離れた場所のことを想う建築
https://gyazo.com/6c0bd0a610de5d9e800c5c00e1a67d29
私たちは、このコロナ禍の前には実際の社会と共にネット社会をも満喫し満足し、そしてSNSを利用することで、いつどこででも人と繋がることができると考えていました。もっと言えば、人と人は「いつでも繋がっている」と思っていました。もちろんその事象を可能にした携帯電話やスマートフォンという機器に依ることが大きいのは言うまでもありません。人を場所という概念から自由にして、いつでもどこでも、家族や友達と繋がれることを可能にした現代技術の恩恵を、私たちは謳歌していました。
しかし今、私たちは改めて「繋がる」ということを意識し始めています。何も起きていなかったら気がつかなかったかもしれない、人と人が出会う意味というものを真剣に考える事態が傍にあります。それは建築という存在自体にも大きな影響を与えることとなるでしょう。なにしろ「建築」はその存在理由を「場所」という概念に大きく頼っているのです。しかしこの事態はその概念を大きく揺さぶっています。人が辿り着くことが不可能な建築にどんな意味があるのか、建築の計画学では教えてくれなかったのです。
今回の課題では、ある場所に建築を計画することによって、あなたが行くことができない、しかし、あなたの大切な場所について考えることができる建築、想うことができる建築を計画してください。ある場所に建築することで他の場所と繋がっている、そんな建築を一緒に考えてみたいと思います。場所という概念から切り離されて、他の場所へ想いを巡らせることのできる建築とはどんなものでしょうか。目の前に建物を作るということだけで終わらない、まったく異なる場所と繋がっている建築を考えてみたいと思っています。