電子人的存在
電子人的存在
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欧州連合(EU)では2017年に欧州議会が「知能ロボットに将来的に特別な法的地位(いわゆる“電子人的存在”)を検討すべきだ」とする決議を採択し、AI本人に責任を負わせる枠組み(損害発生時にロボット自身を被告にできるようにし、保険に加入させる等)を提案しました。これは「ロボットが自身の法人格を持てば、自らの行為に対して責任を負い、被害が生じればロボット自身が賠償する主体になりうる」という実用的発想に基づくものです。...しかし実際には、こうした大胆な提案に対しては各方面から慎重論も出ています。例えばEUでは150名以上の専門家が「ロボットに法人格を与える計画は非現実的で不適切」とする公開書簡を出し、人間の責任を曖昧にするとの批判がありました。結局、EUでは2023年に成立したAI包括規則(AI法)でもAI自体に人格を与える規定は盛り込まれず、人間主体の責任原則が維持されています。