編む建築
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建築を多種多様な「流れを編む存在」と位置付けて、地域社会や風景を構想してください。流れというと、まずは人の移動、(スパンの長短を問わず)や交通が挙げられます。人々が集う公共的な建築は、これらの流れを円滑にしたり、滞留させたりしてつくっているといえます。また、熱や風といった自然現象流れの一種です。人間にとって快適になるように、窓の開け方や外形、あるいは建物を配置を工夫します。これらの自然現象は、あるときは土砂や氾濫といった災害的な要素を伴うこともありますが、それをどのように制御するのかということでデザインは発達してきました。
物の流れも昔からある流れのひとつです。近年はネットで買うことが一般化して、物流はどんどん大きな流れになっていますが、地域内で小回りのきく物流は高齢化が進む社会にとっては重要なテーマです。
人々の活動を維持していくための仕組みのデザインもまた、流れのデザインです。単体の流れをいろいろ列挙してきましたが、この流れを円滑にしたり、淀みをつくったりするところに、物理的なデザインが潜んでいます。設計のスタジオなので、この物理的なデザインについて、見識を深めたいと思います。
その上で、この課題では、複数の流れを重ね合わせることの可能性を追求したいと思います。異なる流れが出会ったり乗り換えたりするところでは、いろいろな意味での交換が発生します。その効果を最大化するためには、場合によっては、上に書いたように配置レベルからデザインが再考されます。
この複数の流れを重ね合わせることを「編む」と表現します。つまり、流れを編む建築は、地域社会での生活の質や、風景のあり方を左右することができます。
そもそも社会とは分業です。分業である以上は、移動と交換が前提です。人やモノの移動のみならず、森羅万象の流れもふくめて、移動や交換の質を変化させるとき、どのような建築、地域社会、風景が描けるでしょうか。一緒に考えていきたいと思います。