建築設計Ⅴ/2021年度
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建築史的な知識や、いわゆる「和風」といった情緒的で曖昧な視点など、建築の専門家として、あるいは日本人として染みついている文脈を排し、設計をするための材料(あるいは道具)を採集する対象として日本建築を取り扱ってみる。外国人あるいは宇宙人が、予備知識や先入観なしに日本建築という立体物を見たとしたら、どのようにその特徴を捉えるだろうか、という視点で分析を行う。日本建築を、あえて「誤読」してみるという試みである。
このようにして見いだした設計ツールを、そのまま用いるだけではなく、さらにドライヴさせることによって、新たな建築の設計方法を見いだせないだろうか。
地方の過疎化対策、地域活性の一つとしてリノベーション事例はすでに多い。対して一極集中している都内でも、少子化や夜間人口の減少などにより統廃合された学校跡地がそのまま仮死状態で放置されたり、業態の変化に伴い建屋が機能不全と判断される事例は少なくなく、対策として建て替え改築ではなく改修という事例も増えつつある。その際、新築ではなく、改修だからこそ発することのできる建築的な魅力を出現させるためには何に着目し、どのような手の加え方をするのが有効か、検討提案してもらいたい。これまで建築を学んできた立場から目利きして、既存建物をモノとしてはもちろんだが、その履歴も含め敷地のポテンシャルの一つ、空間資源としてあるいは風景を構成する要素として評価し、新築とは異なる活用要素を見出し、それらを生かす設計手法を考えてほしい。
具体的な対象建物、条件などは授業スタート時に提示する。
都市を眺めてみると、その物質的環境を現存せしめるに至った様々な要因に思いをはせずにはいられません。それは、計画者による設計意図だけではなく、そこを利用する者や時間経過による意図の上書きであることも多いでしょう。本課題では、そのような計画的意図外の行為=インフォーマリティの豊かさ・美しさに着目します。したがって「インフォーマリティを設計する」といいうのは語義矛盾なのですが、現代の設計者としてその困難さを引きうけ、具体的な設計提案に結び付けることを目的とします。設計対象は複数の建物が集合した都心の既存街区ひとつとし、その一部あるいは全部の改変の計画を考えてください。
その他、具体的な進め方や敷地・条件等については課題説明時に提示します。
近年、子ども支援の一環として行われている活動として「こども食堂」が全国に広がっている。こども食堂とは、地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供するコミュニティの場である。最近では単に「子どもたちの食事提供の場」としてだけではなく、帰りが遅い会社員、家事をする時間のない家族などが集まって食事をとることも可能な、地域のコミュニケーションの場として機能を拡げている例もある。
本課題ではこども食堂が作られた社会背景と目的やメリット、こども食堂の活動から生まれる課題を考え、これからの社会のなかで必要とされる機能・用途を組み合わせ、都市のなかでの人々の生活のハブ空間となる新たな複合施設の提案を望む。
生産と居住のための一体的な空間を考える課題です。都内住工混在地域を敷地とし、工場とそこで働く人々の住宅をつくってもらいます。いわゆる職住一体という形式となりますが、時代を経て職住分離に至った両者を改めて一緒にするわけですから、その意義と方法を考える必要があるでしょう。両者はある意味相性が悪いのだと思います。一方が経済効率などを目的としたドライな空間であり、もう一方は居心地の良さなどを求めるウエットな空間だからかもしれません。一体とするなら相性を良くしなくてはなりませんが、そのデザインとはどういったものになるのでしょうか。敷地である都内住工混在地域が抱える様々な問題に対応しながら、その地域的価値を上げるような、あなたなりの生産と居住の場を提案してください。その他の条件は課題説明時に提示します。