矢島琴乃「オプトアウト」
卒業設計/2023年度
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フランスの庭師、ジル・クレマンの言葉に「できるだけ合わせてなるべく逆らわない」というものがある。
彼は、植物に対してこの言葉を提言したが、これは人間にも同じことが言えるのではないだろうか。
一見、秩序ある安定した生活を与えてくれる都市は、つくられたもののなかで、作られた通りの行動を、私たち人間に促し続け、私たちはそれに促されすぎているのである。
そういった今の人間と都市の対照的な存在として、植物の中の雑草の在り方に着目した。
私が捉える雑草の要素を5つ挙げ、それらを建築の要素に落とし込んでいく。
1、形状の繰り返しによる複雑性 = デザイン手法
2、名のない空間を作る、つまり「用途」を与えないこと = プログラム
3、あらゆるコトとモノを受け入れる多様性 = 敷地
4、自分自身の物理的な大きさを認識できること = 空間体験
5、うまくいかないことの積み重ね = 空間体験
1、デザイン手法
植物の自然の動き、幾何学のメカニズムである「フラクタル構造」から、形を導き出す。
ここでは、再帰のリズムを持つフラクタル構造を扱う。
再帰のリズム   中心点を求める    点の抽出 点を線で結ぶ
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※点を線で結ぶ  交互に埋める   重なる部分ができる この形をもとに設計
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2、プログラム
1のデザイン過程において生成された、4つの重なる部分を内部空間とし、
この公園に人を集めるための用途を与える。
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植物園カフェ    動植物会館    図書ギャラリー    休憩所
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これら4つの空間以外の部分には一切用途を与えず、4、5で示すような空間体験を促す。
3、敷地
野川公園
敷地は野川公園という武蔵野市、調布市、三鷹市の3つの市をまたがる大きな都市公園。小川などの地形、四季を表す動植物、周りには、ICU国際基督教大、多磨霊園、調布飛行場、アメリカンスクールなど、周辺環境においてもあらゆるものが相対的なスケールで(等価値で)存在する場所を選んだ。
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4、5、空間体験 
ある人にとっては、届きそうで届かない足場や屋根があり、
届かないから届く人とコミュニケーションをとらないといけないかもしれない。
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違うシーンでは、ある人にとって、立って歩ける空間で、屈めばどうにか通ることができるひともいる。
寝そべることしかできない人もいるが、それがとても心地よいと感じることもある。
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川や緑のあるこの敷地では、川の水量や緑の背丈、
密度といった自然のダイナミズムによっても、人間の行為は限定されていく。
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このように、〜できそうで、〜できない。
〜したいのに、〜が足らないから、〜ができない。
ということが、人によって変化していくことにより、うまくいかないことが何であるのかも1つではない。
雑草も、成功している部分しか目に見えていないから強く逞しいと思われがちなだけであって、小さな失敗を繰り返し、実際にはとても弱くてうまくいかないことばかりであるのだ。
このような空間が生まれることで、私たちはどれだけ、整えられた場所で生活していているのかを認識する。同時に、自分の大きさによって変わっていくことがあるということにも気づかされる。周りと足並みを揃えるばかりではなく、自分だけに許された行為を大切にすることも重要ではないだろうか。
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指導教員:田所辰之助
講評:ここに入力(改行は不可)(田所辰之助)
#矢島琴乃 #卒業設計/2023年度 #2023年度 
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