Conductor
2025年12月にGoogleが公開したGemini CLI向け拡張機能Conductor
プロジェクトの認識を一時的なチャットログから永続的なバージョン管理されたMarkdownファイルへ移行するコンテキスト駆動開発を提供する
Conductor
https://github.com/gemini-cli-extensions/conductor
Googleが開発したGemini CLI向けのオープンソース拡張機能である(Apache 2.0ライセンス)
解決する課題
従来のAIコーディングはセッションベースであり、チャットが終わるとコンテキストが消失する
プロンプトからいきなり実装に飛びがちで、何を作るのか明確にしないまま開発が進む
チームメンバー間でAIへの指示が統一されず、成果物の一貫性が失われる
コンセプト: コンテキスト駆動開発
プロジェクトの認識を一時的なチャットログから永続的なバージョン管理されたMarkdownファイルへ移行する
「作る前に計画し、コードを書く前に計画をレビューし、人間の開発者がハンドルを握り続ける」という思想である
Andrej Karpathyが提唱したコンテキストエンジニアリングの考え方に対応している
プロジェクトコンテキスト
conductor/ディレクトリ配下に以下のMarkdownファイルを生成・管理する
product.md — プロダクトのゴール・ユーザー・要件
product-guidelines.md — プロダクト固有のガイドライン
tech-stack.md — 技術スタック・採用技術
workflow.md — ワークフロールール(TDD、コミット戦略など)
コードスタイルガイド
これらはGitで管理されるため、レビュー・変更追跡が可能である
一度設定すれば、チーム全体の共有基盤として機能する
Track(トラック)
Conductorの中核概念で、1つの機能開発やバグ修正などの作業単位を表す
/conductor:newTrackで新しいトラックを作成する
各トラックは2つの成果物を持つ
spec.md — 何を作るのか、なぜ作るのかの詳細要件
plan.md — フェーズ・タスク・サブタスクに分解された実行計画
状態がリポジトリに保存されるため、作業の中断・再開・変更がコンテキストを失わずにできる
開発ライフサイクル
コンテキスト作成 → 仕様策定 → 計画作成 → 実装 → 検証 の流れである
/conductor:setup — 対話形式でプロジェクトの基盤コンテキストを構築する
/conductor:newTrack — 新しい作業トラックを開始しspec.mdとplan.mdを生成する
/conductor:implement — plan.mdに従いエージェントがタスクを順次実行する
フェーズ境界にチェックポイントを挿入し、人間の検証を待ってから次へ進む
/conductor:review — ガイドラインに対する検証を実行する(Automated Review機能)
/conductor:status — トラックとタスクの進捗を表示する
/conductor:revert — Git履歴を使ったロールバック(トラック・フェーズ・タスク単位)
チーム開発への対応
テスト戦略・コーディング規約・ワークフロー設定を一元管理できる
どの開発者が実行しても、同一のガイドラインに従った一貫性のある成果物が得られる
新メンバーのオンボーディングを加速する効果がある
アーキテクチャ上の位置づけ
完全自動化のCI/CDパイプラインと手動開発の中間に位置する
AIがルーチンの実装タスクを処理し、開発者が重要な判断ポイントで決定権を保持する
Gemini CLIがReActループとツール実行を担当し、Conductorが永続的コンテキストレイヤーとチェックポイントシステムを提供する
2026-02
Conductor Update: Introducing Automated Reviews
https://developers.googleblog.com/conductor-update-introducing-automated-reviews/
ConductorのAutomated Review機能についての記事(2026年2月13日)
この更新で計画・実行に加え「検証」のステップが追加された
Automated Review機能の概要
コーディングエージェントがタスクを完了した後に包括的な実装後レポートを自動生成する機能である
AI支援のエンジニアリングをより安全で予測可能にすることが目的である
開発ライフサイクルに厳格な「verify」ステップを導入する
レビューの4つの柱
コードレビュー
Conductorがピアレビュアーとして機能し、新規生成ファイルに対して深い静的解析とロジック解析を実行する
構文チェックだけでなく、非同期ブロック内のレースコンディション、ヌルポインタリスク、ランタイム例外に繋がるロジックエラーなどを検出する
プランコンプライアンス
新規コードをplan.mdとspec.mdに照合し、ロードマップの全フェーズが対応されているかを自動確認する
コーディング過程で要件が漏れていないかを検証する
ガイドライン準拠
プロジェクト固有のスタイルガイドおよび計画フェーズで生成されたカスタムガイドラインファイルへの準拠を検証する
長期的なコード品質の維持を目的とする
テストスイート検証
手動実行に頼らず、テストスイート全体をレビューワークフローに統合する
関連するユニットテストと統合テストを実行し、結果とカバレッジデータを最終レポートに反映する
基本セキュリティレビュー
すべてのレビューのコアにセキュリティチェックが組み込まれている
マージ前に重大な脆弱性をスキャンする
ハードコードされたAPIキー、PII(個人情報)の漏洩リスク、インジェクション攻撃に繋がる安全でない入力処理を自動検出する
レポートの出力形式
発見事項はHigh / Medium / Lowの重大度で分類される
開発者に対して明確な改善指示を提供し、アクションに繋がる設計となっている
設計思想
「エージェント的開発」=「監視なし開発」ではないという考え方である
AIが実装の労力を提供し、開発者が高レベルのアーキテクチャ監視を行い、自動検証がそれを裏付けるワークフローを構築する