河上晃生「魅せて、見る。 -ファッション業界問題に向き合うロールモデルの提案-」
建築設計Ⅳ/2022年度
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ファッションブランドの掲げるコンセプトは概念的なモノから物理的なモノまで様々であるが、その背景には業界の抱える問題の影が存在する。コロナ禍の影響を受け、変化が求められてる現状において「循環」させることに着目し、ブランドコレクションをコレクションする施設を計画する。ランウェイを服のポテンシャルを最大限に引き出す交流の空間として軸に置き、古着やリペアなどのサステナブルな要素を付与することで、消費者に服の在り方を示す。ファッションにおける1 つの循環サイクルを持つロールモデル施設を提案する。
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■コレクション
ファッションブランドのコンセプト、販売形態、シーズンコレクションを収集する。
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■ファッション業界の抱える問題
・ファストファッションによる環境問題
・EC化による実店舗の存在価値低下
・時代背景からなる社会問題
・アパレル市場:物販系分野で比較的にEC 化が進んでいる分野
・売上:9 割以上の消費が実店舗で行われているためEC だけで売上をカバーするのは不可能
・消費者のニーズは実店舗におけるリアル体験であると推測される。
・再利用・再資源化の割合は極僅かである。
・国籍、性別、年齢などの差、価値観の違いの存在を認識させた。
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■服のストーリー
服は工場で生産され、運搬業者によりトランクで施設に運ばれる。施設は新作を入荷し、展示する。消費者は、好きな服を選び、新たに定義する体験型ランウェイでリアル体験をする。試着した服は、施設内で購入することは不可能で、ECを経由し購入する形態をとる。この時、在庫は試着分に抑えられ、生産量、労働量の削減に繋がる。度重なる試着でダメージが蓄積された服は、施設内で修復され、古着として販売される。古着もランウェイでのリアル体験が可能であり、現地で購入することも可能になる。新作が古着となり、また次の新作へと施設内で更新されることで服の循環サイクルとなる。購入された服は、経年変化により劣化し、最終的に廃棄となるが、その手前の選択肢としてリペア、リメイク、リユース、リサイクルを提示する。これらの服の循環機能を付与することで、服の再利用、再資源化となる。
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■「知覚」で繋がる
この施設をブランドコレクションをコレクションするための箱(ショーケース)として捉える。服は不定形でデザイン性が高く、常に更新され続けるモノであるが故の魅力を持つ。服を「展示する」「見る」「見せる」「眺める」といった「知覚行為」が、建築と商品から人々、都市までを繋ぐトリガーとなる。また、服の手放し方を都市に対して示すことで、循環型ロールモデルとなる。
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■ランウェイが生む交流
ランウェイとは、表現の舞台であり、観客が一方的に「見る」という視点を持つメタファー的空間として存在する。リアリティに欠けた空間であるため、服の顕在的魅力しか認識できないが、リアル体験の場としてランウェイを設計することで、「見る」「見られる」「見せる」の視点を獲得し、服の潜在的魅力を試着して歩くことで認識させる。ランウェイ上での「知覚行為」が偶発的な交流を発生させる。
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■鏡面反射による服の姿
服は人が着ることによってあるべき姿(シルエット)を現す。しかし、主観的視点では全体像を把握するのは困難である。客観的視点を獲得するべく、ランウェイを鏡面仕上げとし、反射によって現れた像が服本来の魅力を顕在化させる。ランウェイを歩くことで、無数の像が視界に飛び込んでくる空間となる。
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■線で繋がる店舗
ブランド名の持つイメージからなるフィルターがショッピングを縛り付けている。壁で区切るのではなく、開口を設け連続させることで、ブランドごとの境界を曖昧にし自由な選択を促す。
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<施設内機能>
6F 循環機能(リペア・リメイク・リユース・リサイクル)・ポップアップストア・オフィス・屋外ランウェイ
4・5F 古着ショップ・ランウェイ・試着室(計80 室)
1・2・3F テナント( 計80 個) ランウェイ・試着室(計120 室)
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指導教員:中村航
講評:ここに記入(中村航)
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