家族機能と社会福祉
家族機能の補完的機能として社会福祉を規定することが可能となる
もちろん負担をかけ過ぎないような支援の仕組みは不可欠
1. 「性的機能」 には、社会的補完機能は存在しない
実際には風俗産業があるではないかと反論されようが、それを肯定するわけにはいかない マードックは、ある社会における性的秩序の維持は、その社会を持続させるか消滅させるかというほどの重要な課題であると述べている どのようなタイプの性産業が興隆しようと、それに規制を掛ける努力をし続けることが社会の安定をもたらすものと考える
その原点は、性関係が社会的に許容されるのは夫婦間のみという原則 2. 「性的役割分業」 については、それをそのまま産業化社会に適用するわけにはいかない
しかし家庭が成立するために、①稼得・②家事等メンテナンス・③育児の 3 つを家族維持機能とし、それを夫婦で分担することは不可欠
その割合は、それぞれの家庭の状況で決めるしかない
最悪のパターンは、妻がパートをし、かつ家事・育児を全面的に担当、夫は稼得のみというもの
このパターンは長く続かない
妻の負担が重過ぎるため離婚の可能性が高まる
夫の側にも家事・育児を分担して貰わないといけない
もう一つのファクターとして注目したいのは、祖父母の応援を期待できないかということ
他の動物に比べてはるかに養育期間の長い人間の子どもを、妻ひとりで行うことは不可能に近い
複数の大人による支援が必要
祖父母の貯蓄も夫婦の支援になる
3. 「生殖機能」 については、社会的代替機能は基本的に存在しない
子どもは夫婦間にて産むのが原則であり、子どもの福祉にとっても望ましい
フェミニストは 「三歳児神話」 を標榜するが、それは、3 歳まで母親がつきっきりで世話をする必要はなく、子どもが必要としているときにちゃんと向き合う時間を取るということ 1 歳ごろになれば、昼間は保育園に預けても全く問題ない 朝と夕方以降、そして土日に子どもとしっかり接する時間を持てば愛着は十分形成できる 4. 「子どもの社会化」 については、親の責任として子どもを、いわゆる一人前にする責任がある
民法 818 条に親権規定があるものの、そうした責任を明記していない点は不十分ではないか 5. 「老親扶養」 を加えた理由は、家族機能と福祉機能の整合性を持たせるためでもある
多くの老人が自宅で死を迎えたいと思っているが、それが可能となるには家族の支援と訪問緩和ケアが必要
32.4 %にものぼる独居世帯への支援は、社会福祉が担うしかない 参考文献