阿含経
阿含経(あごんきょう、あごんぎょう、梵・巴: āgama, アーガマ)とは、最も古い仏教経典集(スートラ)であり、釈迦の言葉を色濃く反映した真正な仏教の経典ものとされる。阿含(あごん)とは、サンスクリット・パーリ語のアーガマの音写で、「伝承された教説、その集成」という意味である。阿含の類義語には部(ぶ、Nikāya)があり、パーリ仏典ではそれが用いられている。 釈迦の死後、その教説は迦葉や阿難を始めとする弟子たちを中心として何回かの結集を経てまとめられ、経蔵(sutta-piṭaka, スッタ・ピタカ)を形成した。他方、守るべき規則は律蔵(vinaya-piṭaka, ヴィナヤ・ピタカ)としてまとめられたが、一般に紀元前4世紀から紀元前1世紀にかけて徐々に作成されたものであると言われている。その経蔵はそれぞれ阿含(āgama, アーガマ)または部(nikāya、ニカーヤ)の名で呼ばれた。 これらの現存するものは、スリランカ、ミャンマー、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナムに伝えられている『パーリ語仏典』と、それに相応する漢訳経典などである。漢訳では長・中・雑・増一の四阿含(しあごん)があり、大正蔵では冒頭の阿含部に収録されている。パーリ語訳では五部が伝えられている。両者は、伝持した部派や原語は異なるものの、共に同一の阿含経典群から訳されたもので一定の対応関係がある。 漢訳では長・中・雑・増一の四阿含(しあごん)があり