デリダが批判した「弁証法的伝統」と「ロゴセントリズム」
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弁証法的伝統への批判
西洋哲学は古代ギリシア以来、論理を突き詰めて対立を解消し、最終的に真理へと至るという「弁証法的」な思考を重視してきた(特にヘーゲルなどで顕著)。 デリダは、こうした「論理的対立を高次の結論にまとめあげる」構造そのものを疑う。
なぜなら、弁証法は最終的に「真理」や「統一」を打ち立てることを目指すが、この「唯一の結論」こそがさまざまな差異や矛盾を抑圧している、と指摘した。
「ロゴス」とはギリシア語で「言葉」「理性」「論理」などを意味する。 西洋哲学・文化では、「言葉による理性」をあらゆる認識・判断の最高根拠とみなす考え方が長く続いてきた。 デリダの基本的な姿勢
テクストや概念を外から一方的に壊すのではなく、内在するズレや矛盾を丹念に読み解くことで、「実は一枚岩の論理や真理が崩れている」様子を示す。 こうした方法が「脱構築」と呼ばれ、伝統的な哲学・論理が前提とする「はっきりした真理」や「安定した中心」への信頼を揺るがす働きをする。 短くまとめると、デリダの批判は「一つの真理に到達できる」「言葉(ロゴス)がすべてを支配する」といった西洋哲学の根本にある前提を疑い、その背後で抑圧されてきた矛盾や差異に光を当てることが狙いだと言える。