩序、クラフトが生み出す現実的な態度、アートが生み出す情熱
ohbarye.icon 本書には診断があり、自分はほぼ右下のクラフト寄りだった。自分の経験の範囲内に閉じこもる恐れがある
マネジャーが何をするかは、その人物がマネジメントを行う環境によっておおむね決まる
マネジャーとして最も成功を収めるのは、環境に合わせてスタイルを変えたり、自分のスタイルに合わせて環境を変えようとする人物ではなく、ましてや、あらゆる環境で通用するスタイルを持っていると自負する「プロの」マネジャーでもなく、それぞれの環境に適したスタイルをもともともっている人物なのかもしれない
ohbarye.icon 自信満々のマネジャーをフェイクだと感じるのはこのことによる
環境を度外視してマネジメントスタイルを論じることには意味がない
不承不承のマネジャー
マネジメントはためらいがちな姿勢で務まる仕事ではない。100%の姿勢で臨まなければ、好ましい結果は得られない
マネジャー以外の人物によるマネジメント
マネジャーの肩書きを持たない人物がおこなうマネジメントの重要性は高まっている
知識労働者で構成される組織やネットワーク型の組織が増えて、意思決定に関する権限が自然にマネジャー以外のメンバーに移っているため
組織の目的・業績・責任はマネジャーの行動の範囲だけに限定されるわけではない
マネジャーの関与度に応じた五つの型
最大型マネジメント
アンリ・ファヨール寄りのスタイル
参加型マネジメント
権限の一部が部下にわたっている
権限移譲や分権化といわれることもある
分担型マネジメント
1つのマネジメント職を複数の人間で担うケース
拡散型マネジメント
より広く、マネジャーの肩書きを持たないメンバーにもマネジメントの責任の一部を委ねる
専門家型組織やプロジェクト型組織ではマネジャー以外の人物の行動から戦略が生じることがある
支援型マネジメント
マネジャー以外の人物がマネジメントの責任を負ったあとにマネジャーに残る役割は支援である
このスタイルは今後増えていく(と2009年に言われている)
最小型マネジメント
ohbarye.icon We once more have no full-time managers at 37signalsはここか、もう一段上の話だった
マネジメントのジレンマ
単純な問題はいずれ解決する。解決しない問題はマネジメントの本質ともいえるジレンマを抱えているため
13のジレンマ
思考のジレンマ
上っ面症候群
目の前の仕事を片付けなくてはならず、物事の理解を深められない
振り返りを計画すること、行動へ結びつけることを意識する
計画の落とし穴
目の前の仕事を片付けなくてはならず、未来を見据えて計画や戦略を立てることができない
戦略は意図的に立案せずとも自然発生的に出現する場合がある。表出するプロセスにはクラフトの要素が非常に多く、相当量のアートが補う
分析の迷宮
分析によって細かく分解された世界を一つにまとめあげるにはどうすればいいのか
情報のジレンマ
現場との関わりの難題
権限以上の板ばさみ
マネジャーは個人的な情報収集システムに頼るあまり、膨大な仕事を抱えるか、部下の仕事にいらだちを覚える
問題の原因は情報不足なのにまかせた仕事をやり遂げられなかったことで部下を非難するマネジャーが非常に多い
数値測定のミステリー
人間のジレンマ
秩序の謎
コントロールのパラドックス
目標設定に頼るマネジメントは責任を部下に転嫁する。上位から押し付けられたマネジャーは部下に押し付け、業務の現場に責任が降りかかる
自信のわな
ダニングクルーガー効果とインポスター症候群の境目
健全な自信の裏返しで謙虚に振る舞える人物が向いているかもしれない
行動のジレンマ
行動の曖昧さ
変化の不思議
安定性と柔軟性の両方を追求する
安定性を維持するために変化しないといけないシーンもある
全体的なジレンマ
究極のジレンマ
これらのジレンマに同時にどうやって対処すればいいのか
マネジメントは一本のロープの綱渡りではなく、さまざまな場所に張り巡らされたロープの上を歩く、多次元の綱渡り
ジレンマは解決不可能だが折り合いをつけることはでき、それこそがマネジャーの仕事
有効なマネジメント
優れたマネジャーの条件
(書籍の表6-1にリストがある)
ohbarye.icon 愛嬌が含まれているのが面白い。また長身であることという謎の項目もあるが、とある研究結果らしい
マネジャーには必ず欠陥がある
マネジャーとして成功する人は、その欠陥が置かれている環境においては致命的な弊害を生まない
誰かの欠点を知りたければ、その人物と結婚するか、その人物の下で働くかすればよい
マネジメントの失敗
失敗の原因は失敗の数だけある
本人の資質による失敗
優れたマネジャーの条件の欠如から判断することもできる
役職につくべきでなかった、あるいは根本的に能力が足りずに務まらない人もいる
ものごとを深く考えない人、人間嫌いの人
意外にもこのようなタイプのマネジャーが要職についているケースが珍しくない
マイクロマネジメントならぬマクロリーダーシップ、このような薄っぺらなマネジメントをするタイプを見分けるには、マネジメントの流行語を好んで口にしていないかどうかを見る
行動の次元が足りていない
ohbarye.icon 2024-09だとFounder modeにちょっと警戒してる
職務内容が原因の失敗
適正はあり、仕事の仕方もバランスは取れているが遂行不可能な状況にある
目標設定という名の押し付けなど
適材適所でないことが原因の失敗
適正はあり、仕事の仕方もバランスは取れていて、遂行不可能な状況にあるが適していない
いちパターンとして「マネジメントのプロ」がいるという誤った仮定が原因
ある組織のある階層でマネジメントの経験を積んだからといって、別の組織の別の階層のマネジャーが務まる保証はない
これまで問題にならなかった欠陥が新たな環境では致命的になることがある
ときにはミスマッチな采配も好結果につながることがある
組織に足りない能力を補い、幅を広げることになる
成功が原因で生まれる失敗
成功体験から過剰な自信を抱いたり、自分を重要な人間だと思い込む傲慢
成功と失敗を考える枠組み
優れたマネジャーは極めてエネルギッシュに仕事をする
優れたマネジャーは振り返りを重んじている人物が極めて多かった
行動を振り返り経験から学び、別の選択肢を検討する
振り返りを行うには謙虚さが必要で無知を自覚していないといけない
分析と直感のバランス
マネジメントがうまく機能しているのは人々が本来もっているエネルギーを引き出すことに成功しているとき
関与型マネジメントに移行していくにつれ、ネットワーク型組織、学習する組織、タスクフォースといった言葉が広まった
現場責任者の真価はマネジャーがどれだけボスとして振る舞わずにすむかで決まるのかもしれない
集団の頭脳をどう活用するか
ohbarye.icon 無知の科学に近い
受け身の犠牲者、変化に翻弄されるのではなく変化を起こそうとする
走りながら全てをまとめあげる能力
マネジャーの選考・評価・育成
マネジャーの選考
欠点が明らかな人物を選ぶ
たいてい、たった一つの目立つ資質のみで選考して失敗する
その資質が前任者に欠けていたのであればとりわけそういう傾向が強まる
仕事の内容と組織の環境に照らして、その欠点が致命的でないかを慎重に検討したほうがいい
マネジメントされる側に発言権を与える
マネジャーを選出する側が候補者を普段から知っているのか?
組織外には愛想が良くて、組織内では評判の悪い人物は非常に多い
ある人物を昇格させる際に、その人をよく知る人に発言権を与える
マネジャーの評価
手軽な方法に憧れるかもしれないが具体的な状況を離れてマネジャーの仕事の質を評価することは不可能
マネジャー単体で機能しているということはありえず、機能するのはマネジャーと組織の相性である
普遍的にいい夫、いい妻にあたる人物は存在せず、いい夫婦だけが存在する
普遍的に有能なマネジャーなど存在しない
どのような組織でもマネジメントできる「プロのマネジャー」も存在しない
マネジャーがどの程度成功しているかを評価するためには、組織がどの程度成功しているかを評価することが欠かせない
マネジャーがどの程度の成果をあげたかは、組織が成果を高めるのにどの程度貢献したかによって決まる
ohbarye.icon We are All Product Owners! An Impact Guide for Engineers
マネジャーの仕事の質は常に相対的なものである。組織の状態によって評価は違ってくるべきだし、ほかの人物がその職に就いていたと仮定した場合との比較によっても評価は変わる
マネジャーの仕事ぶりは部署や組織の中だけでなく、もっと広範囲に及ぶ影響をもとに評価すべきである
マネジャーの仕事の質は数値では測れない。人間の頭脳を使って判断する以外になる
本来、経営幹部が会社に及ぼす影響は長期的な視点で評価すべきである
しかしながら長い目で見て特定のマネジャーが組織の成果にどの程度貢献していたかを測定する方法は確立されていない
そうである以上、幹部の成果主義ボーナスは廃止すべき
健全な組織とは、自分の担当業務のことしか考えない個人の集合体ではない
システム全体を気にかけ、システムが先々まで生き延びるように気を配ることを忘れない責任感ある個人のコミュニティこそが健全な組織である
ohbarye.icon ソフトウェア開発と同じだ
数値測定ばかりが幅を利かせて、判断がお留守になっているケースが少なくない。測定できないものは自分の頭で考えて判断することを忘れてはいけない
マネジャーの育成
マネジャーは教室では作れない
マネジメントとは経験や試練を通じて仕事の場で学ぶものである
マネジャー育成プログラムの役割は、マネジャーが自分自身の経験の意味を理解する手助けをおこなうこと
1人、あるいは他のマネジャーと振り返りを行うことを後押しする
育成の目的は、マネジャーが学習の成果を職場に持ち帰り、組織に好ましい影響を与えることとする
自然なマネジメント
組織を得体の知れない階層の積み重なりとせず、積極的に関わりあう人々のコミュニティとみなす
目を見張るような能力の持ち主を探したり生み出すより、情緒面で健全で、明晰な思考力をもっている普通な人物を高く評価するほうが意義があるかもしれない
マネジメントと組織は、人間本来、自然本来のシンプルさや健全さを抱いていてもいい