民意は存在しない
Q: ブロードリスニングの結果は民意か?(民意ではないのでは?)
A: まず「民意」が存在していると思うところにそもそも現実を正しく観察できてない感があります。
特に「民衆の意思」がまるで単一の人間の意思のようなものとして存在するかのように思うのは、人の集団をまるで一人の人のように誤認してしまう勘違いです。
関連: 人の集団を一人と捉えるバグ
サイボウズ的にはこれを「会社さんはいない」と表現するのですが(from 『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』) 同様に国家さんもいないし、民衆さんもいないのです。
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from 政治はなぜ失敗するのか
一人の人の意見をベクトルとみなしたとき、「みんなの意見」はベクトルの集合であって、1点ではない分布の広がりがあるため、一人の人の意見と同様のベクトルとみなすことはできない
型エラーがあるね
型をつなぐためには集約関数が必要だが、唯一正しい集約関数が存在しないため「どの集約関数を選ぶか」自体も社会的意思決定の対象になってしまう
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JAPAN CHOICEが「世論地図」という表現を選んだのは上手いなと思う
「民意地図」ではないし「民意の可視化」とも言わないで、「意見集団の可視化」と呼んでるはず
これはつまり「民意」なるものがあるのではなく、多様な意見を持つ人々がいる
クラスタとは「似た意見を持っている『人』をまとめたもの」だ、という世界観です