批評
(柄谷 行人)その頃僕がよく使っていた“批評”という言葉がある。自分は、“哲学”とか“文学”じゃなくて、“批評”をやるんだ、と。それは簡単にいえば、批判的である、ということです。既存の思考を組み合わせて新しいものをつくるのではなく、既存の思考を成り立たせているメカニズムを解明しようとすべきだ、と考えた。そういう作業がないと、思想は、既存の体制を追認して、そこでできる範囲のことに甘んじることになる。既存の思考体系は、どんなにラディカルなものであっても、それを反復しているだけだと、既存の体制に吸収されて、それを支えるものになってしまう。 なるほどなぁ。