暇とは何か
「暇害」における「暇」の概念を英語で説明しようとした時、freeとかlaisureにはポジティブなニュアンスを感じた。日本語の暇にはネガティブなニュアンスがある 「暇」を「潰す」ことである「暇潰し」はkilling timeだが、timeが「暇」ではない。
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「暇」のコアイメージ
外的な義務も内的な没頭対象もなく“手持ち無沙汰”な状態
充実・休養のために“確保した”ゆとり(leisure)ではなく、**余ってしまった時間が持つ空虚感や退屈感**まで含む。
この “ネガティブな空白” が長く続くと、無気力・嫉妬・思考のネガティブ化など精神的な害(暇害)を招くとしばしば語られる。 英語に置き換えるときのポイント
① ただ何もしていない状態
idleness / idle time
“遊休”・“手持ち無沙汰”の負の含み | 最も近い。idle は「エンジンが空回り」の感触 |
② 害を強調
the perils (or harms) of idleness
暇害
“perils” で警鐘を鳴らす語感
③ 退屈がつきまとう時間
dead time / empty time
生産性ゼロ・時間が“死んでいる” 口語的
④ 暇潰し
kill time / time-killing activities
時間を「殺す」行為
“time” が目的語になる点に注意
**提案訳**
* 暇害 → *“the harms of idleness”* または *“idleness hazards”*
* 暇な人 → *an idle person*(※ “free” や “at leisure” は肯定的になりすぎる)
### 「leisure / free time」との違い
**leisure** の語源 *scholē*(古代ギリシア語)には「ゆとりある余暇で学ぶ・考える」という**肯定的な価値**が含まれ、現代英語でも休息や自己啓発のニュアンスを帯びる。
**free time** も中立〜ポジティブ。
したがって「暇」=「free time」では、ネガティブな含み(無為・退屈・虚無)が抜け落ちる。
### 文化的背景メモ
日本社会では「忙しい=美徳」という文脈が根強く、「暇人」は軽い蔑称になりがち。
あー、これ日本文化の影響があるのかnishio.icon
心理研究でも、自由時間が**1日5時間を超えると主観的幸福度が下がる**という報告があり、過度の“空白時間”がストレスや自己肯定感の低下を招きうる。