太田優我「巨人の箱庭」
卒業設計/2023年度
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0-1 はじめに
私は劇場を新宿という舞台に設計し、人と社会との直接的な交歓を演出しようと試みたのである。劇場体験という治療とも教育ともつかぬ未分化の出来事を駆使して、『ネオホームレス』と社会との結節点をつくり、彼らが最も息のしやすい棲家を提案する。
0-2 問題提起~群れを成す『ネオホームレス』
『ネオホームレス』とは貧困や路上生活などではなく、所属するコミュニティに問題を抱えて、自らの意思で家に帰らない子どもたちのことであり、新宿では似たような境遇の者同士でコミュニティを形成している。
問題に掲げる点は、似た境遇の者同士で群れている点ではない、強迫的な記号(犯罪、自傷行為、ファッション、OD等)を付けることで共同体を演出している点である。
0-3 設計手法~新宿の蠱惑性と箱庭的検討~ 
新宿の正体は、共犯者の⼼理に落とし込む魅惑的な体臭であり、この体臭を表現した舞台とすることで観客は新宿の出来事を直接感覚的に感じることができる。
⽯の下のくぼみに⾍がひしめき合う薄暗い空間に新宿の空間性と類した性質を見出した。
デザインの検討方法は、新宿に落ちている⽯から複数ピックアップし、その⽯を敷地という箱庭の中で並び替え選出し、3D スキャンして、それを線分データに書き出し、重ね合わせるというデザイン⼿法を取り、元のマテリアルをそのまま空間化したデザインとした。その壁⾯や内壁に新宿の都市を現し、⼈間が⾃由に溜まれる空間と劇場空間を計画した。
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0-4 貫入ボリュームの検討~つながり貧困~
ホール空間に隣保館や各種相談支援室が貫入する計画をした。
隣保館とは戦後、貧困による⽣活困窮者の救済の場として設置され施設であり、治安対策の観点が強いものであった。演劇や⾳楽を楽しみにきた観客と『ネオホームレス』の関わりを建築空間の中に演出し、彼らの⽣活に直接触れ、社会全体として問題意識を⾼める計画をしている。存在を認め感じるという⽀援が我々の取れる最も効果的で優しい⼿段なのではないだろうか。
指導教員:田所辰之助
講評:ここに入力(改行は不可)(田所辰之助)
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