24世紀の社会とは
claude.iconこの対談は、社会思想と科学哲学の融合点に立つ二人の知識人による、現代社会の構造的課題と未来像に関する深遠な議論を展開しています。主要な論点は以下のとおりです:
1. 学問の分断と再統合:
19世紀以降の社会科学の細分化傾向に対し、社会を全体として捉え直す必要性を論じています。これは還元主義的アプローチの限界を示唆し、複雑系理論や創発概念を社会理解に適用する可能性を探っています。
2. 人間中心主義の脱構築:
従来の政治経済システムが前提とする人間中心主義を批判的に検討し、生態系全体を包含する新たな社会システムの構想を提示しています。これは、所有権や投票権の概念を人間以外の生命体にも拡張する革新的なアイデアを含んでいます。
3. 知的生産の場の変容:
大学システムの限界と、それを超えた知的生産の可能性について議論しています。ここでは、学際的かつ実践的な知の創造の場を模索する姿勢が見られます。
4. 思想と実践の相克:
社会変革における理論と実践の関係性について深く考察しています。特に、現代社会における「実践至上主義」への批判と、純粋な思想家の役割の再評価を行っています。
5. 歴史的視座からの現代批評:
18-19世紀の思想家や20世紀半ばの科学者たちの多面的な活動を参照しながら、現代の専門家主義を相対化しています。
6. 未来社会の構想:
既存の政治・経済概念を超えた新たな社会システムの可能性を探り、技術革新と社会制度の共進化について洞察を提供しています。
この対談は、学術的厳密さと大胆な思想実験を融合させ、現代社会の根本的な再構築を志向する知的営為として評価できます。また、長期的視野に立つ思想の重要性を強調しつつ、同時代における革新的思想の受容の困難さにも言及しており、思想史的観点からも示唆に富む内容となっています。
tonghwi17 成田悠輔 v.s. 鈴木健『22世紀の民主主義』/『なめらかな社会とその敵』の著者が語る24世紀の社会とは 時間の許す限り実況しようと思います~!
>kensuzuki: 成田悠輔さんと11/19(土)11amからTwitterのスペースでトークします。題して、
tonghwi17 鈴木健(以下鈴木):今日はそれぞれ未来の社会に関する本を出したので、未来を語る会にしたい。 成田さんに直接会ったのは彼が大学1年生の頃。僕の指導教官の池上高志さんのつながりで。2001年に出版された『NAM生成』という本で、そこでPICSYに関する論考を書いたが、それを成田さんが手伝ってた
tonghwi17 鈴木:そのあと、スタンフォード大学の青木先生が東京財団が仮想通貨研究所を立ち上げるときに僕も手伝いを頼まれて、そこのリサーチ・アシスタントで誰かいい人がいないかということで一番に思い浮かんだのが成田さんだった。それ以降、研究をドライブしていたのが彼と言っても過言ではないくらい tonghwi17 成田:怪しげな研究に関わっては色々とやってみて、そのプラットフォームを好き勝手に使わせてもらっていた。 鈴木:成田さんのおかげで、面白い研究者が出入りしていた。
成田:ああいう変な人達が集まる場所、不毛な感じがすきで、何が作り出されているのか正直よくわからないんですけど
tonghwi17 成田:でもそれが数十年経つと人の繋がりや良い土壌ができている。でも今の社会は世知辛いから、あんまりそういう土壌作りとか理解してくれない。 鈴木:自分的には『なめらかな社会とその敵』の出版で、認知科学者、心理学者、法学者のようないろんな分野の人に影響を与えることができて、
tonghwi17 鈴木:昨日対談した坂井豊貴さんがその結果『多数決を疑う』という本を出したり。そういうことに繋がっていっている。 成田:そういうものが生まれていくぬか床はおろか、かっちり定義されている研究所ですら今となっては維持できない状況。
tonghwi17 成田:そういうことをやろうと構想しているグループはいくつかあるんだが、長期でもたない。出版社のように、百年単位ではない組織が持つことになると単年度予算で回していくから、意思決定が変わったりすると数年で終わる。十年単位で保ち続ける場所を作るのは難しい。 tonghwi17 鈴木:そういう中で、今回成田さんは『22世紀の民主主義』という、日本語で単著としては初めての本を出された。僕はこういう社会に問いかける本を成田さんが書いたのは、「おっ」と思った。成田さんは大学時代の印象で浮世離れしていたので、この本は浮世に近づいているなと。 tonghwi17 成田:この本は、演説していたり、アジテーションをしているイメージで書いた。訴えかける系のことをやってみようとふと思った。もちろん、同時に考えているんですけど。 成田:若者たちが変な村を作ろうとしていたり、ブロックチェーン上で共同体を作ろうとしていたりという小さいさざなみレベル、うごめきはある。もともとそういう狙いはあった。ある種の独立思想、革命思想、デジタルによる民主主義の発展というのは古い課題なんだが、
tonghwi17 成田:リーチする先を一桁、二桁増やしてみるとどうなるんだろうという実験としてやってみた。 tonghwi17 鈴木:僕が2000年から13年書いた本が『なめらかな社会とその敵』なんだけど、成田さんにかなりいろんなコメントをもらった。自分ひとりで書いたというより、むしろ共著者の一人のように思っている。成田さんからみたときにどういうふうに捉えているか教えてほしい。 tonghwi17 成田:全部しっかり読んだのは10年前なので、いまの理解は曲がっている可能性があるが、全体として覚えている印象は、社会というものをそれ自体として考えることは可能かという問題がある。人間社会について考察することを、ここ100〜200年の社会科学者たちは諦めてきたところがあって、 tonghwi17 法、経済、軍事みたいにカテゴリー化、構造化していった。19世紀にはPolitical Economistみたいな人がいたが、それが近年は細分化されていった。それをもう一度大きな塊としての社会として考える、融合しようとするのは、社会、科学、文化、ビジネス全てにとっての問題で、それに取り組もうとしている tonghwi17 鈴木:そういうところは確かにある。様々な事象は生物の営みの一つの現象にしか過ぎないと考えると、統計的な普遍的なものがあったとしても、結局アドホックなもの。既存の学問の捉え方は、型にはまりすぎてしまって、そこから抜け出せないと思う。結果として細分化されたものを統合しようとなったかも 鈴木:ぼくは最初は社会への違和感のほうが先立った。ベルリンの壁とか。それをちゃんと考える手がかりとして、高校になってから物理学に触れて単純に衝撃を受けて、物理をやっていけば自分が違和感を抱いているものに答えが出せるかもと
tonghwi17 鈴木:思ったんだが、高校時代は線形な物理しかやれず、大学に入って非線形な世界を知り、複雑系という分野に入っていった。池上高志という圧倒的な変人と出会い、「この人何言ってるかわからないな」と思いつつも勉強してみたら面白く、社会の問題について考えたいというのはあったんだが、 tonghwi17 鈴木:生命科学や自然科学に取り組んでいった。だから、いま言われて思い出したが、もともと社会のほうに興味があった。 成田:社会と個体や事象をつなげるべきなのかというのは昔からある議論なんだが、そこを飛び越えなくちゃならないと思っているのはなんでなんですか。
tonghwi17 鈴木:どこかで事象の説明原理を求めているんだが、複雑系の世界では、複雑な相互作用の中から秩序を生み出すようなものが起きて、それを創発というが、それを多数のレイヤーで多段創発を生み出すかが人工生命などの研究で議論されている。世界もレイヤー構造があるんだが、 tonghwi17 鈴木:それもある種の加工でしかなく、それも結局生成されたものでしか無いと見ている。僕はそれが正しい正しくないというのは別にして、僕はその世界観がしっくり来た。そもそも貨幣に価値があるという事自体にも違和感があって、権力者になぜ従わないといけないんだということにも違和感があって、 鈴木:PICSYで貨幣システムを設計していたら社会保障システムの構想が生まれてきたりして、この本を書いていく中で、いろいろな発見はあった。
成田:逆に新たに現れた敵、Sense of wonderはあるか。
鈴木:カール・シュミットは難敵だと痛感した
tonghwi17 鈴木:書きながら、全然カール・シュミットを倒せている気がしない。もう一つは、人間至上主義から全然抜け出せていないこと。経済というのは自然環境を含めて考えるとなぜ人間だけが所有権があるのかは謎。胃の集合知の延長線で、そもそもイルカなどにも所有権を与えるべきとこの本で書いた博士の言葉 tonghwi17 鈴木:は当時おかしいと受け止められたが、全然おかしくない。人間以外の生命体が投票権を持っていても良いはずで、ただし投票はできないから彼らが持っている特質などを持ってきて彼らもOne of us/themとして捉えることができないかと。そこで分子生物学者の方と文庫版の補論で「細胞のインターネット 成田:この本でDivicracyという仕組みや実装で定義されているのは、どう分人になるかを個人が決める仕組みになっている。つまり、個人が行う意思決定が前提になっている。PICSYも。
tonghwi17 成田:だから、むしろ細胞のほうから立ち上げていったほうが、健さんのコンセプトがやりたいことを達成できると思う。議論の意味不明さは増しそうだが、ましても良いと思う。 鈴木:そうね。
tonghwi17 鈴木:そういう意味では、この本はそもそも社会実装に挑戦しようとしているので、そもそも浮世に接続しようとしている。でも、たしかにそうしようとするから一冊の本の中でコンセプトと実装方法に矛盾は生じているところもあって、書きながら限界を感じているところはあった。 tonghwi17 成田:なので、この本の書き方はいまの社会制度を考えた上でそこからラディカル・アップデートの方法を考えるとなっているが、別の本で、なにもないところから制度を作るとどうなるかというのを「なめ敵の裏」みたいな感じで書くと面白いかも。 tonghwi17 鈴木:だから、300年後の読者に向けて書いたと言いながらも現代の読者に向けて書いたなというのが透けて見えるなと思う。本当の300年後の読者に向けて書いたら本当に何言ってるかわからないことになってしまうので、読まれなかったようにも思う。笑 tonghwi17 成田:それと関連する論点として、この本の分人民主主義やPICSYの仕組みが、政治や経済というカテゴリーを前提にしている。しかし、投票と資本に基づく政治や経済という社会の構造化は、当時の技術等によって偶然こうなっているという可能性は結構高い。だから、そこをも融合したものから創造するのは tonghwi17 成田:ありではないか。つまり、政治や経済、市場や投票をあわせた概念化はできないか。 鈴木:まさに政治や経済というのは、小自由度と大自由度の関係性からすれば、その可能性は無限大で、ただ一つの切り口が経済とか政治とかでしかない。
tonghwi17 成田:そういう意味でいうと、経済学ももはや貨幣とか資本みたいなもんをやめてしまっているのは致命的。広い意味での通貨、貨幣みたいなものを問い直すというのは昔に比べたらものすごく少ない。そこに取り込む方法、言語をどうするか。 tonghwi17 成田:分析の技術は現代のものを用いながら、18,19世紀ころに忘れられてきた問題、課題意識にどう取り組むかに個人的には興味がある。 鈴木:まさに当時は世界の大きな謎、Sense of wonderに取り組もうとしていた。でもそこを考える人はいないの。
成田:正確にはいるが、コミュニティの交わりがない
tonghwi17 成田:結構コーヒー飲みながらとか飲み屋だとそういうことは考えるんだが、プロフェッショナルな研究モードのときにはそれが脳内から排除されている。 鈴木:昔の科学とかってある種のアマチュアリズムがあって
成田:実際みんなアマチュアでしたからね、アインシュタインとかも。
tonghwi17 鈴木:いまは研究者というより、サトシナカモトとかビタリックとかが論文を書いたり、本当に社会実装してしまったりして世の中が進んだりしている。ただ、僕が聞いたのは、ブロックチェーン技術の研究者とブロックチェーンの実装者は全然交わりがないらしい。 tonghwi17 鈴木:本来研究者ってもともと力がある人達なのに、動物園に飼われている猛獣だから、自由に解放してあげたいですよね。すごいことになると思うのに。 成田:昔はみんなそうだった。マルクスの時代とかって今で言えばよくわからない反体制運動をしながらやったた。
tonghwi17 成田:ケインズも経済学者でありながら知名度の高い芸能人で、結婚するってなったら大騒ぎになってた。そういう雑食的なところがあった。20世紀なかばですら、Operation research、ゲーム理論やコンピュータ・サイエンスの起源にいた人たちなんかも研究室の他に軍事に関わったりしていた。 tonghwi17 成田:大学というシステムの中で知的生産を終わらせてはだめという意味で、日本における大学の衰退はチャンスでもあると思う。外に出始めているので。企業にも大学にも片足を入れているような、そういう怪しげな人が出始めると良いと思う。 tonghwi17 鈴木:『22世紀の民主主義』の話に戻ると、成田くんはアジテーターみたいな感じで、関わらないが煽っているということだったが 成田:それは狙ってやっている。今の世の中、実践がなんぼというカルチャーになっている。やたら口だけの人、ビジョナリーな人が減っている。
tonghwi17 成田:ルソーとかマルクスなんてろくでもない、口だけで永遠と妄想を書いたり人の批判を書いたりしている。SNSでひたすら誹謗中傷する人に近くて、自分では何も組織しないが人が作ったものに対して「それは違う」と文句をいうみたいな。 tonghwi17 鈴木:それは実は正しいと思っていて、事業をやっている身からするとどこかで現実的にならないといけない。だから自己否定にも限界がある。柄谷行人さんとNAMとかやってたけど、柄谷さんは思想家としてはすごいんだけど、組織運営させるとボロボロ 成田:名簿管理もできないですからね
鈴木:社会自体がそういうことを評価してくれないしね。
成田:同時代では結局評価されていないんだと思う。最近の研究で、マルクスもロシア革命が起きるまでは全く評価されていなかった。自己啓発本を自費出版してたり。
tonghwi17 鈴木:ルソーなんかもまた最近東浩紀さんが、いかにルソーが人格破綻者だったかを説明する論考を出していたが、当時は全然読まれていなかったんだよね。 成田:僕は東さんに呼び出されて、ルソー論で3時間に渡って説教されました。
tonghwi17 成田:だから、なにかずっと部屋にこもって書いていた人がいて、なにか事件や革命が起きて、それでその人の思想が評価されるということの繰り返しだと思うんですよね。 鈴木:成田くんがそう言ってくれると僕も救われる。
tonghwi17 成田:僕からすれば健さんがこういうことを考えながらよく事業会社やってるなとは思いますけどねw 鈴木:いやそこは優秀な人がたくさんいるので
成田:CEOが営業に奔走してるよりだいぶ希望があると思いますが、ビジョンを語ると言ってもそ時間軸は株式会社という制度に沿うレベルではない気もw