江原悠介「感覚デザイン建築 -色の抽出と町工場の距離の操作の提案-」
建築設計Ⅴ/2021年度https://gyazo.com/d58dec148d40988ce27c2e6a7cd94e52
設計趣旨
私は建築の新たな造形手法として、五感に注目した建築を提案する。
これまで建築が五感のどれかを抽出することはなかった。
いい空間とは五感の総和としての魅力が強い。
太田区蒲田の町工場は雑多さを受け入れ、無意識的に興味をそそられる空間が既に存在していた。
そこに新たな町工場の必要性はあるのだろうか?
集合住宅を設計するにあたり、住む人々がこれまでの空間に生きながらも感覚が研ぎ澄まされ、
生き方が変わる未来を創造したい
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1.リサーチ
形態の価値を引き継ぎ、蒲田の町工場地帯の建物の形態の魅力を立面スケッチを通じて抽出したいと考えた。
ここでは、それぞれが寄り添い近しい部分を残しながらも、個性を持った建物が多く存在していた。
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2.コンセプト
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帰属意識:町工場の人々が自分たちの作ったものに誇りを持ち、これからもこの場所で仕事をして行こうという気持ち
町工場が溢れる蒲田は街歩きに打ってつけである。様々な空間の魅力に溢れ、多くの住民たちが自分の居場所を創造し、空間に愛着を持っている。⇒「空間的な帰属意識」
町工場のコミュニティに対し、強い帰属意識を獲得することによって、思い入れや愛着が増し、‟空間を共有する仲間”としての意識の形成を試みる。
それによってこれまで以上に強い結びつきが生まれ、地域コミュニティの拡大を図る。
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空間的帰属意識はa.町工場 b.集合空間(パブリック空間)c.自宅(プライベート空間)の三つに分解することができる。
それぞれの空間の魅力を更に引き立てる仕組みを感覚の抽出によって実現させられるかもしれない。
これまで設計で注力されていなかった感覚を抽出することで、新たな空間体験、提言をなせると考える。
3. 壁柱を用いた空間構成
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ここでは建築の形態ではなく、そこでの人の活動について考えた
三層に重なるこの建物は貫通する壁柱を中心に、上階に行くほど感覚を研ぎ澄ます空間となる
いままであまり意識していなかった五感それぞれを抽出する
3.a 町工場(1層目)
一階ではトタンでできた町工場が広がり、今まで通り、五感を通じたコミュニティーができている
四つの町工場を地域から呼び込み、核とすることで、それぞれが予想外の関わりをもち、仲間回しの文化を発展させる。色とりどりのトタン工場が壁柱に寄生する形態とする。
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3.a’ 町工場(1・2層目)
2階まで町工場(aの領域)が伸びることで、より大きなスペースを確保する。そして、bではそれを壁柱、壁から色を抽出し、その雰囲気を感じ取ることが出来る。
一層目では壁柱を設計し、トタンの町工場が自由に入る余白を作った。
3.b 集合空間(2層目)
二層目では色の抽出を行う。四つの階段を登って二階に上がると、そこには何もない。外部からの色が空間に色合いを与え、人々は好きな色の場所に歩きながら居場所を探す。
町工場の景色を壁柱、壁から色を抽出し、その雰囲気を感じ取ることが出来る。
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3.c 住宅(3層目)
3階では壁柱が空間を仕切り、存在感を示す。それにより、、下の階の雰囲気を曖昧に感じることが出来、町工場との距離感を作り出している。
五感を通じて感じることが出来ない町工場の雰囲気を壁柱を通じて間接的に認識することが出来る空間である。
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屋根は高さの違う壁柱にそうように配置され、さまざまな角度から光を取り込めるような工夫をする。3階は外壁を白にし、下の階からは隔絶された印象にする。
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既存の形態を引き継ぎつつ、これまでと違う生き方ができる建築を提案する
指導教員:塚田修大
講評:工場と住宅、これらのコンフリクトをどのように調停するか、このことに注力した提案である。建物を三層構成で展開し、下層を工場、上層を住宅として、両者が交わる中間層を設けて調停を図る。極めて図式的な解法である。ここまでは理解可能なアプローチであるが、このあとが少し厄介である。五感をテーマに工場のひしめくこの地域の色や音、においなどを計画に取り込もうとするのである。カタチに表しにくい、建築が不得手とする問題に切り込む姿勢には、作品の理解へは至らずとも、不思議と共感できるところがある。この言語にしにくい部分もこの作品の魅力だろう。(塚田)
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