近代家族
家族は歴史上不変のものではなく,当該社会によって構築されてきたものである. 今日私たちが 「家族」 と認識する人間関係は,近代社会によって構築されているため,ことさら 「近代家族」 と名付けられている. さて,この近代家族 (の理念) は,落合恵美子が 「今日夫婦の絆と言えば,極言すれば性と愛だとして疑われない」 (落合 1989: 8) と指摘しているように,ロマンティック・ラブ・イデオロギーによる恋愛結婚を出発点にしてきたとされている. 千田有紀 (2011) も「ロマンティックラブの考え方は,性別役割分業に基づいた生産・再生産の単位である 『近代家族』 という制度をつくりつづけるには最適なものである」 として,両者の結びつきを指摘している.