知識の共有を阻む課題
組織全体への専門知識の共有は、容易なタスクではない
強固な学びの文化がなければ、知識の共有を阻む課題が出現してくる可能性
以下のような課題がある
心理的安全性の欠如 : リスクを取ったり他者の前で間違ったりするという行動を取れない環境
情報の孤島群 : 組織の様々な部分で起きる知識の断片化
サイロっぽい
各グループが自前の進め方をもつことになり、以下のような状態に陥る
情報の断片化 : 各孤島が、より大きな全体像の不完全版を持つ
情報の重複 : 各孤島が、何かを行う自前の方法を再発明している
情報のスキュー (skew) : 各孤島が同じことを行うのに自前の方法を持ち、それらの方法は互いに競合したりしなかったりするかもしれない
単一障害点 (single point of failure/SPOF) : 決定的な情報が1人の人物からのみ得られる場合に生じうるボトルネック
バス係数に関連する
全か無かの専門知識 : 「全て」 を知る者と初心者の 2 種類に分断され、中間の者がほとんどいないような集団
専門家が常に全てを自分たちで行い、メンタリング (mentoring) やドキュメンテーションを通じた新たな専門家の育成に時間をかけない場合、この問題が悪化することが多い
このシナリオでは、専門知識を既に有している者に知識と責任が蓄積するばかりで、チームの新メンバーや初心者は取り残されて自力でなんとかすることになり、立ち上がりの速度が低下する
猿真似 : 理解せずに物真似すること
一例として、パターンやコードを、それらの目的を理解せずに当該コードは理由がわからないにもかかわらず必要なのだという思い込みのもとで考えなしにコピーする行為
幽霊の出る墓場 : コード内にあることが多い、何かがおかしくなるかもしれないと恐れて触れたり変更したりするのを皆が避ける場所
前述の猿真似と違い、幽霊の出る墓場は、恐怖と迷信のために、皆、行動を避けようとするのがその特徴
参考文献
Google のソフトウェアエンジニアリング ― 持続可能なプログラミングを支える技術、文化、プロセス