知識の継承としてのコミュニケーション
知識の継承という視点でコミュニケーションを見た場合、 知識を持っている人Xは、知識を持ってない人Yが文章を見てどう感じるかわからない
Yは、Xと比べて何の知識が不足してるのか、何を質問すれば良いのかわからない
という状況がある。
Xが「Yはここがわからないのではないか」と憶測してドキュメントを作るのは、Xにとって大きな負担になる。
しばしば書く必要のないことまで書き連ねられた見通しの悪いドキュメントが生まれる。
ドキュメントが大きくなるほど、維持コストや目的のものを見つけ出すコストが高くなる。
ドキュメントが大きくなるほど読み手にとっての負担が増える。読み飛ばして必要なところだけ読むことがYには困難だから。
Yが「自分はXと比べて何を知らないか」を言語化するのは、無理難題。
そこで、XがまずYのことを気にせずにドキュメントを作り、Yがそれを読んで「わからない」と思った時に低コストで表現できる方法が必要。 この「低コスト」はUI設計だけの話ではない
「質問をしたら仕事の邪魔になるのでは」などの遠慮が発生しないこと などが含まれる
知識のない人Yが「わからない」を低コストで表現しやすくする工夫としては、例えば
小さい単位でのパーマリンク
「ここの話ってどういうこと??」と指し示しやすくなる。
Scrapboxの行パーマリンク
文章の任意の場所にコメントをぶら下げられる
わからないことに関する議論がしやすい
Google Docsのコメント機能
Scrapboxは「箇条書きの共同編集」という運用で解決
文章のわからない単語にマーカーを引いて「わからない」を手軽に表明できる Google Docsなどの共同編集ツールの運用の一種
Scrapboxの場合そリンクにすることでわからない気持ちを表現しつつ、解説を書く場所も用意される
非同期なコミュニケーション手段
「今質問したら仕事の邪魔かな?」などと考えずに、気になったことを即座にアウトプットできる
などがある。
関連
ソフトウェアに「顧客が求めてないものを作ってしまう」があるように、ドキュメントにも「読者が求めてないものを書いてしまう」がある