『殺人鬼にまつわる備忘録』
小林泰三,『殺人鬼にまつわる備忘録』, 幻冬舎, 2018年 #913-JP
前向性健忘症の主人公が、記憶改竄能力をもつ殺人鬼と戦う話。
書評だけ読んで面白そうと思っていたら Kindle Unlimited にあったので読んだ。
『記憶破断者』の改題。改題前の方が好き。
記憶改竄能力を同時に使える対象は一人だけ。正直もっと怪しまれてもおかしくないんじゃないか。
改竄の場面を目撃されたら、目撃者全員の記憶を改竄しないといけない。
一人改竄して次の人を改竄して次の人を……とやってると、最初の人が正気に戻って改竄現場を目撃してしまうので、また改竄して……の無限ループになりそう。
対象範囲の狭さにもかかわらずあれほど好き勝手できるなら、警察に捕まっても何とかなりそう。
最終的には殺人鬼も前向性健忘症に陥って、記憶を書き換えてやろうとしても何の記憶を書き換えればいいのか忘れちゃうようになるのかな? と思ったらそんなことはなかった。
主人公の外部記憶装置のノートを奪うけど普通の記憶喪失になって、ノートに書かれた内容を自分の記憶だと思い込むとかもなかった。