ジラール
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欲望論
これが競争の根源であり、それが発展した時暴力・戦争になる
すべてのものが死へと集束していきます。フロイトの思想のように、またフロイトと同じようにそこに本能のようなものを認めうると信じている動物行動学者の思想のように、そうした集束の傾向に注目している思想もまた、死へと集束していきます。あるいはまたおそらく、宇宙の進化全体を特徴的にあらわすあの有名なエントロピーへの傾向も例外ではないでしょう。われわれ人類の上にのしかかっている脅威が、ある本能から生まれたものであり、人類の歴史のありとあらゆる災難が、非情な科学の法則に特有な一様相にすぎないのだとすれば、われわれを運び去る動きに身をまかせるほかに道はないということになります。相手はわれわれの思いどおりにはならない運命なのですから。 「われわれ人類の上にのしかかっている脅威」とは、おそらく当時の核や戦争の脅威を念頭に置いている。この、死の欲動を宇宙の法則であるエントロピーにまで敷衍させる天啓であり、黙示録的示唆が危機感である。
秩序のかたち
法体系を持たない未開社会において暴力は復讐の連鎖となり共同体が滅する(相互的暴力) そこで供犠であり贖罪の生贄として、共同体の象徴(スケープゴート)を追放することによって新たな安定と秩序が生まれる。この暴力を追放する暴力を創設的暴力という