ボードレール
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序章
我らが心を占めるのは、我らが肉を苛むは、暗愚と過誤と罪と吝嗇。乞食が虱を飼う〜
内在的な悪の表現
悪魔(サタン)トリスメジストに揺すぶられ、小賢しいこの科学者の手にかかっては我らの意思の鋼さえ煙となる〜好自由、糸を握って木偶さながらに操るは〜
注)トリスメジストは三倍と言う意味から来た言葉で、ギリシアのエルメスあるいはエジプトのトト神の異名(ラルースより)。古代エジプトで錬金術を人間に啓示した神の使者(半神半人)とされています。19世紀フランスでは錬金術が流行していました。ランボーも「地獄での一季節」で、見者の詩法を「言葉の錬金術」と言ってます。そして、金こそはできませんでしたが、化学の進歩を導きました。(引用) 『ファウスト』で錬金術師の主人公が悪魔に魂を明け渡す様からの引用じゃないか? 我らが悪業の醜猥な動物園に、啼き、喚き、吠え、唸り、のたうちまわる怪物に混じり、特別に醜くて性悪で不潔な奴が一ついる〜こ奴、名は「ennui」
最大の悪をボードレールは「ennui」と捉え、その旋律を記述する https://scrapbox.io/files/64f7e3e8122d56001c78145c.png
子どもはすべてを新しさのうちに見る。子どもはいつも酔っている。色彩や形態をむさぼり吸い込む子どもの歓びほど、いわゆる霊感に似たものはない。〜天才とは、意のままに再び見出された幼年期(I'enfance retrouvée à volonté)、今や己を表現するために成年の諸器官をもつようになり、無意志的に集積された材料の総体に秩序をつけることを可能にしてくれる分析的精神をもつようになった、幼年期に他ならない。 世界を先入見なしに見つめ、都度歓びとともに新たな発見をしていく「霊感」としての「子ども」の能力を、「大人=成年」の表現力と分析力とを備えつつ駆使する者が芸術家であるとする
ボードレールは『危険な関係』を「歴史の書」と規定しただけでなく、「フランス大革命を解釈し説明する」書物であると考えた。そして次のテーゼを唱える。
革命は官能的なる人々の手によってなされた(La Révolution a été faite par des voluptueux.)。(...)それゆえ、放蕩な書物というのは、大革命を解説し説明することとなる。