未来に向けた先進的なIT人材育成
https://www.youtube.com/watch?v=k4dnCKa46-g
パネリスト
竹内 郁雄氏(東京大学 名誉教授 / 未踏事業統括プロジェクトマネージャー) 稲見 昌彦氏(東京大学 先端科学技術研究センター 教授 / 未踏事業プロジェクトマネージャー) モデレータ
田口 潤氏(株式会社インプレス 編集主幹 兼 第1編集統括部長) (以下敬称略)
竹内
奇人と変人は違う
奇には良い意味があるが、変にはない
塩澤
IT人材を育成する
ITで人材育成する
法学部でのゼミ風景・授業風景を紹介
ゼミ
全員ラップトップを使用
問いかけに対してみんなが同時に入力・リアルタイム共有(Scrapboxの共同編集機能)
音声では一度に一人しか発言することができないが、IT技術を使えば全員が同時に発言することが可能
授業
QRコードで資料共有
質問に対して全員が紙でまず一人で書く(授業では全員がラップトップを持っている状態にできないため)
次にバディ(2人組)の相方にそれを解説する
その後、教室全体に説明したい人が手を挙げて全体に共有する
教育にも2つある
教員が教えて学生を育てる
学生が教えて学生が育つ
後者がよいと考えている
鵜飼
2通りの教育がある
すそ野を広げる
竹内
未踏18年
教育100年の計
学生 生活感がないので好き勝手にやりやすい
生活感があるとブレーキがかかってしまう
未踏ターゲット開始
未踏ファミリーが増えている
委員会的に合議で決めると平均的主義になりやすい
稲見
自分自身は未踏の採択者ではないが、周囲に未踏の尖っている人がたくさん、教え子にも
1人未踏がいると周りに良い影響を与える
学生が学校の外側にコミュニティを持っていることが大事
大学教員は学生を一方的に教えるのではなく、自分自身も学生から学ぶ。半分学び半分教える
塩澤
未踏ブースト会議に参加して法的な懸念のあるプロジェクトをエンカレッジする
「法的に問題があるかも」というプロジェクトに「これをこうすればできるよ」とアドバイスする
自由な発想で新しいモノづくりをするということは、現在の法体系にも縛られないということ
「あー、それ何とか法何条でダメだね」っていうのは簡単だが、自分はそんなことをするために呼ばれているのではない
できる方法を提案する
ブースト会議は面白い
OBがわんさかきて現役生にアドバイスする
「日本のITを作ってるな~」という感じがする
鵜飼
先輩後輩ネットワーク
特に未踏ジュニア、中高生がめっちゃ伸びる
大学生には研究室のコミュニティがある、中高生にそれに相当するものがない
田口
世代・場所・企業を超えたコミュニケーションがある?
竹内
2002年に未踏ユースが始まり、ブースト会議という仕組みが始まった
全員を集めてるつぼにいれる
数年たってOBも入れ始めた
厚みが増える
OBもアクティブな人が多いので現役生にちょっかいを出す
人や技術を紹介する
アドバイスする
たいがいプラスの効果を生む
今の仕組み
7月ごろ ブースト会議 全員集合 るつぼ
11月ごろ 8合目合宿 また全員集合
2月ごろ 成果報告会
田口
採択した以上は成果が問われる、どう評価するか
稲見
採択したからにはPMも成果にコミットする
上から目線で「評価する」ではなく、運命共同体である
色々過去のPMに相談した
「クリエータと一緒に解決策を見つけていくところ」
これが大変なところでもあるし、よかったところでもある
田口
実際に採択された側の意見として鵜飼さん、相性の悪いPMとかいないの
鵜飼
自分個人の場合は相性が良かった、が、やはり相性が悪いケースもある
しかし合議でとっても平均点になるだけ
竹内
PMは結構、自分が採択していないほかのプロジェクトに対しても口を出す
奇×奇
結構面白い
竹内
未踏人材
1/3 アントレプレナーシップをもって起業する人
1/3 エスタブリッシュドな大組織に属する人
1/3 アカデミアに進む人
この多様な人材の総和は1よりも大きな価値を生む
ベンチャー資産価値 5000億
使った税金の100倍以上、とてもコストパフォーマンスがよい事業
稲見
かなり奇な人の居場所になってほしい
VRも、VR自体の研究からVRをどう使うかの研究に広がっていった
ITも、ITと無縁と思われていたところに広がっていく
田口
xTechか
塩澤
そういう意味ではぜひ弁護士になってほしい
自分の教え子に、バイオ出身の弁護士がいる。自分で遺伝子検査ができてしまう弁護士。
掛け合わせによって高い価値を生む。
法律は社会のルール、ネガティブにとらえられがちだが、サッカーのルールをネガティブにとらえないだろう
プログラミングをしたことがない人がプログラムを見てうわっとなるのと同じ
スポーツだとルールを把握して戦略的に使う
落合さんが辞めて翌日に再雇用されたのとか、ルールを把握したうえでの戦略
法律の話をはなから拒絶してしまうのではなく、興味を持ってほしい
鵜飼
イングランド
教える先生の不足
地方ほど足りない
周りに楽しそうに働いているエンジニアがいない地域の問題
未踏=自分が作りたいものを自分で提案して作る、楽しい
人に言われて作る人ではなく、自分が作りたいものを作っている人と一緒に活動したい
親がやれといった、先生が受験に良いといった、なんてのはショボい
親や先生の考え方を変えていかなければならない
田口
法律がイノベーティブな動きを阻害しているのでは。大陸法は書いてあることはOKで書いてないことはNG、日本はこれ。英米法は判例に基づいていて、判例にないものはやってみる。
塩澤
日本は確かに大陸法、しかし憲法は「人はみな自由」
個人の自由を抑圧しないために、政府が肥大化しないためのルールを決めているのが憲法
第199条: 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
罪刑法定主義: 罪は法律の条文に明記されているものだけ、書かれていないことは自由
しかも「殺すな」とは書いていない。「殺したら、こういう罰を与えるよ」と書いている
「汝殺すなかれ」は宗教
サッカーのルールも同じ。ルールに書いていないことは自由。
「やってはいけない」と明示されていること以外は自由。
鵜飼
どんどんチャレンジしたらいい
田口
Suicaのデータを分析しようとしたら「勝手に使うな」と言われた事件
塩澤
その事件の詳細は知らないが、私人間のルールは互いに合意して作る。それが契約。
田口
契約には書いてなかった。
塩澤
契約に書いていないときは法律の条文
法律の条文にも2パターンある
「原則的にやってよい」と考えていて、やってはいけないことを書いているもの(刑法など)
「原則的にやってはいけない」と考えていて、やってはいいことを書いているもの(著作権法など)
本当は社会が法律よりも早く変わっていくことを考えると、原則OKの条文が好ましい
nishio.iconここ、口頭で説明しきれなくてかなりはしょられてて、話題が飛んでいるように思う人もいそう
僕の解釈で補うと以下のような流れ
契約に書いていない(事前に当事者間で合意がない場合)はデフォルト値として条文の規定が使われる
「勝手に使うな」という主張は、相手方に特定の行為(不作為)を求める行為
他人に行為を求めるには、それをできる根拠となる条文がなければならない
その条文には、やってはいけないことが列挙されているタイプと、やってよいことが列挙されているタイプがある
イノベーションを促進するためには前者の方が好ましい
稲見
2020年に向けてテクノロジーを使ったスポーツ
色々新しい面白いスポーツが生まれている
小学生の時も、自分たちでルールを作って遊んでいたはず
ルールはどんどん変わっていくもの
コミュニケーション、インタラクションを密にしていくとよいのでは
塩澤
法律は常に作られた時点よりも未来に対して適用される
作った時点で古い
世界が変化するからどんどん変えていく必要がある
それも、変化を見てからそれに後追いで追従するのでは遅い、未来の変化を予見して変えていくことが必要
バレーボールもバドミントンもルールがどんどん変わってきている
「法律を守れ」という言葉にも2つある
〇 現行法を順守せよ
× 現行法を金科玉条のごとくあがめて、変えてはならない
変えていくのが大事
法学部では「ルールを変える人材になれ」と教育している
田口
サンドボックス、期間限定で法が緩められる、事業がうまくいきそうになった時に期間が終わってしまったりする
田口
海外ではVCが仲介するのか、技術とビジネスのマッチングが盛ん、未踏は弱いのでは
竹内
弱いです
つい先日、クローズドでVCの前でピッチをする会を行った
あまりどういう支援を求めているのかが明確化されていないように思う
全員がそれができる人材になる必要はないだろう、その場合はできる人とマッチングすればよいだろうが、できる人はどこにいるのだろうか。MBAからそういう人材が輩出されているように思えない。
鵜飼
未踏は全員が全員VCにお金を入れてもらうことを志向しているわけではないし、採択時にも起業だけを目的として選んでいるわけではない
補完する仕組みを作ることなく現役生を批判するのはおかしい
稲見
大学だと周りをVCがうろうろしている、カフェを設けて相談できるようにしたりしている
スタートアップモデルは一つの選択肢に過ぎない、そういうのばかりではない
UnityもWWWも、VC資金を入れてグロースしたわけではない
悪いことは小さくまとまること、もっとはじけるべき
塩澤
富士山のような塔は立たない、尖った人材が育つためにはすそ野が必要
非IT系の人がITに親しんでいくことが大事