池田愼登「藍染川のほとりで」
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設計主旨
今回の計画敷地周辺の谷中には昭和の初めまで「藍染川」という川が流れており、江戸時代には、この川の水を使って藍染をする工房が多くあった。
しかし、川の汚染や度重なる増水のため、今は蓋がされ暗渠となっている。
それが計画敷地から南西に進んだところにあるへび道である。
このような歴史的背景から、現在谷中で行われる、東京芸大生をはじめとした多くの文化的活動の源流は、この藍染川にあるといえる。
そこで、現代の谷中にもう一度この藍染川を蘇らせ、そこで新しく創り出された谷中の文化に触れる機会を作るべく、「川辺の空間」をコンセプトに設計した。
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▲ダイアグラム
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▲外部計画
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▲内部計画
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講評:発想の起点を、谷中の歴史的・文化的コンテクストに探った作品である。暗渠化され今は姿無き藍染川に着目し、水と共生していたかつての暮らしを、限定的ながら再現しようと試みている。住空間は2・3階にまとめられ、1階には食器工房とカフェが設けられ地域に開放されている。職と住、この二つの領域を、川水の流れのように緩やかなうねりをもつ屋根が縦に結びつけ、谷中の町に新たな風景をもたらす。近未来の都市居住のイメージを描出した秀作である。(田所辰之助)