英語版作成に伴う推敲(~1章)
間違いというわけではないが英訳の際に「元の日本語が不明瞭」と感じたところを修正している。
長くなったので2章以降はこちら
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- 残りの部分は、Fより上の「速い読み方」と下の「遅い読み方」とに分かれます。「見つける」と「組み立てる」のグラデーションで考えると、速い読み方は見つけるほうに重点があります。この見つける読み方を学ぶうえで既存の速読術が参考になるので、2つの速読術を紹介します。
+ 残りの部分は、Fより上の「速い読み方」と、Fより下の「遅い読み方」とに分かれます。読書には「情報を見つける」と「理解を組み立てる」の2つの目的があります。速い読み方は、情報を見つけるほうに重点を置いています。どうやって情報を見つけるかを学ぶために、既存の速読術が参考になります。なので、以下では2つの速読術を紹介します。
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レベル1(25分)
本全体に目を通して、目次、各章の見出し、小見出しをチェックする
もう一度本全体に目を通しながらマーク1を探してそこだけを読む
レベル2(+30分)
もう一度本全体に目を通しながらマーク2を探してそこだけを読む
レベル3(+45~90分)
もう一度本全体に目を通し、見出し、小見出しをチェックしながら、マーク3を探してそこだけを読む。
code:diff:4.3 after
レベル1(25分)
まず、目次、各章の見出し、小見出しをチェックする。
次に、本全体からマーク1のついた段落を探し、それだけを読む。
レベル2(+30分)
さらに、本全体からマーク2のついた段落を探し、それだけを読む。
レベル3(+45~90分)
改めて、見出し、小見出しをチェックしながら、マーク3のついた段落を探し、それだけを読む。
そもそも「全体に目を通しながらXする」が不明瞭な表現であって、実際に何が行われているかを考えた時には「全体に目を通しながらXする」ではなく「書籍の全体を対象にXを行う」だと判断した。
「見出し、小見出しをチェックする」と「マーク3のついた段落を探す」は同時並列で行うことが可能なのだが、どう説明するのがわかりやすいだろうか?
0.3 この本の流れ
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- 第1章「新しいことを学ぶには」では、正解のないことをどうすれば学べるのかについて考えます。丸暗記ではなく、状況に合わせた応用ができるようになるために、サイクルを回して学んでいく方法を詳しく解説します。
+ 第1章は「新しいことを学ぶには」です。答えを覚えるだけでは、状況に合わせた応用をできるようにはなりません。応用力を身につけるために、情報収集、抽象化、実践、の3フェーズのサイクルを回していく必要があります。この章では、各フェーズについて詳しく掘り下げます。
この解説だったらタイトルは「応用力を身につけるには」が良いのでは?
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- 本を買いすぎて、山積みになってしまう人も多いのではないでしょうか?
+ たくさん本を買いすぎて、読まないままになっていませんか?
「山積みになっている」だと、物理的にかさばることが問題だと言っているように見える。
重要なのはそこではない(電子書籍で買っても問題は同じ)
書籍を買ったけども、読むことに対する心理的ハードルが高いことによって読み始めることをせず「買ったけど読んでいない本」が溜まってしまうことが問題。読んでない本が保存されていても価値を生まない。
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- しかし、私はhowよりもwhatのほうが大事な問いだと考えています。第7章「何を学ぶかを決めるには」では、この問いについて考えていきます。
+ しかし、私はどう学ぶかを工夫するよりも、何を学ぶかを決めることのほうが大事と考えています。第7章「何を学ぶかを決めるには」では、何を学ぶかを決めるための意思決定戦略について解説します。
「この問いについて考える」は曖昧なので具体的にした。
日本語文中だとhowやwhatはキーワード的見かけなので実害が少ないが、英文中だと開いた方が読みやすい。
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- 私は、自ら新しい知識を生み出すことが、価値の高い知的生産のために重要だと考えています。
+ 価値の高い知的生産のためには、自ら新しい知識を生み出すことが重要です。
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- また読むだけではなく、まねて入力するテクニック「写経」もよく使われています。
+ 日本では「写経」と呼ばれるテクニックもよく使われます。
+ (脚注:「写経」は当初は東アジアにおける仏教徒の訓練の一種で、経典を手で書き写すことを指す。当初は一言一句変えずに書くことが重視されたが、今日プログラミング教育の文脈では、単に短いコードを読んで、それをコンピュータに入力し、実行して挙動を見ることを指します。)
- 本書でもいくつもの知的生産にまつわる課題とその解決策を紹介します。これはプログラミングのサンプルコードのようなものです。
+ プログラミングの教科書は、課題と、それを解決するプログラムを紹介します。本書は、知的生産にまつわる課題とその解決策を紹介します。同じ構造です。
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- この本では、知的生産術を比較することで、みなさんが自分の中に知的生産術のモデルを作ることを手助けしたいと思っています。
+ この本では、複数の知的生産術を比較することで、みなさんが知的生産術の共通パターンを発見することを手助けしたいと思っています。
節タイトルは「抽象化してモデルを作る」だけど、このタイミングで多義的で混乱を招きやすい「モデル」という言葉を出すより、パターン発見の方が良いのではないか。
Abstract and make modelsをCompare and find patternsにした
0.2.3
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- さて、ここまでであなたはパターンを見いだし、「PythonでBye, world!と出力したい場合には、こう書けばよいのではないか?」と思い付く能力を手に入れました。
+ PythonでBye, world!と出力したい場合にはどうすれば良いでしょうか?あなたはパターンを見出したことによって、以下のコードを思いつく能力を手に入れました。
「例える」が英語だと「compare」に対応づけられたのだけども、これはしっくりこないなぁ
情報収集は箱を集めるイメージです。ここでは情報を箱にたとえています。情報収集は、たくさんの箱を集めて並べていく作業です。 情報収集は、たくさんの箱を集めて並べていく作業です。ここでは箱のメタファーで情報を表現しています。
- たとえば本に書かれている文章は、文字にする段階で著者の具体的な経験からいろいろな情報がそぎ落とされ、抽象的な情報になっています。
+ 例えば、書籍に書かれたコンセプトについて考えてみましょう。本を書く前に著者は色々な具体的な経験をしてます。しかし書籍にする過程で、全てを書くことはできず、具体的な情報の大部分がそぎ落とされます。
+ 数学では箱を正確に積み上げられるが、そのほかの分野では崩れてしまう
- タプルとリストはよく似ています。
+ リストとタプルはよく似ています。
出現順に合わせた
第3版までに修正済み
- 何が違うのかを調べてみたり
+ 何が違うのかを検索エンジンで調べてみたり
具体的にした
- プログラムの中のリストで書かれているところをタプルに書き換えてみたり
+ プログラムの中のリストをタプルに書き換えてみたり
simplify
- 実験を繰り返して何かを作り出し、それを発表する場合も、うまくいかなかった試作品のことはあまり話されません。
+ あなたが何かを作り出すために実験を繰り返し、最終的に成功したとしましょう。あなたが成果を発表する際に、うまくいかなかった実験すべてに言及することはありません。
- どこまでは期待どおりに動いていて、どこから違うのか?
+ ソースコードが期待どおりの挙動をしているのはどこまでか?どこから期待と違う挙動が始まるのか?
- この疑問を解明していき、何度も修正をして、ようやくプログラムは正しく動くようになります。
+ この疑問の答えを見つけ、何度もソースコードを修正をして、ようやくプログラムは正しく動くようになります。
- この試行錯誤の過程はあまり他人には見せませんが、少なくとも私は公開している成功事例の何倍もの試行錯誤をしていますし、教科書のない問いに答えを出そうとしている人は誰でもそうやっているのだと思います。
+ 私もこの試行錯誤の過程はあまり他人には見せませんが、少なくとも私は公開している成功事例の3倍以上の試行をしています。教科書のない問いに答えを出そうとしている人は誰でもそうやっているのだと思います。
複雑な文の分解と、基準の明確化
1.3
- さて、ここからは学びの3つのプロセス「情報収集・モデル化・検証」について、それぞれ掘り下げて考えてみましょう。まずは情報収集についてです。
- 「情報収集」を漠然ととらえていると、どこから手を付けてよいかわかりません。達成条件が不明確ですね。なので、まずもっと小さい単位に分割し、近いゴールまで走ることを目標にしてみましょう。そこで「情報収集」を分割する方法について考えます。
+さて、ここからは学びのサイクルの3つのフェーズについて、それぞれ掘り下げて考えてみましょう。このセクションではまず情報収集について掘り下げます。
+もしあなたが「情報収集」を漠然ととらえていると、具体的に何をすれば良いかがわかりません。
+情報収集というタスクは達成条件が不明確です。なので、まずもっと小さい単位に分割し、ゴールを近く、明確にしましょう。情報収集を分割する方法を3つ紹介します。
1.2.1
生徒としての学びと大学からの学びの違い
このタイトルを英語に訳しにくい
図や本文には「受動的な学びと能動的な学び」って言葉を使っているが...
仮に"student learning and university learning"になっているが、日本語では「生徒」と「学生」が区別されるのに対して、英語では大学生もstudentだから適当ではない。
before university / from university という案もある。
その場合は日本語の方は「大学までの学びと大学からの学び」になるか。
- どの教科書を使うかを自分で選ぶことはできません。
+ 教科書を自分で選ぶことはできません。
- どの教科書を選ぶかも自分で決めます。
+ 教科書を自分自身で選びます。
- 中学の期末試験の問題は、教わった「正しい方法」のとおりに行動すれば、必ず答えが出るように作られています。
+ 中学の期末試験の問題は、あなたが先生に教わった方法を正しく実行すれば、必ず答えが出るように作られています。
+ 中学の期末試験の問題は、解けるように作られている。あなたが教師に教わった方法を正しく実行すれば、必ず答えが得られます。
- 仮にあなたが社会人で、今「学んだほうがよいんだけどな」と思っていることがあるとしましょう。
+仮にあなたが社会人で、今何か学んだほうがよいと思っていることがあるとしましょう。
- プログラミング言語の学習も同じことで、どこまで進んだら「マスターできた」という実感が得られるのか不明確です。
+ プログラミング言語の学習も同じです。あなたは、どこまで進めば「この言語をマスターできた」と感じられるのかがわかりません。
- また、そのゴールはなるべく近いほうが良いです。最初から42キロのフルマラソンにチャレンジするのは無謀です。まずはもっと短い距離から始めて、ゴールインの喜び、達成感を早く感じることが大事です。これを活用しているのがゲームによく使われる「チュートリアル」です。 + また、そのゴールはなるべく近いほうが良いです。例えば、最初から42キロのフルマラソンにチャレンジするのは無謀です。まずはもっと短い距離から始めて、ゴールインの喜びを感じることが大事です。一般的に、やる気を維持するには、達成感を早く感じることが大事です。これを活用しているのがゲームによく使われる「チュートリアル」です。 - また、大学に行くとほかでは手に入らないような秘密の知識を教えてもらえるという誤解をする人もいるようですが、大学はそういうものではありません。
+ 大学に行くと、ほかでは手に入らないような秘密の知識を教えてもらえる、という誤解をしている人もいるように思います。しかし、大学は秘密を与える場所ではありません。
- 社会人大学院生の受け入れに積極的な大学では、授業を土日や平日の夜に行うなど、社会人が学びやすい制度を採用しています
+ 社会人大学院生の受け入れに積極的な大学もあります。それらの大学では、授業を土日や平日の夜に行うなど、社会人が学びやすい制度を採用しています
「大学に入り直す」という表現を使ってきたけども、1回も大学に入っていない人もいるので「大学に入る」が良いように思った。
- これらのコスト削減によって、従来は通らなかった企画も通るようになり、質の指標として機能しにくくなりました。今の時代、もはや「紙の本だから良い」とは言えなくなっています。
+ これらのコスト削減によって、出版社はより多くの出版企画を受け入れるようになりました。今の時代、紙の本はもはや質の指標として機能しません。
- ベストセラーは、多くの人が買った本です。これも社会的証明になると思うかもしれませんが
+ ベストセラーは、多くの人が買った本です。これも質の指標になると思うかもしれませんが
- 特に、具体的に作りたいものがある状況はチャンスです。
+ もしあなたに何か作りたいものが具体的にあるなら、チャンスです。
- そういう遠いゴールを目指すのではなく、もっと近い「今、自分のやりたいこと」を目指していくことが、やる気を高めるコツです。
+ そういう遠いゴールを目指すのはやめましょう。「今、自分のやりたいこと」などの近いゴールを目指しましょう。それが、やる気を高めるコツです。
- 3つに共通する点が感じられたかと思います。
+ 3つに共通するパターンが感じられたかと思います。
「点」は曖昧。複数の事例から共通のパターンを見つけることが大事、という話をそこまでにしているので、明示的に「パターン」と読んだほうが良いだろう。
- あなたにとってほど良い距離にゴールが必要なわけです。これは、他人が何を目標にしているかではなく、あなたがあなた自身に適切な目標を決める必要があります。
+ つまり、あなたから遠すぎないゴールが必要です。他人のゴールは関係ありません。あなたがあなた自身に適切なゴールを決める必要があります。
「目標=ゴール」だが、周囲全体を見て不必要に表現が揺れないようにした方が良いかもしれない
日本語のタイトルは「目標が達成可能である」だが、英語だと「Goal is achievable」になっている。
使い分けるなら使い分けを明記する必要があるが、特に使い分けの必要は感じない。
- たとえば、今からプログラミング言語を学ぼうという人が、目標としてすごいゲームを作ろうと考えたとします。これは未来の方向性としては良いのですが、達成方法はわかるでしょうか?
+ 例えばあなたが今からプログラミング言語を学ぼうとしているとしましょう。そして、目標としてすごいゲームを作ることを目指したとしましょう。すごいゲームを目指すのは、長期的な方向性としては悪くないと思います。しかし、どうやってそれを達成するのかわかるでしょうか?
- 最初から全部を詳細に知ろうとするのは良くないゴール設定です。
+ すべてを詳細に知ろうとするのは良くないゴール設定です。
最初からではなくてもよくない
- これは最初から世界中すべての店の配置を把握しようとするのが無茶なゴール設定なのと同じです。まずは大まかな地図を作り、徐々に詳しくなればよいのです。
+ 世界中すべての店の品物の配置を把握しようとするのは無謀なゴールです。それと同じです。まずはどこにどんな店があるかの大まかな地図を作り、徐々に詳しくなればよいのです。
- また、ユーザーが解決したい課題を投稿し、それにほかのユーザーが解決方法を投稿できるWebサービス 注1 が出現したことで、プログラミング上の具体的な課題を検索するとかなり高い確率で解決策が見つかるようになりました。
+ また、questions and answers サービスが出現した。これはユーザーが解決したい課題を投稿し、それにほかのユーザーが解決方法を投稿できるWebサービスだ。この出現によって、プログラミング上の具体的な課題を検索するとかなり高い確率で解決策が見つかるようになりました。
文が複雑。
- 「英語で検索して質問解答サイトを見る」といった新しい情報収集手段も生まれています。
+ 質問回答サイトは本とは異なる新しい情報源だ。新しい情報収集の手段が生まれている。
-紙の本の時代は、全体像を把握し「このあたりにあるはずだ」と考えられる能力がとても重要でした。
+紙の本の時代は、全体像を把握することがとても重要でした。検索コストが高く、求める情報がどの辺りにあるか絞り込むことが必要だったからです。
- たくさん勉強したあとでたどり着くゴールが「全体像を把握」なのだ、という誤解です。
+ たくさん勉強したあとで、ようやく全体像を把握できる、という誤解です。
図の追加
ここまで訳して、情報収集の3つの方法について絵がないのが寂しいと感じたので描いた
- 目的の具体化は、本章の前節の内容と同じですね。
+ 目的の具体化は、本章の前節で解説した「知りたいところから学ぶための前提条件 > 目標が明確化されている」と同じですね。
- 「論文を詳細に理解する」という不明確で遠いゴールの代わりに、時間を区切って明確なゴールを作り、大まかな構造を頭に入れようとしたわけです。
+ 「論文を詳細に理解する」という不明確で遠いゴールの代わりに、時間を区切ることと、大まかな構造だけに集中することで、近くて明確なゴールを作ったわけです。
「ゴールの代わりに〜大まかな構造を頭に入れようとした」だと、ゴールを頭に入れようとしていたみたいなので。
- 一方で、何かを議論しようとしたときに、参照すべき条文がどのあたりにあるかがわかり、そこを読むことができなければいけません。
+ 一方で、何かを議論しようとしたときに、あなたは条文を参照する必要があります。なので、その条文がどのあたりにあるかがわからなければいけません。
- 違いはツリー状に表現して、上下の階層をすぐに見つけられるように描くことと、1枚の大きな紙にして、ページをめくらずに全体を見られるようにするところです。
+ 違いは情報の形です。情報は、上下の階層をすぐに見つけられるように、ツリー状に描かれます。また、1枚の大きな紙にして、ページをめくらずに全体を見られるようにします。
- 授業の間、ある特定の条文に言及するときには何度もこのマップを見て、その条文が「どこにあるのか」を確認します。たとえば第570条「売主の瑕疵担保責任」は、第3編「債権」の中の、第2章「契約」の中の、第3節「売買」の中にある、というようにです。条文に言及するたびに、3編債権 2章契約 3節売買 570条......と口ずさむので、上位階層の情報は何度も目にすることになり、自然に頭に入ります。膨大な情報を脳内に体系立てて保存するうえで、地図を毎回根元からたどるのは有用な方法だと思いました。
+ 授業の間、ある特定の条文に言及するときにはこのマップを見て、その条文がどこにあるのかを確認し、上の階層から順に発声します。たとえば第570条「売主の瑕疵担保責任」は、第3編「債権」の中の、第2章「契約」の中の、第3節「売買」の中にあります。なので、その条文に言及するたびに、「3編債権 2章契約 3節売買 570条 売主の瑕疵担保責任」と発生します。
+ この活動によって、上位階層の情報は何度も目にすることになります。根に近い情報ほど頻繁に出現します。なので、それを自然に覚えます。膨大な情報を脳内に体系立てて保存するうえで、地図を毎回根元からたどるのは有用な方法です。
より具体的にした
-
+大雑把に情報収集できないなら、片っ端からやるしかありません。
+大雑把に全体像の把握しようとして目次を読んでも、何もわからないことがあります。この現象は、新しいものを学ぶ時にはしばしば起こります。これは、理解を組み立てるための材料が足りていないことによって起こります。
+目次に書かれている言葉は、しばしば、すでに抽象化がされています。もしあなたがその抽象化された概念を支えることのできる知識を持っていなければ、目次を読んでもそれを理解することができません。
+私たちはしばしば、何から学べば効率が良いかを考えてしまいます。しかし、何から学べば効率が良いかを判断する材料すら持っていない時に、それを考えようとすることは時間の浪費です。まずは材料を手に入れることが必要です。
-
+ この見積もりを見て、あなたは25時間かけなければいけないと思ってやる気をなくすかもしれません。しかしそれは間違いです。25時間かけなければいけないわけではありません。
- 「あなたが効率的な学びをできない最悪の場合でも、25時間写経を続けるれば教科書を1冊写したという実績が得られる」という見積りができることで、漠然と「読んでもさっぱりわからないけど頑張って学ばなきゃいけない」と思っている状態よりも、やる気を維持しやすくなります。
Wordy
- 凄腕のプログラマーは、プログラムにトラブルが起きたときに、実際のソースコードを見る前に「こういう処理のあたりに問題があるのではないか」と予想して、正しく当てることがあります。これはなぜできるのでしょうか?
+ A good programmer sometimes predicts the cause of the problem without having to look at the actual source code. Why is it possible?
モデルは、現実世界のしくみを説明するための簡素化された表現です。
これ、直前の段落から直接繋がっているけど、次のモジュールの節と同じようにもう一段階分割した方が良いように思う
思考の節約のためにモデルを使う
モデルは、現実世界のしくみを説明するための簡素化された表現です。現実世界で起きている現象は複雑なので、人間の限られた認知能力でも扱えるように、重要でない部分を削ぎ落としてシンプルにするわけです。たとえば高校物理では空気抵抗や摩擦はないものとします。現実世界には存在する空気抵抗や摩擦を無視して問題をシンプルにし、高校生が扱えるようにしているわけです。
モデルは現実の一部を抜き出したものなので、現実と完全一致はしません。このことを指して「すべてのモデルは間違っている」注31と言います。
モデルを使うと低コストで実験ができる
モデルの価値は、現実との一致度ではありません。モデルの操作が、現実を直接操作することに比べてどれくらい低コストになるかです注32。
特に数式を使って表現されたモデルのことを「数理モデル」と言います。数式やプログラムの形でモデルを作ると、実験がやりやすくなります。物理的な実験装置などが必要ないからです。
凄腕のプログラマーは、プログラムにトラブルが起きたときに、実際のソースコードを見る前に「こういう処理のあたりに問題があるのではないか」と予想して、正しく当てることがあります。これはなぜできるのでしょうか?彼の脳内にはそのプログラムのモデルがあり、そのモデルのいろいろな場所を壊したときにどんな現象が起きるかを脳内で実験できるのです。そして壊した結果として起きる現象が、実際に観測された事実に似ているものを選び出しているのです。
切り分ける過程で文章の順番が入れ替わった
- 現実には、完全に同じもの、とてもよく似ていて大部分同じだけど少しだけ違うもの、ほとんど似ていないけども少しだけ共通部分のあるもの、完全に違うもの、とグラデーションになっています。
+ 現実にはグラデーションになっています。
英訳するとかなりまどろっこしい。
- 新しい気付きのためには、「同じ」でも「違う」でもない、一部同じで一部違う「似ている」ものどうしを比較する必要があります。
ここでいう「新しい気づき」とはpattern discoveryのこと
- たとえ話は、抽象的なことを伝えるときによく使われます。
+ たとえ話は、抽象的な概念を伝えるときによく使われます。
図を描いた
- 共通部分を見つけるのはとっつきやすいのですが、「あれも似ている、これも似ている」と単に情報を集めただけにもなりやすいです。ある程度慣れてきたら、違いに注目したり、一見矛盾しているように見えるものについて考えると、考えが進みやすいです。
+ 人は共通部分に注目しがちです。しかし、共通部分を収集することは抽象化につながりにくいです。違いや矛盾に注目すると、より抽象化につながりやすいです。
- 自分でパターンを発見しなくても、パターンが書いてある本を読めばよいのではないか、と思うかもしれません。一見合理的に見えますが、実際には「ピンとこない」「抽象的でよくわからない」などの感想を持つことも多いように思います。
+ 自分でパターンを発見しなくても、パターンが書いてある本を読めば、パターンを習得できると思うかもしれません。一見合理的に見えます。しかし、実際にパターン本を読むと、しばしば抽象的で理解が難しいと感じます。
「よい」が曖昧
- 一方で「なぜ似ているのか」を自分の言葉で説明したり、別の例に変えたり、自分の解決したい問題が公開伴暗号によって解決すると気付いて応用することは、公開伴暗号を理解していない人にはできません。
+ 一方で、理解していないなら、なぜ似ているのかを自分の言葉で説明できません。別の例に変えられません。自分の解決したい問題が公開鍵暗号で解決すると気付けません。知識を応用できません。
- 本当はわかっていないのにわかっていると思い込んでしまうことは、よく起こります。その間違いに気付いて学びを進めていくためにも、理解を検証することが大事です。
+ 私たちはしばしば、自分の理解を勘違いします。本当はその概念を理解していないのに、しばしば自分は理解していると感じてしまいます。この勘違いに気づいて、理解を改善していくために、自分が理解しているかを検証することが大事です。
- 似たコンセプトとして、空腹の人に魚を与えても1日しか空腹をしのげないから、魚を与えるのではなく釣りのしかたを教えよ、という表現もあります。
+ 似たたとえとして、空腹の人に魚を与えても1日しか空腹をしのげないから、魚を与えるのではなく釣りのしかたを教えよ、とも言われます。
- あなたが何かをわかったような気持ちになったとしても、本当にわかっているという保証にはなりません。あなたが正しいと思っているあなたの脳内のモデルが本当に正しいかどうかは、その脳内モデルを実際に使って、その結果を観察して検証しなければいけないのです。 + あなたが何かをわかったような気持ちになったとしても、本当にわかっているという保証にはなりません。わかったような気持ちは、あなたの脳内で仮のモデルが作られた時に起こります。そのモデルが正しいかどうかは、検証する必要があります。検証は、そのモデルを実際に使って、その結果を観察することで行われます。
-プログラミングの学習は、とても検証がやりやすい分野です。...ものづくりという点で似ている、木工で椅子を作ることと比べてみましょう。...もう一つ、絵を描くことと比べてみましょう。
+ プログラミングは、理解の検証が比較的やりやすい分野です。...他の領域の理解と比べてみましょう。木工もものを作る行動だという点で、プログラミングに似ています。...もう一つ、他の領域の理解と比べてみましょう。
Let's compare with the understanding in other domain. Woodworking is an act similar to programming in that it is to make things.
- 実際のデータ、直接経験から「あっ、こういうパターンがありそうだ」と直感的に発見するものです。
+ 具体的な情報を観察しているうちに「あっ、こういうパターンがありそうだ」と直感的に発見するものです。
ここではアインシュタインの考えとこの本の間がの対応を説明しているので、アインシュタインの用語ではなくこの本の用語で説明したほうがいい。
- 「作って検証」(★ページ)では、理解をもとに何かを作ってみて、それが期待どおりに動くかどうかで理解の正しさを検証する話をしました。理解が公理Aに対応し、その理解をもとに「こう作ればこう動くはずだ」と具体的な主張Sが作られ、それが実際にその通りに動くか直接経験Eと照らし合わせることで検証するわけです
+「作って検証」(★ページ)では、プログラムを作ることによってあなたの理解を検証する話をしました。理解は公理Aに対応します。あなたは自分の理解に基づいて、具体的なプログラムを作ります。これが具体的な主張Sに対応します。次に、あなたはこのプログラムが期待した通りに動くかどうかを観察します。プログラムの具体的な挙動は直接経験Eに対応していて、それと照らし合わせることによって検証するわけです。
- Einsteinは4のステップも直感に属すると考えました。Sの中に現れる概念と、直接的な経験の間の関係が論理的でない、たとえば、dogという言葉と犬を見たときに私達が直接経験することとの対応付けに根拠がないからだ、とのことです。これは「すべてのモデルは間違っている」と関連する話で、モデルは直接経験とは異なるものなので、新しく観測された直接経験が特定のモデルに対応付くものなのかそうでないのかを論理的に言うことはできないということかと思います。
+ Einsteinは4のステップも直感に属すると考えました。Sの中に現れる概念と、直接的な経験の間の関係が論理的でないからです。たとえば、dogという言葉と犬を見たときに私達が直接経験することとの対応付けは論理的な根拠を持ちません。この考えは「すべてのモデルは間違っている」と関連する話です。モデルは現実世界の現象自体とは異なるものなので、新しく観測された現象を特定のモデルで解釈するかどうかは、論理的に決まることではなく、人間の主観的な選択なのです。