東インド会社と身銭
from 思考の結節点2025-09-30
東インド会社と身銭
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EIC(English East India Company)
正式名:英領東インド会社
設立:1600年、エリザベス1世の勅許状(Royal Charter)。
中核:東方交易の独占権を与えられた勅許会社。初期は航海ごとの出資(組合)色が強く、1657年以降は恒久的ジョイント・ストックに移行。
権限:外交・徴税・武力行使などの準国家的権限を実質的に行使(特にインド)。
終焉:1858年にインド統治権が英政府へ移管、会社は1874年に解散。
VOC(Vereenigde Oostindische Compagnie)
正式名:オランダ東インド会社
設立:1602年。
中核:世界初期の恒久的ジョイント・ストック企業として有名。株式を公開市場で売買(アムステルダム取引所)。アジア交易の独占権。
権限:条約締結・造幣・駐屯など準国家的権能。
終焉:1799年に解散。
どちらも「大規模リスクを投資家の資本で束ね、法人の器でスケール」させた歴史的モデル。
ただし“従業員が身銭を切るか”という論点には直接の比喩としては弱い(身銭は主に投資家側)。
恒久的ジョイント・ストックとは
一言でいうと、会社の資本を“航海や案件ごと”ではなく“会社そのもの”として恒常的に束ね、株式を自由に売買できるようにした仕組みです。
(=資本が案件終了で精算されず、会社が続くかぎり存続するジョイント・ストック)
何がポイント?
資本の恒久性:出資金はプロジェクト終了で解散・返還しない。
株式の譲渡性:出資者は持分を売買して現金化できる(会社は解散不要)。二次市場が成立。
有限責任(歴史的に整備):投資家の損失は出資額までに原則限定。
配当は“全社利益”基準:航海ごとではなく、会社全体の損益から配当。
組織の連続性:人が入れ替わっても法人と資本が継続するので、長期投資・大規模事業が可能。
何と違う?
航海組合(プロジェクトごとの出資)
案件単位で出資→終了時に精算・解散。株の流動性が低く、長期の設備投資や大規模統治に不向き。
なぜ重要?
巨大・長期・不確実な事業(海外交易・インフラ・植民・後年は鉄道や電信など)を可能にした金融技術。
投資家にとっては流動性、会社にとっては資本の安定供給。
同時に、所有と経営の分離/ガバナンス課題(エージェンシー問題)も生んだ。
→ まとめ:恒久的ジョイント・ストックは、近代株式会社の中核仕様。資本を“会社という容器”で持続させ、株式市場での流動性×分散投資を実現した仕組みです。