日本の分断はどこにあるのか
from スマートニュース・メディア価値観全国調査
日本の分断はどこにあるのか
日本の分断はどこにあるのか: スマートニュース・メディア価値観全国調査から検証する
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日本の分断はどこにあるのか
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日本の分断について、本書では、アメリカのように保守とリベラルが一元的ではなく、多元的な様相を呈していると分析しています。
多元的な分断軸:
5つの分断軸が考えられており、イデオロギー、政治関与、道徳的価値観、リーダーシップのスタイル、政治制度のパフォーマンスに対する将来期待の乖離などが含まれます。
アメリカのような道徳的価値観における三分的な関連性は見られないものの、多重の対立が存在します。
有権者の認識:
保守とリベラルのイデオロギー対立は、有権者の認識においてはそれほど広がっていません。
有権者の認識において最も浸透している社会対立は労使対立であり、ジェンダーに基づく対立がそれに次ぎます。
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p.127
SMPP調査では社会対立認識についても測定を試みた。日本社会において対立が生じている可能性のあるカテゴリーについて8種類リストアップし,それらについてどの程度対立していると思うかを尋ねた(間30)。 具体的には「世代の対立」 「都市と地方の対立」 「男性と女性の対立J「経営者と労働者 (勤労者)の対立J「豊かな人と貧しい人の対立」 「政治的な保守とリベラルの対立」 「職業による利害の対立」 「日本で生まれてきた人と,外国から移住してきた人」である(質問順)。
p.129
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政治と市民の距離:
政治との間に分離の壁を作る「私生活志向」が広範に見られます。
政治に関心を持たない層が多く、政治参加を避ける傾向があります。
メディアと情報環境:
伝統的なマスメディアに対する信頼は比較的高いですが、インターネット上のニュースに対する信頼度は低い傾向があります。
世代による情報環境の差異があり、メディア接触パターンが市民間の情報環境の差異をもたらします。
市民は複合的なメディアの組み合わせによって自らの情報環境を形成しており、いくつかの特徴的な接触パターンが存在します。
政策的対立:
安全保障や憲法に関する問題では保守とリベラルの分断が見られます
が、経済争点ではアメリカと異なり分断は見られません。
同性婚や移民受け入れ、環境問題ではアメリカと同様の傾向が見られますが、分断の度合いは小さいです。
道徳的価値観:
個人志向と連帯志向という道徳的価値観が社会の分断軸として機能しており、政策的な意見形成に影響を与えます。
個人志向が高いと同性婚や移民受け入れに賛成する傾向があり、連帯志向が高いと反対する傾向があります。
リーダーシップのスタイル:
政治的リーダーシップのスタイルが党派的対立を助長、あるいは主導することで分断による敵意が増大します。
日本では、安倍政権とその周辺の首相経験者に対してのみ明確な敵と味方の分断が生じています。
統治の不安:
社会や政治の将来像に対する不安が、政治参加のあり方に影響を与えます。
統治の不安と対立強度認知が相乗的に強いほど、市民が投票所に導かれる傾向が見られます。
全体として、日本の分断は多岐にわたり、イデオロギー対立だけでなく、世代、労使、ジェンダー、政治関与、価値観、メディア接触など、さまざまな要因が複雑に絡み合っている。また、政治に対する関心の低さや私生活志向が、分断の様相をさらに複雑にしていると考えられます。